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2009年3月17日 (火)

N響メンバーによる木管五重奏の夕/神戸国際フルートコンクール

神戸国際フルートコンクール、記念演奏会シリーズ「N響メンバーによる木管五重奏の夕」に往った。会場は神戸文化ホール。

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メンバーは全員、NHK交響楽団の首席奏者あるいは首席代行である。

フルート:神田寛明、オーボエ:青山聖樹、クラリネット:磯部周平、ファゴット:水谷上総、ホルン:今井仁志

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曲目は、

  • ハイドン/ディヴェルティメント(H.ペリー編)
  • ヴィヴァルディ/協奏曲ト短調
  • ガーシュウィン/「ポーギーとベス」メドレー(B.ホルコム編)
  • ファルカッシュ/17世紀のハンガリー古典舞曲
  • ドヴォルザーク/弦楽四重奏第12番「アメリカ」(D.ウォルター編)

ヴィヴァルディの曲は、もとの編成がリコーダー、オーボエ、ファゴットと通奏低音という組み合わせだが、今回はフルート、オーボエ、ファゴットの三重奏で演奏された。つまり木管五重奏のために書かれたオリジナル曲はファルカッシュ1曲のみということになる。

ハイドンの曲は元々、木管八重奏として書かれた。この第2楽章は「聖アンソニーのコラール」という副題が付いている。そう、ブラームス/ハイドンの主題による変奏曲あの旋律だ。吹奏楽ファンならウィリアム・H・ヒル/聖アンソニー・ヴァリエーションでお馴染みだろう。

今回、聴いていて一番愉しかったのはヴィヴァルディ。次に20世紀ハンガリーに生まれたファルカッシュ。ハンガリーの舞曲といえばバルトークやコダーイを連想するが、さらに古(いにしえ)の鄙びた響きがした。

それから弦楽四重奏の為に書かれた曲を木管五重奏でするとどうなるんだろう!?と興味を引かれた「アメリカ」だが、これが意外と相性が合っていたので驚いた。考えてみればドヴォルザークはアメリカで採集した黒人霊歌や先住民族(ネイティブアメリカン)の民謡を取り入れているのだから、別に木管で演奏しても不自然ではないのだろう。第1楽章第1主題はまずファゴットで奏でられ、それがフルートに受け継がれる。第2主題はクラリネット。そして第2楽章はオーボエの歌で始るといった具合。弦だけの編成によるモノトーンな音色と比べると、色彩豊かになった。

ところで以前、工藤重典さんの演奏を聴いて気がついたことがある。

それは、優れたフルーティストは奏でる音もデカイということである。つまり、吹く息を100%音に変換する技術を持っているということ。下手な奏者は「フーッ!」と無駄に漏れる空気の音が派手に聴こえ、その差異は一目瞭然である。

これはオーボエ奏者にも当てはまる。下手な人は詰まったような音がして、音量も小さい。

そういう観点から聴いて、さすがN響のメンバーは名手揃いだなと感心した。ただ一方で、実力としては大阪市音楽団の楽員と同等だなと感じたのも事実である。やっぱり市音は上手いんだなと、大阪に住む人間として誇らしく思われた。

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