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2009年3月14日 (土)

大フィルよ、何処へ(Quo Vadis ? )

タイトルの「クォ・ヴァディス」とは、ローマでの迫害から逃れようとしていたペトロが、反対方向から歩いてきたイエスに問いかけた言葉「Domine, quo vadis?(主よ、何処へ行かれるのですか)」から採った。「クォ・ヴァディス」は1951年にハリウッドでスペクタクル大作として映画化され、アカデミー賞に作品賞を含め7部門ノミネートされている(日本では未公開)。僕はハンガリー出身で史劇を得意とする作曲家ミクロス・ローザ(「ベン・ハー」「白い恐怖」)がこの映画の為に書いた音楽がとても好きだ。

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さて、3月12日および13日に行われた大阪フィルハーモニー交響楽団の定期演奏会に足を運んだ。指揮はフランスからやって来たパスカル・ロフェ。コンサートマスターは長原幸太さん。

曲目はオール・フランスもので、

  • ドビュッシー/交響組曲「春」
  • デュサパン/「エクステンソ」(日本初演)
  • ラヴェル/バレエ音楽「ダフニスとクロエ」全曲

「エクステンソ」は「ひきのばす」という意味で、レガート、ロングトーンで音が伸ばされ、同時に《時間》もひきのばされる。聴き易くて中々面白い佳作だった(演奏時間12分)。

しかし今回の白眉は何と言っても合唱が加わった「ダフニスとクロエ」だろう。ロフェの指揮は曲の持つ幻想的雰囲気をしっかり醸し出しながら、細部は極めて明晰に響き解像度が高い。そして第2部《海賊たちの戦いの踊り》や第3部《全員の踊り》ではアクセル全開の快進撃でぶっ飛ばし、緩急自在の見事な手綱さばきだった。

大フィルの演奏はトランペットが音を外したりホルンのピッチが合っていなかったりと金管セクションが気になることが多いのだが、今回そんなことはなく目の覚めるようなパフォーマンスであった。こうして今シーズンの定期は幕を閉じた。

ところで、大フィルが平成20年度まで大阪府から貰っていた補助金+貸付金=約1億2千万円は21年度より廃止されることが既に決まっている(→大フィル公式サイトへ)。

また、府から年間4億円の補助を受けていた大阪センチュリー交響楽団は橋下府政の改革プロジェクトチームから一旦補助金を廃止する意向が示された。しかし一年間におよぶ折衝の結果、平成21年度は1億1千万円を府が支出することで決着した。この額が大フィルが今まで貰ってた額とほぼ同じなのは、決して偶然ではないだろう。

この件に関して、橋下知事の発言が大阪府・公式サイトで読める→こちら

センチュリーと大フィルの合併。もしそうなれば大フィルは補助金を取り戻せるのか?だが一方、3億円収入が減ったセンチュリーが22年度まで存続出来るとも僕には到底想えない。両者にとって、これからの一年が本当の正念場となるだろう。

「合併なんてあり得ない」「現実的ではない」と一笑に付す方がいらっしゃるかも知れない。しかし現に2001年4月、東京フィルハーモニー交響楽団と新星日本交響楽団の2つのオーケストラは経営基盤の強化のため合併している。

在阪オケは4団体の存続が必要なのか?今後の姿はどう在るべきなのか?そのことを我々聴衆も一緒になって、真剣かつ冷静に考えなければならない時期がいま正に来ているのである。

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