高田泰治の弾く、J.S.バッハ/ゴルトベルク変奏曲
大阪倶楽部であった高田泰治さんのチェンバロ・リサイタルに足を向けた。
僕が過去、高田さんを聴いた時の感想は下記。
- チェンバロとフォルテピアノ(2007年7月)
- 高田泰治/フォルテピアノ・リサイタル(2008年2月、プロフィールにも言及)
- フォルテピアノ&クラシカル楽器で楽しむモーツァルト(2008年8月)
今回、使用された楽器は1730年製フレンチモデルの2段鍵盤チェンバロ「ブランシェ」。演奏されたのはJ.S.バッハ渾身の大作、ゴルトベルク変奏曲。そう、「羊たちの沈黙」の主人公ハンニバル・レクター博士の愛聴曲である。ただし、彼が好きなのはグレン・グ−ルドが弾くピアノ版だが。また、細田守 監督の大傑作アニメーション「時をかける少女」ではこのゴルトベルクの第1変奏が非常に効果的に使われていた(新作「サマーウォーズ」が待ち遠しい!)
高田さんは的確なテクニックを持った将来有望なソリストである。現在も定期的にドイツに赴き、フォルテピアノ&チェンバロをミュンヘン音楽大学のクリスティーネ・ショルンスハイムに師事している。ショルンスハイムはフォルテピアノの第一人者、アンドレアス・シュタイアーの弟子であり、つまり高田さんはその孫弟子ということになる。
- アンドレアス・シュタイアー/フォルテピアノで弾くシューマン(「音楽の友」誌、コンサート・ベストテン2008の第5位に選出)
高田さんのバッハが素晴らしいのは、曲中でテンポが決して揺れないことである。その点が、難所に来るとテンポが落ちるトン・コープマンとの違いである。感情的に緩急が変化しても良いのはロマン派以降の話であって、絶対音楽であるバッハに人間的感傷は不要である。
弾き方は淡々としているが均整のとれた美しさがあり、真っ直ぐに、さらなる高みへと昇り続ける端正なバッハの姿がそこにはあった。
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