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2009年3月 6日 (金)

PACオーケストラ/リサイタルシリーズ~メンバーの素顔に迫る!

2月26日(木)、兵庫県立芸術文化センター小ホールにて兵庫芸術文化センター管弦楽団(PACオケ)の楽員による室内楽を聴いた。入場料がたったの1,000円!兵庫県の文化事業は本当に素晴らしい。それに引き換え大阪府ときたら……。

大阪には府立や市立のコンサート・ホールさえない。オーケストラだけは無駄に4つもあるのに。

補助金の大幅削減で大ピンチの大阪センチュリー交響楽団を応援する会は10万7千の存続嘆願署名を集めた。しかし支援組織であるセンチュリーファンクラブ(入会金1,000円→2009年3月末まで無料、年会費2,000円)に入会したのは昨年12月30日現在で3,337人である。署名した人のうち、たった3%!これは一体どういう事??名前は書くが、(2,000円ですら)金を出す気は毛頭ないということか。

府民税の使い道は真剣に考えてもらいたいものだとつくづく想う。

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さて、今回聴いたのはまずヴァイオリン/クリストフ・ブロス、ピアノ/エミ・ナカジマで、

  • タルティーニ/ヴァイオリン・ソナタ「悪魔のトリル」
  • フランク/ヴァイオリン・ソナタ
  • エルガー/愛の挨拶(アンコール)

休憩を挟みプログラム後半はヴィオラ/吉瀬弥恵子、ビアノ/西村裕美子で、

  • ヒンデミット/ヴィオラ・ソナタ
  • ミヨー/4人の顔
  • エネスコ/演奏会用小品
  • シューマン/「おとぎの絵本」より第4曲

吉瀬さんのヴィオラは滋味あふれた良い音がして聴き惚れた。また彼女のトークが最高に可笑しかった!

ミヨー/4人の顔にはそれぞれ次のようなサブタイトルがついている。

  1. カリフォルニアの女
  2. ウィスコンシンの女
  3. ブリュッセルの女
  4. パリの女

吉瀬さんの解説によると、ウィスコンシン州は小説「マディソン群の橋」の舞台となった場所の近くだそうだ。その野原を少女が駆けているイメージだという。メリル・ストリープが主演した映画(クリント・イーストウッド監督)の風景を想い出しながら聴いた。

ベルギーの首都ブリュッセルについては、「ベルギーは北ヨーロッパで唯一、食事が美味しいところです」と吉瀬さん。言われてみれば確かにそうだ。特にイギリスは最悪!だって名物料理がローストビーフにフィッシュ&チップスくらいしかないんだぜ!?まこと食文化の貧しい国である。一方ベルギーはムール貝の白ワイン蒸しがあるし、フリッツ(フライドポテト)もいける。それにワッフル、チョコレートやビールも旨い。ステラ アルトワ(Stella Artois)はチェコのブドバー(Budvar)の次に僕のお気に入り。

Stella_artois

大阪にはこの生が飲める店がある。

閑話休題。吉瀬さんは桐朋学園大学音楽部在学中にパリ国立高等音楽院(コンセルヴァトワール)へ推薦留学、首席卒業という経歴を持つ。「パリは上を向いて歩いていると綺麗な街です。でも、下を見ると……」

そして、コンセルヴァトワールが「のだめカンタービレ」の”のだめ”が留学した学校だという話に移った。

ミヨーや(ルーマニア生まれの)エネスコはパリ音楽院の教授でした。《演奏会用小品》は音楽院の試験の為に書かれたものです。試験官の先生たちは、同じ曲を何度も聴かされるのにウンザリしているんです。演奏の優劣を決めるここぞというポイントが楽譜に何箇所かあって、コーヒーでも飲みながらそこだけ耳を傾けます。この《演奏会用小品》もそうで、登山で喩えるなら踵で登って、つま先で下山しろみたいな指示が書いてあるんですね。でも、『こんなん、できひん』と言ってしまったら零点なんです」といった面白い解説があった。

最後のシューマンは「これは子守唄です。皆さん、お疲れでしょう?それではおやすみなさい」

彼女の巧みな話術に魅せられた。貴重な逸材である。兵庫芸文さん、是非またこんな素敵なコンサートの企画をして下さいね。

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コメント

大阪府も財政難で、橋下知事の方針も理解できますけど、文化や教育、医療といったものは、「聖域」にしてほしいものですよね。

ブリュッセル、確かに食べ物のおいしいところでした。パリよりもおいしいレストランが多いですよね。

イギリスの場合は、おいしい料理にありつこうと思ったら、「手料理」しかないですかね。いつもお邪魔するご家庭のお母様は、なかなかの料理上手です。イギリスでおいしい料理というと、その方の手料理しか思いつきません(笑)。

投稿: ぽんぽこやま | 2009年3月13日 (金) 13時40分

ぽんぽこやまさん、コメントありがとうございます。

ベルギーは是非一度、死都ブルージュに行ってみたいです!そしてその旅では一緒に、オランダ、デン・ハーグにあるマウリッツハイス美術館でフェルメールの「真珠の耳飾りの少女」を見たいと夢想しています。

投稿: 雅哉 | 2009年3月14日 (土) 15時23分

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