桂九雀/落語の定九日
JR鶴橋駅近く、「雀のおやど」で桂九雀さんの落語会。30人くらいの入りだった。
今回演じられたのは、全て落語作家・小佐田定雄さんの作品である。
- 桂 九雀/軽石屁
- 旭堂南左衛門/三代目・桂文昇(講談)
- 小佐田定雄・南左衛門・九雀/鼎談
- 桂 九雀/源氏のような恋をして
「軽石屁」は京都府立文化芸術会館で開催されている上方落語勉強会に於いて、今から25年くらい前に九雀さんが初演されたものだそう。「東の旅発端」から始まる「東の旅」シリーズ(「七度狐」「軽業」「こぶ弁慶」「三十石」など)の中で、失われてしまった噺を小佐田さんが脚色し、復活させたもの。お馴染み喜六、清八コンビの珍道中。軽妙な会話が愉しい。
「三代目・桂文昇」は明治・大正時代を生き、学校の教師から転身した噺家。南左衛門さんは豪快な語り口で聴衆を魅了した。大学時代は落研に所属されていたそうで、落語の場面もばっちりだった。
「源氏のような恋をして」は源氏物語千年紀にちなみ、昨年発表されたばかりの洒落た新作。紫式部と清少納言の確執のエピソードも登場し、中々面白かった。
鼎談では落語と講談における創作法の違いなどについて興味深い話を伺った。小佐田さんが「落語はファンタジーですから、あまり具体的で細かい設定をしない方が良いのです」と仰っていたのが特に印象的だった。
つい先日聴いた桂三枝さんの落語会で、三枝さんが亡くなった枝雀さん(九雀さんの師匠)の想い出を語られた。
枝雀さんは生前、自分の持ちネタを60と決め、毎日稽古をされていた。そのことについて枝雀さんは、自分を60匹の羊飼いに喩えておられたそうだ。「常に60匹に目を配っていないと、直ぐに何匹か迷子になってどっかへ往ってしまうんです」と。
桂枝雀という人も、ファンタジー世界の住人だったのだなぁと、その話を聴きながら僕はしみじみと想ったのだった。
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コメント
当日の会には行っておりませんが・・・
「軽石屁」が初演された東の旅シリーズは、金比羅さんではなく、京都の文化芸術会館の「上方落語勉強会」だったように記憶しています。
間違ってたら、ごめんなさい。
投稿: おたべ | 2009年6月29日 (月) 10時17分
おたべさん、ご指摘ありがとうございます。
こちらに九雀さんが書かれた内容から、おたべさんが正しいことが判明しましたので記事本文を修正いたしました。
京都で初演されたということで、僕が勘違いしていたようです。
投稿: 雅哉 | 2009年6月29日 (月) 13時03分