笑福亭たま/ミッドナイトヘッド
土曜日の天満天神繁昌亭で開催された笑福亭たまさんのレイトショー。午後9時45分に開演し、仲入り(休憩)なしで終わったのが午後11時20分くらい。前回の感想はこちら。
- 桂 三幸/エコロジー
- 笑福亭たま/伝説の組長(その前に新作ショート落語あり)
- 桂 かい枝/丑三つタクシー
- 笑福亭たま/ベルゼバブの蠅
全員、自作の新作落語であった。
三幸さんは師匠である三枝さんの創作落語に比べ、まだまだ内容・構成に練(ねり)が足りないと想った。愛媛県出身だそうで、妙な関西弁のイントネーションも気になった。それから子どもと母親、お父さんの口調がみな同じで、演じ分けが出来ていない。単に顔の向きを変えただけでは落語にならないのではないだろうか?
かい枝さんは半年間のアメリカ縦断の旅を終えた凱旋公演(昨年10月)を聴いた時、芸風がアメリカナイズされオーヴァー・アクションになっており、違和感が付きまとった。しかし、あれから数ヶ月が経ち調子を取り戻されたようで、今回はとても面白かった。照明を暗くした怪談噺で、ちょっと季節外れではあるが完成度も高かった(かい枝さんのブログによるとこれが3回目の口演だったそうだ)。
たまさんの「伝説の組長」はもう完璧!一分の隙もない。《夢オチ》は「天狗裁き」「ねずみ穴」「夢金」など他の落語にも沢山あるが、たまさん独自の工夫は3連続技で決めるところ。その手法はとてもSF的だ。
「ベルゼバブの蝿」はネタおろしの時に聴いた。その時点では前半の5分くらいしか出来ていない状態だったが、それでも筒井康隆的発想が秀逸で大いに愉しんだ。その後たまさんは噺を完成させ東京で披露。それに立ち会った噺家仲間から、後半で「蝿」も「ベルゼバブ」も出てこないと問題点を指摘されさらに改良、当日になって思い付いた内容も加味され演じられたそうだ。
追加された箇所に岡山の"館"が登場するのだが、どうして岡山?というのが少々気になった。岡山で多くの人が連想するのは横溝正史の金田一耕助シリーズだろう。それなら日本家屋の筈だが、たまさんの噺に登場するのは洋館のようだった。僕は岡山出身だけれど、神戸と違って岡山に洋館はないんだけれどなぁ……。しかし"ムカデ男"には腹を抱えて笑った。
今後もさらに練り上げられて、より一層面白いものへどんどん変わっていくことだろう。たまさんが繁昌亭大賞の創作賞を受賞されるのも、そんな先のことではない気がする。
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