きん枝のがっぷり寄席&繁昌亭らいぶシリーズ II
4月6日(月)「きん枝のがっぷり寄席」@天満天神繁昌亭
- 桂 三若/妄想ノート(三若 作)
- 柳家喬太郎/竹の水仙
- 桂 きん枝/天神山
- きん枝×喬太郎/対談(三象踊りあり)
広瀬和生(著)「この落語家を聴け!いま、観ておきたい噺家51人」という本がある。これは東京の噺家のみ対象としているが、その中で(大御所の談志、小三治は別格として、)立川談春さんとともに絶賛されていたのが喬太郎さんだった(Web版は→こちら)。
だから今回初めて聴く喬太郎さんには大いに期待をしていたのだが、予想をはるかに上回るもの凄い高座だった。変幻自在のリズム感、天才的話術。この衝撃は、故・桂枝雀さんの高座にDVDで遭遇した時の体験に匹敵すると言っても過言ではないだろう。東京にもこんな《爆笑王》がいたとは!
僕が落語を初めて生で聴いた時点で既に枝雀さんは亡くなっており、とても悔しい想いをした。しかし、枝雀には間に合わなかったが、喬太郎には間に合った。この至福を今、しっかりと噛みしめたい。申し訳ないが、喬太郎さんの前ではきん枝さんが霞んで見えた。
「竹の水仙」はもう既に何度も聴いたネタだが、喬太郎マジックに掛かると全く違った噺に聴こえた。
詰まらない噺などない。詰まらない噺家がいるだけだ。
この真実を、鋭い刃で突きつけられたような心地がした。
対談できん枝さんが「上方の秘密兵器、テポドンを紹介します」と登場したシークレット・ゲストが三枝さんの弟子、桂三象さん。噂には聞いていた《三象踊り》だが、これは最高!三象さんの落語よりよっぽど面白い。珍しいものを見る様に、首を傾げて下から三象さんを覗き込んだ喬太郎さんの表情がまた可笑しくて、客席がどっと沸いた。
4月10日(金)「繁昌亭らいぶシリーズ 十巻完成記念 II」
- 桂 壱之輔/転失気
- 笑福亭銀瓶/阿弥陀池
- 林家 染二/貧乏神(小佐田定雄 作)
- 笑福亭鶴志/試し酒
- 笑福亭三喬/べかこ
- 桂 春之輔/死ぬなら今
銀瓶さんはとても滑舌が良く、軽妙な語り口で聴いていて爽快だった。
染二さんと鶴志さんは以前も同じ演者で聴いたネタだったのが一寸残念。どちらも、とても上手いのだけれど。
三喬さんによれば、上方には泥丹坊堅丸(どろたんぼうかたまる)という落語家が出てくる噺が3席あるそうだ。その一つが「べかこ」。これと「死ぬなら今」は初体験だった。
「死ぬなら今」は元々は上方のネタだが、現在は春之輔さんくらいしか演者がいないそう。東京では何人かいるらしいのだが。どうしてそんなに人気がないのかといえば、「しょ~もない噺でんねん」と。実際聴いてみて、これは珍品の類だなと想った。でも滅多にない機会だから、それはそれで良かった。
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