五代目 桂文枝一門会/一日目
3月12日は五代目 桂文枝の命日にあたる。それにあわせ3月10日から始まった、一門会の第一日目を天満天神繁昌亭で聴いた。
昨年の追善落語会は二日間あり、文枝の直弟子二十人全員が揃い踏みという豪華さだった。そのときの感想は下記。
今年は三日間の開催となった。しかし直弟子のうち三枝、文珍、あやめら有名どころが出演せず、代わりに孫弟子が登場ということで中身が薄くなった感は否めない。正直余り期待せずに往った。ところが、蓋を開けてみると……。
演目は、
- 三幸/お忘れ物承り所(三枝 作)
- 阿か枝/池田の牛ほめ
- こけ枝/ちりとてちん
- 文也/はてなの茶碗
- 枝曾丸/和歌山弁落語・入院上々
- 枝女太/持参金
- 文福/同窓会(文福 作)+相撲甚句
一日十人の出演から七人に減ったことで、各自たっぷり時間をとって本領発揮。見所満載の高座が展開された。
「牛ほめ」は前座ネタだが阿か枝さんのようなベテランが演ると、また違った味わいがあった。
こけ枝さんの「ちりとてちん」は《びっくり食い》なる珍技が披露され、これがすこぶる面白かった。
京都在住の文也さんは、「はてなの茶碗」に登場する茶金(京都一名の知れた茶道具屋の金兵衛)が大阪から来た油屋に向ける冷ややかな視線、厭味な感じを巧みに演じられた。またマクラで「上方落語は大阪・京都・兵庫出身のNative Speakerでないと難しい」と強調され、後に登場する和歌山県出身のふたり(枝曾丸、文福)を牽制してブラックな笑いを取るなど、いかにも京都人らしくて可笑しかった。
「おばちゃんカツラ」を被った枝曾丸さんの和歌山弁落語は漫画家マエオカテツヤ氏との共作。おばちゃんの生態が生き生きと描かれた。
文福さんは持ち前の明るさで、登場しただけでパッとお目出度い気持ちになれるから不思議である。是非お正月に聴きたい噺家さんだ。
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