DAICON FILMからエヴァンゲリオンへ
あれは1985年頃だったろうか……。高校時代の友人が「アマチュアの連中が創った、ちょっと面白いアニメがあるんだけれど、観てみない?」と貸してくれたビデオテープ。それに収録されていたのは各々5分くらいの短いフィルム、「DAICON III」と「DAICON IV」であった。1981年と1983年に大阪で行われた日本SF大会のオープニングを飾ったアニメーションであるという。可愛らしい女の子がゴジラやバルタン星人、ダースベイダー、宇宙戦艦ヤマト、エンタープライズ号(スタートレック)、空の要塞ギガント(未来少年コナン)などをバッサバッサとなぎ倒していくという内容。SF映画とアニメーションへの愛情がいっぱい詰まった、玄人はだしの見事な作品であった。
このアニメを製作したのは当時、大阪芸術大学の学生だった山賀博之や庵野秀明ら。後にDAICON FILMを母体として設立されたガイナックスで山賀は「王立宇宙軍~オネアミスの翼」の原案/脚本/監督を担当し、庵野は「DAICON IV」直後に宮崎駿の「風の谷のナウシカ」で原画を担当(映画終盤に巨神兵が登場するパート)、それから「ふしぎの海のナディア」や「新世紀エヴァンゲリオン」を監督することになる。
「DAICON III」と「DAICON IV」で顕著に異なっているのはヒロインが格段に可愛くなっていること。これは「DAICON IV」で初めて、貞本義行が参加していることが最大の理由と想われる。貞本は今更言うまでもないが「ふしぎの海のナディア」や「新世紀エヴァンゲリオン」のキャラクターデザインを担当している(DAICON IIIの動画はこちら、DAICON IVはこちら)。
ところで2005年フジテレビ系で放送されたドラマ「電車男」のオープニングにアニメーションが用いられており、これは明らかにDAICON FILMへのオマージュになっている。しかも御丁寧に背景に流れる音楽は「DAICON IV」と同じELO(エレクトリック・ライト・オーケストラ)の「トワイライト」が使用されているという念の入れようである(動画はこちら)。
このドラマのディレクターはアニメを制作したGONZO(ゴンゾ)に対して「DAICON IVのような映像を作って欲しい」と注文したそうである。公共の電波を使用し、こんな大胆なことをするとは!!……いやはや恐れ入りました。でもその思い入れというかDAICON FILMへの愛着は僕にも理解出来る気がする。
「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」は6月27日より公開される。
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