チェイサー
評価:B
凄惨苛烈な描写があり、後味は良くないので好みの作品とは決して言えない。しかし、これがデビュー作となるナ・ホンジンは桁外れの才能を持つフィルム・メーカーであることは動かしようがない事実である。韓国が生んだクライム・ムービーの傑作。既にレオナルド・ディカプリオとワーナー・ブラザースがリメイク権を獲得している。
断り書きはされていないが、犠牲者が21人にも上る「殺人機械」ユ・ヨンチョル事件をモデルにしていることは明かである。
映画公式サイトはこちら。
とにかく上映時間2時間5分、片時もスクリーンから目を離すことが出来ない。凄まじい緊張感で、ヒリヒリするような現代の闇を観客に突きつけてくる。出口のない迷路をひたすら駆けめぐっているような焦燥感に囚われる。これは悪夢だ!しかし、同時に現実でもある。怖ろしい……でも、逃れられない。
印象的な場面も多い。特に雨の中、被害者女性の娘が真相を悟って車の中で泣き出し、その横で主人公が運転しながら携帯電話でわめき散らしているのを車外からサイレント(台詞なし)で捉えた演出は傑出していた。
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