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2009年5月27日 (水)

庄司紗矢香 IN 大フィル定期

大阪フィルハーモニー交響楽団(コンサートマスター:長原幸太)の定期演奏会を聴く。今回の指揮者はヨナス・アルバー。1969年ドイツのオッフェンブルク生まれ。

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曲目は、

  • コダーイ/ガランタ舞曲
  • リゲティ/ヴァイオリン協奏曲
  • ラフマニノフ/交響曲 第3番

ガランタ舞曲」はスロヴァキア(東ヨーロッパ)に住むロマ(ジプシー)の楽団が演奏する舞曲の数々をコダーイが採集し、オーケストラ作品としてまとめたもの。

交響曲 第3番はロシア革命後、二度と祖国の地を踏むことがなかったラフマニノフがスイスのルツェルン湖ほとりの別荘で作曲し、ストコフスキー/フィラデルフィア管弦楽団によりアメリカで初演された。ある意味ロシア的で、望郷の想いを感じさせる作品である。

アルバーの指揮は、一言で言えば非常にスマートな解釈だった。テンポ感が小気味好い。それが長所でもあり、しかし逆にコダーイの曲が本来持つ民族色や泥臭さとか、ラフマニノフにおけるロシアの土の匂いが感じられなかったのも事実である。

この演奏会の白眉は、何と言ってもヴァイオリン独奏の庄司紗矢香さんを迎えたリゲティだった。

前回、庄司さんの演奏に接したのが何時だったか記憶を辿ってみると、2004年3月13日に岡山シンフォニーホールでシベリウス/ヴァイオリン協奏曲を聴いたことが判明した。共演はコリン・デイヴィス/ロンドン交響楽団だった(僕はその頃、岡山在住だった)。

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彼女が日本人初、史上最年少でパガニーニ国際ヴァイオリン・コンクールで優勝したのが1999年、16歳の時。だからシベリウスを聴いたのは21歳の時ということになる。

この時は「大変美しい音色を持ったヴァイオリニストだけれど、些か線が細いかな?」という印象を憶えた。

あれから5年、彼女の演奏は力強さを増し、より艶やかで深みのある音に進化を遂げていると感じられた。

リゲティの曲はまず3楽章版が1990年に完成し、92年に5楽章版の決定稿が発表された。庄司さんはこの協奏曲が献呈されたS.ガヴリロフから直接学んだそうである。

ポリフォニーポリリズムを駆使し、ハーモニクスの多用や微分音を重ね合わせたりと非常に面白い音楽である。庄司さんはパンフレットのメッセージの中で「細部にこだわりを見せ、同時に光と宇宙的な神秘を放つリゲティの作品」と表現しているが、正に音の迷宮を彷徨うような摩訶不思議な体験をさせて貰った。

弦の編成はVn. 5,Va. 3,Vc. 2,Cb. 1の11名。第2楽章ではクラリネット2、オーボエ1,ファゴット1の4名がオカリナを演奏。第4楽章では前述のオカリナに加え、フルート2人がリコーダーを演奏する場面もあった。

第3楽章は下降半音階による音のシャワーが印象的で、まるで夜に霧雨が降っているような、あるいは無数の流星群を眺めているような気分になった。

ここではアルバー/大フィルも好サポート。曖昧さのない明晰な演奏で庄司さんの気迫に満ちた熱演に応えた。

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