なにわ芸術祭/上方落語名人会
サンケイホールブリーゼで「上方落語名人会」を聴く。
演目は、
- 桂 阿か枝/金明竹
- 月亭 遊方/ゴーイング見合いウェイ(遊方 作)
- 桂 米團治/天狗裁き
- 桂 春團治/野崎詣り
- 桂 文太/袈裟茶屋
- 笑福亭仁鶴/つぼ算
阿か枝さんは今年、「新進落語家競演会」で新人賞を受賞した得意ネタで勝負。口跡よく、明るく誠実な語り口に彼の人柄が偲ばれる。
「ゴーイング見合いウェイ」はビング・クロスビーの"Going My Way"(我が道を往く)をもじったタイトルで、「いとしのレイラ」~彼女のロック~とか「怪奇ホテル・オソレミオ」「隣人(ネイバーズ)」「素顔のままで」など、他の遊方作品と並ぶ《歌謡シリーズ》と言えるかも??未だ独身の遊方さん(1964年生まれ)、周囲から「そろそろ結婚したら」としきりに言われることをネタにした、リアリティ溢れる爆笑ストーリー。
僕は米團治さんが小米朝時代に、彼の高座を聴いて感心したことは一度も無い。しかし襲名披露公演で場数を踏んだことが米朝さんから受け継いだDNAを覚醒させたのか、今回の「天狗裁き」も全く噛むこともなく、申し分ない出来栄えだった。彼が生来持つ華やかな雰囲気に、本物の実力が加わった感が強い。今まで聴いた春駒さんや米左さんの「天狗裁き」よりも、一層感銘深い口演であったと断言しよう(鳴り物の名手として名高い米左さんは今回、下座で見事な笛を披露。これを吹かせたら彼の右に出るものはいないだろう)。
春團治さんの十八番、「野崎詣り」は漸く聴くことが出来た。これは五月一日から十日までの行事が素材になっているので、その季節を逃すと中々めぐり逢えないのだ。何とも軽やかな高座で、”喜六”の無垢な笑顔が本当に可愛らしい!正しく至芸。
「袈裟茶屋」の元ネタは江戸落語「錦の袈裟」。元々は色町・吉原の噺を、大阪の松島に移植して演じる《文太の贋作シリーズ》の逸品。途中ハメモノ(お囃子)も入り、賑やかで陽気に盛り上がった。
そしてトリだが、僕はどうしても仁鶴さんの芸風が好きになれない。語り口に抑揚がなく平板で、端から役の演じ分けをしようという姿勢もない。「それが落語だ」という”通”のご意見もあるだろうが、僕にとってそんな代物は御免こうむる。退屈で退屈で、途中何度も気が遠くなった。
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