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2009年4月25日 (土)

らぶりぃ寄席/桂雀々 三番勝負 その1

河内長野市Lovery Hallで桂雀々さんの口演を初めて聴いた。

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枝雀一門である雀々さんは上方落語協会に所属されていないので、天満天神繁昌亭昼席に出演できない。夜席も協会員からゲストとして招かれない限り高座に上がれないので、今まで中々聴くチャンスがめぐって来なかった。「ようやくお会いできましたね」という気持ちで一杯である。これで枝雀直系の弟子8人中、病気療養中のむ雀さんを除き7人全員の高座を聴いたことになる。

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  • すずめ家すずめ/酒の粕
  • すずめ家ちゅん助/強情灸
  • 桂 雀々/鶴満寺
  • 桂 雀々/子ほめ

雀々さんが二席ということで最初は物足りないかな?と心配していたのだが、マクラもたっぷりあって、とても充実したひと時だった。観光バスでマイクを握り締め、台湾からの旅行客を相手に8時間孤軍奮闘したエピソードには大笑い!怪しげな広東語(?)も傑作だった。

枝雀師匠との想い出や、(小米朝改め)米團治さんのこと…彼が落語に登場する「若旦那」そっくりであるということも(またまた)話題となった。

雀々さんの語り口はポンポン気持ちよく言葉が飛び出してきて、疾走感がある。そのリズムは聴いていて実に心地よい。もう最後は汗だくで、枝雀さんの「一生懸命のお喋りでございます」を想い出した。

では雀々さんの高座は枝雀さんのコピーみたいかと問われれば、それは全然違う。例えば「鶴満寺」には登場人物が次第に酔っ払っていく描写がある。酔っ払いは枝雀さん得意中の得意とするところ。その演じる理論はこうだ(ちくま文庫「桂枝雀のらくご案内」から引用)。

  1. ロレツがまわらなくなる。
  2. ものがはっきり見られなくなるので、その分だけ逆に一点を時々ジーッと見つめようとする。
  3. 自分の体の力が脱けていくわけですから、重力に従って姿勢が低くなっていく。

そして枝雀さんのギャグは最後におでこを床にゴツンとぶつけて笑いを取るのである。

雀々さんもこの理論に従い次第次第に姿勢が低くなっていった。しかし、おでこゴツンは最後までされなかった。ここに僕は「自分は師匠とは違う」というこだわりを見た気がした。

昨年10月、雀々さんが出版した自叙伝「必死のパッチ」(幼少期から枝雀さんとの出会いまでが描かれる)は大いに話題となった。そして今年はその続編の発刊予定があるらしい。今度はいよいよ入門後、枝雀さんと過ごした日々、そして師匠の死までが描かれるようだ。大いに期待したい。

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コメント

Lovely Hallで雀々さんの落語会があったんですか。ここは車で15分もかからないので行けばよかったですね。知らなかったし、都合もつかなかったです。

もう20年近く前ですか、一度だけ聞いたことがあります>雀々さん・・・とはいえ覚えてないですね。

当時は「タレント」としてテレビやラジオに出ていることが多かったので、そちらのほうの印象が強かったし、こちらもあまり落語に詳しくなかったですし。

「ちりとてちん」で落語開眼。やっぱり生で聞く落語っていいですよね。気をつけてみれば、結構あちこちで生で気軽に聞ける機会もあって・・・。これからもっと知りたい世界です。

投稿: ぽんぽこやま | 2009年4月28日 (火) 00時14分

ぽんぽこやまさん、雀々さんのらぶりぃ寄席はあと2回予定されています。7/31と11/27の何れも金曜日。既にチケットは発売中です(自由席)。面白いですから是非!

投稿: 雅哉 | 2009年4月28日 (火) 07時22分

あ、いけるかも。
行けたら行きます。雀々さんって、枝雀さんの弟子だったんですね(知らなくて恥)。
ラブリーホール、近いんで、逆に見逃しがちなんですが、結構いい出し物よくやってるんですよね。
覚えておきます。

投稿: ぽんぽこやま | 2009年4月28日 (火) 23時25分

ぽんぽこやまさん、

雀々さんはやはり、枝雀さんを彷彿とさせるところが多々ありますよ。

ラブリーホール、僕は行けませんが8月には文珍さんの独演会もあるようです。

投稿: 雅哉 | 2009年4月28日 (火) 23時40分

ここで教えていただいてありがとうございます。

直前までなかなか予定が立たない人間ですが、7月31日、なんとか行けそうです。可能ならラブリーホールへ行って雀々さんの落語を聞いてきたいと思います。

投稿: ぽんぽこやま | 2009年7月25日 (土) 11時25分

ぽんぽこやまさん、是非都合をつけて会場にいらして下さいね!

雀々さんはラブリーホールの前日、7/30に池田市民会館で開催される独演会で「手水廻し」「船弁慶」「一文笛」(←米朝 作)の三席をされます。また7/26(日)は動楽亭「雀々の夏の噺を聴こうの会」で二席演じられます(演目未定)。このあたりで披露される噺を河内長野でも聴けるのではないでしょうか?

投稿: 雅哉 | 2009年7月25日 (土) 12時50分

情報ありがとうございます。

その日を楽しみにしております。20年ぶりくらいですしね。今度は前より落語についてはちょっと詳しくなりましたから。

投稿: ぽんぽこやま | 2009年7月25日 (土) 15時33分

ぽんぽこやまさん、動楽亭の会で雀々さんは結局「船弁慶」と「茶漬幽霊」をされたそうです。

それから雀々さんの著書、「必死のパッチ」はすこぶる読み応えのある本ですから一読をお勧めします。らぶりぃ寄席で買えば、雀々さんのサインもその場で貰えますよ。構成を担当された(桂じゃないよ)柱丸々さんのブログによると、この続編も完成間近のようです。

そうそう、「必死のパッチ」映画化企画も着実に進行しているみたいです。小栗旬が出演するという怪情報も!?真偽のほどは定かじゃありません。

投稿: 雅哉 | 2009年7月27日 (月) 00時34分

演目ですね・・・

桂優々 「東の旅発端」
すずめ家すずめ 「犬の目」
桂雀々 「舟弁慶」
すずめ家ちゅん助 「阿弥陀池」
桂雀々 「せん気の虫」(変換できません、やまいだれに山です)

コメントを読んだのは先ほどですが、本は面白そうだったので買いました。最後の演目はサイン会をするためのちょっとした仕掛けというのもあったようですね。サインをもらって握手してきました。

枝雀さんとどう違うかまでは、さすがに詳しくなかった私には無理でしたが、そうですね、本当に枝雀さんを彷彿させるところが多々ありましたね。

ご紹介ありがとうございました。

投稿: ぽんぽこやま | 2009年8月 1日 (土) 02時31分

僕も当日、聴きました!ぽんぽこやまさんが気に入られたようで良かったです。

「必死のパッチ」は正に《事実は小説より奇なり》と言える本です。短いし、一気に読めます。映画化、実現するといいなぁ。

投稿: 雅哉 | 2009年8月 2日 (日) 01時04分

あ、いらしてたんですか。
もしかしたらなーとか思ってたんですけど(^^;

投稿: ぽんぽこやま | 2009年8月 2日 (日) 15時38分

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