桂雀々 独演会@そごう劇場
大阪・心斎橋そごう劇場で二日間に渡り開催された桂雀々さんの独演会に往った。
雀々さんによると、6月に愛知県一宮市で予定されていた落語会が突然取りやめになったそうだ。理由は、大阪から新型インフルエンザが急襲したら(持ち込まれたら)困るからだとか……酷い話である。最早、日本において神戸・大阪は完全にメキシコ扱いだ。
一日目の演目は、
- さん都 /動物園
- 雀 々/子ほめ
- 歌之助/七段目
- 雀 々/猿後家
- 雀 々/せんきの虫
二日目、
- さん都 /強情灸
- 雀 々/遺言(小佐田定雄 作)
- 紅 雀/禁酒番屋
- 雀 々/天王寺詣り
- 雀 々/たぬさい
僕はどうしても歌之助さんの口調が好きになれない。「七段目」は芝居噺だが、所作が到底歌舞伎に見えない。つまり彼のニン(持って生まれた人柄)に合っていない。この噺は吉朝一門の吉弥さんとよね吉さんが十八番にしているだけに、相当物足りなかった。
雀々さんは相変わらず師匠(枝雀)譲りの快調なテンポ感と、滑稽味のある語り口で大いに愉しませてくれた。雀々さんの「子ほめ」は先月のらぶりぃ寄席でも聴いたが、マクラが全く違うものだったので、さすがだなと感心した。
落語作家・小佐田さんによる新作「遺言」は初めて聴いたが、既に古典の風格さえある見事な出来映えだった。
本当は雀々さんの二日目最初の演目は「たぬさい」と事前に発表されていたが、いきなり3席目予定の「遺言」を演じられたので驚かされた。高座を降りた時に「順番が違いますよ」と指摘され、雀々さんはそこで初めて気がつかれたそうで、「どうしてこんなことになったのか自分でも良く分かりません」。こんなこともあるのだなぁとライヴならではの醍醐味を実感した。マクラで落語家にも《天然ボケ》と《養殖》があり、前者の典型例が若旦那こと小米朝改め米團治さんだというお話をされ、彼にまつわる様々なエピソードを披露されていただけに、「人のことばかり言えませんなぁ」と雀々さん。
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