なにわ芸術祭参加 室内楽シリーズ/The Chamber Players
The Chamber Playersの演奏をサンケイホールブリーゼで聴いた。
メンバーは、大阪フィルハーモニー交響楽団・首席コンサートマスターの長原幸太さん、彼と2006-07年の大阪クラシックでも共演したヴァイオリニスト・千葉清加さん、読売日本交響楽団ソロ首席ヴィオラ奏者の鈴木康浩さん、元ロサンゼルス・フィルの首席ヴィオラ奏者で2008年まで大阪シンフォニカー交響楽団の首席指揮者を務められていた大山平一郎さん、大山さん就任中にシンフォニカーの特別首席チェロ奏者だった金子鈴太郎さん(2008年度、音楽クリティック・クラブ賞受賞)、そしてチェロの辻本玲さんら。
曲目は、
- ブラームス/弦楽六重奏 第1番
- ブラームス/弦楽六重奏 第2番
- チャイコフスキー/弦楽六重奏「フィレンツェの想い出」より第3楽章(アンコール)
ブラームスの第1番で長原さんが2ndにまわり、清加さんが1stだったので驚いた。彼女の奏でる音色は美しいのだが、如何せんおとなしくて、表面的演奏という印象が最後まで付きまとった。もっと緊迫感や力強さ、自己主張が欲しい。なんとも緩いブラームスで、他の5人が好演しているだけに「ここは《攻めの幸太》が1stを取らないと!」と惜しまれた。こういう趣向は気の合う仲間たちが集うホームパーティでやるなら良いのだろうが……。
しかしプログラム後半の第2番では長原さんが1stに交代し、チェロも金子さんが2nd→1stとなって俄然アンサンブルが引き締まった。ふたりの丁々発止のやり取りが実にスリリングで、目の覚めるようなブラームスを聴かせて貰った。アンコールのチャイコフスキーも胸がすく快演!
室内楽というのは楽器同士の対話であり、各奏者の技量が拮抗して初めて化学反応(chemistry)を起すのだな、ということを痛感した夜であった。
記事関連blog紹介:(同じ演奏会を聴かれた方の感想)
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コメント
PACに続いてサンケイ・・・
意外と雅哉さんとホールですれ違っていたかも(笑)
私も鈴木さんのように幸太さんが2曲ともトップを弾いて欲しかったです。
千葉さんの演奏を批評するほどの耳はないのですが、硬い演奏だと感じました。
まぁ長原氏を2ndに回しての演奏は緊張して当たり前ですね。
会場前方で終始ピシピシ!と雑音してましたよね?あれは何の音だったのでしょう?
私は左側で、余り前のほうでなかったので
聞こえてくる位置がよくつかめませんでしたが・・・・
投稿: jupiter | 2009年3月18日 (水) 18時49分
トラックバックありがとうございました。
トラバ返しをしようかと思いましたが、既に私のブログにリンクが貼ってあるから、いいか、と(笑)。
化学反応…まさしくそうですね。
誰がファーストを取るかによってアンサンブルというのはここまで変わるものなのかと。
そして幸太さんと鈴太郎さんの「すごさ」を、しみじみと感じた演奏会でした。
投稿: ユイ | 2009年3月18日 (水) 20時24分
jupiterさん、コメントありがとうございます。
僕は2階席で聴いたので、雑音には気が付きませんでした。
それから、ブログに書かれた感想を読ませて頂きました。ブラームスの第1番については一切触れずですね(笑)。そこにjupiterさんの優しさを感じました。
投稿: 雅哉 | 2009年3月18日 (水) 22時40分
ユイさん、コメントありがとうございます。
長原さんと金子さんは本当に素晴らしい音楽家ですね。金子さんは何度も大フィル定期に客演されていますが、正式団員になられるおつもりはないんでしょうか?まあ、昨年は大きな賞を受賞されましたし、ソロの方も大いに期待しています。彼はガット弦を張った古楽演奏もされる貴重な人です。
投稿: 雅哉 | 2009年3月18日 (水) 22時46分
コメント&トラックバック有り難うございました。雅哉さん、もしかして、シンフォニカと連日ですか?頑張りますねえ。
貴重な演目に、素晴らしい演奏で臨んでくれたこのメンバーに感謝ですね。また、大阪でやってくれませんかねえ。
投稿: ぐすたふ | 2009年3月18日 (水) 23時09分
ぐすたふさん、コメントありがとうございます。
ご推察の通り、シンフォニカーと連日でした。さらに明日も予定があります
長原さんが常に1stを取ってくれるのなら、また彼らのアンサンブルを是非聴きたいと想いました。ただ、世の中に弦楽六重奏曲って余りないですよね?ネタ的に難しいかも……。そうそう、僕の偏愛するコルンゴルトには弦楽六重奏曲がありました!これを演奏してくれるなら誰が1st取ろうと文句は言いません。
投稿: 雅哉 | 2009年3月18日 (水) 23時30分