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2009年5月30日 (土)

ツェムリンスキー!@大阪シンフォニカー交響楽団

寺岡清高/大阪シンフォニカー交響楽団による《ベートーヴェンと世紀末ウィーンの知られざる交響曲》シリーズ第3弾に足を運んだ。第1回、第2回の感想は下記。

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曲目は、

  • ベートーヴェン/交響曲 第6番「田園」
  • ツェムリンスキー/交響曲 第2番

ベートーヴェンは特徴の乏しい中庸な解釈であり、取り立てて書くべきことは何もない。

面白かったのは滅多に演奏されないツェムリンスキー。彼は何と言ってもソプラノとバリトンの独唱が入る「叙情交響曲」(1924年初演)で名高く、これが11歳年長であるマーラーの「大地の歌」(1911年初演)を継承する作品であることは火を見るよりも明らかである(作曲者もそのことに言及している)。ちなみにツェムリンスキー自ら指揮した「叙情交響曲」初演時に、一緒に演奏されたのはマーラー未完の交響曲第10番であったという。だから内容はマーラー同様に爛熟し、終いに腐り果て、ドロドロ溶けていくような音楽である。

一方、ブラームスを審査員に迎えた「ベートーヴェン作曲賞」をツェムリンスキー/交響曲 第2番が受賞したのは「叙情交響曲」を溯ること27年前の、1897年のことである。マーラー/交響曲 第2番「復活」が全曲初演されたのが1895年、第3番はこの時点で未発表であった。だから今回初めて聴いたこのシンフォニーにはまだマーラーの片鱗すら感じられない。寧ろ当時、対立関係にあったブラームス派とワーグナー(+ブルックナー)派を融合したかのような音楽であった。特に第4楽章がパッサカリアというのは、明らかにブラームス/交響曲 第4番を意識しており、賞狙いのあざとささえ感じられる。

このシンフォニーは先にも書いたとおり「叙情交響曲」ほど崩れていないので、均衡と調和がとれた、大変聴きやすい作品に仕上がっている。爛れて腐臭のするマーラーとは異なり、香水のような芳醇な薫りがする。

特に第1楽章、冒頭でホルンにより提示される格好いい動機、そしてそれに続く気高いファンファーレを聴きながら僕が即座に連想したのはジョン・ウィリアムズが作曲した「ジュラシック・パーク」の音楽である。さらに主部に入り、弦楽器で提示される勇壮な第1主題はまるで、これから冒険に旅立つかのよう。例えばスピルバーグの映画「フック」~”ネバーランドへの飛行”みたいに。つまりエリック・ウォルフガング・コルンゴルトが直接ジョン・ウィリアムズに繋がっているように、ツェムリンスキーもまた、後のハリウッド映画音楽に多大な影響を与えたのだという事実を、この時僕は確信したのである。

 関連記事:

さて、大阪シンフォニカーの2010年度定期演奏会の概要が早くも発表となった→こちら

ここで最も注目されるのは、音楽監督である児玉 宏さんが指揮するニーノ・ロータ/交響曲 第4番「愛のカンツォーネに由来する交響曲」だろう。これはルキノ・ヴィスコンティ監督の映画「山猫」(不朽の名作!)に使用された楽曲を後にまとめたもの。定期演奏会でロータが取り上げられるなんて、日本のオケも遂にここまで成熟したのかと感慨深い。同じプログラムで東京公演も予定されているようである。

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