愛を読むひと
評価:B
原題は"The Reader"で、原作小説の日本版タイトルは「朗読者」。で、映画の邦題にどうして「愛」が入るわけ??
映画公式サイトはこちら。
この映画は当初からケイト・ウィンスレットが演じることになっていた。しかし彼女は夫のサム・メンデスが監督する「レヴォリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで」に出演するために断り、代役としてニコール・キッドマンが決まった。そしてキッドマンが出演中だった「オーストラリア」とスケジュールを合わせるため製作は延期され、2007年末から撮影はスタート。だがその直後、キッドマンの妊娠が発覚し彼女は降板する(ニコールは以前、トム・クルーズとの間に出来た子供を流産している)。予定がずれたおかげで結局「レヴォリューショナリー・ロード」の撮影を終えたケイトが出演できることになり、アカデミー主演女優賞に輝いたといういわくつきの映画である。
この映画でケイトの出演場面の約半分は裸なのだが、ニコールは本気でこの役をやる気があったのだろうか??というのが僕が抱く最大の疑問である。ケイトの場合「タイタニック」や「リトル・チルドレン」などで既にヌードになっているので、今更珍しくもなんともないのだけれど。
まあ兎に角、ケイト渾身の演技が素晴らしい。角張ったドイツ訛りの英語で普段より声のトーンを落とし、生活に疲れたアンニュイな雰囲気を上手く醸し出している。「レヴォリューショナリー・ロード」の役作りとは全く異なり、両者を併せて観ると今年のオスカーは彼女以外にあり得なかったということが十分納得出来るだろう。
原作の「朗読者」は1995年に発表。日本語訳は2000年に出版され、当時大いに話題となった。この時僕は小説を読んだが、全然面白いと想わなかった。しかし映画は違った。原作を超えたことは間違いないだろう。特に新たに加えられたラストシーンがしみじみとした余韻を残し、秀逸である。
監督は「リトル・ダンサー」「めぐりあう時間たち」のスティーヴン・ダルドリー。「リトル・ダンサー」(原題:ビリー・エリオット)は同じくダルドリーが演出して舞台ミュージカルとなり、今年のトニー賞で作品賞・演出賞など10部門を受賞した。日本では劇団四季が「ビリー・エリオット」の上演を検討しており、来年完成する四季劇場[夏]こけら落とし公演の最有力候補となっているようである。
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