桂文太で落語三昧/昭和の日はどっぷり、昭和町 2009
4月29日、「昭和の日」は大阪市・昭和町でどっぷり落語漬けとなった。
ここで「田辺寄席」が朝から晩まで一気に五回公演されたのである。
整理券が必要で基本的に入場無料。会場を出る時に有志は"笑納金"を箱に収める仕組み。僕は別途、参加協力券(通し券)を2,000円で購入した。
第一公演(苗代小学校)10:30〜12:00
- 桂福丸 「平林」
- りんりん亭りん吉 「つる」
- 千田やすし 「腹話術」
- 桂文太 「軽業」
第二公演(苗代小学校)12:30〜14:00
- 桂雀五郎 「子ほめ」
- 桂三象 「三象踊り」
- 桂文太 「禁酒関所」
- 笑福亭小つる 「愛宕山」
第三公演(苗代小学校)14:30〜16:00
- 笑福亭智之介 「道具屋」
- 林家そめすけ 「物真似あれこれ」
- 桂文太 「高津の富」
- 春野美恵子 「浪曲/新釈・南部坂(忠臣蔵)」
第四公演(寺西家)16:30〜18:00
- 林家卯三郎 「湯屋番」
- 桂米平 「立体紙芝居/西遊記」
- 桂文太 「熊野詣」
- 桂米二 「茶の湯」
第五公演(寺西家)18:30〜20:00
- 笑福亭呂竹 「延陽伯」
- 桂朝太郎 「マジック」
- 桂文太 「袈裟茶屋」
- 桂春駒 「天狗裁き」
計7時間半、20席(うち落語14席)を聴破。演る方も尋常じゃないし、聴く方だってそう。もう最後はヘロヘロだった。第五公演の開口0番で文太さん曰く、「シャブ中の状態っていうのは、こんな感じなんでしょうな」
小学生落語家・りんりん亭りん吉さん(第11回ワッハ上方大賞金賞受賞、公式ブログはこちら)は丁度一年ぶりに聴いたが、表情豊かで可愛らしく、リズム感もあってセンス抜群。自宅のテレビ画面の右上に「アナログ」と表示が出て、両親がイライラするというマクラも出色の出来だった。声も一年前より通るようになってきた印象を受けた。
文太さんの五席が何れも充実した至芸であったことは言うまでもないが、今回一番注目されたのは「熊野詣」。これは文太さんの師匠である故・桂文枝(五代目)の創作落語。「熊野古道を愛する会」から依頼を受けたことをきっかけに取り組み、以来三年間ひたすら古道を歩くことで構想を練ったという作品である(詳しくはこちら)。
「熊野詣」の完成度は決して高いとは言えないが、熊野古道のガイダンス的側面は古典落語「天王寺詣り」を彷彿とさせ、三本足の八咫烏(やたがらす)が登場する件は「天狗裁き」、そして最後に歌を詠む場面は「天神山」といった具合に古典のエッセンスを巧みにブレンドした作品となっていた。
文太さんはこの噺を高座にかける前に文枝の未亡人に挨拶に行かれたそうである。そして、「師匠より上手にせんといてや。DVDが売れんようになったら困るさかい」と言われたとか。ちなみに「五代目桂文枝」DVD+CD BOXは10枚組(分売なし!)26,880円である。発売元はよしもとアール・アンド・シー。さすがよしもと、えげつない商売をする。
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