英国王給仕人に乾杯!
評価:B+
映画公式サイトはこちら。2006年製作のチェコ映画(スロバキアとの合作)。
激動の20世紀を生きた、ある給仕人の視点から捉えたチェコ近代史を描く映画である。
貴族社会を経てヒトラーのズデーテン地方侵略、そしてソヴィエト連邦の支配に至る時代背景は暗いが、Positive thinkingな主人公なので悲壮感はなく、真にファンタスティックな寓話に昇華しているところが素晴らしい。ユニークな視点の勝利である。
登場する女性たちが美人揃いである。監督の趣味の良さだろう。そして次々と登場する料理、ビールの美味しそうなこと!
今から十数年前にプラハを訪れたことがある。余り知られていないがチェコはピルスナー発祥の地であり、ビール天国である。何と小瓶(330ml)が約80円。ミネラル・ウォーターよりも安かった。僕はチェコのブドバー(Budvar)こそ世界一旨いビールだと想っている。これがアメリカに渡りバドワイザー(Budweiser)に生まれ変わった。そんなことどもを、映画を観ながら懐かしく想い出した。
考えてみればチェコの映画を観るのはアカデミー外国語映画賞を受賞した「コーリャ愛のプラハ」以来である。あの作品が日本で公開されたのが1997年とのことなので、実に12年ぶり。「英国王 給仕人に乾杯!」のクレジットを見ると本作はAvidで編集されているし、CGによるVFXも施されていて、チェコ映画も確実に進化しているのだなぁと感心した。アメリカの放送局HBOも出資しているようである。
エンド・クレジットでアカデミー外国語映画賞を受賞した「メフィスト」で有名なハンガリーの巨匠イシュトヴァン・サボー監督の名前を見つけて驚いた。こちらによると、大富豪役で出演しているようである。
脚本・監督のイジー・メンツェルは28歳の時に発表したデビュー作「厳重に監視された列車」('66)でアカデミー外国語映画賞を受賞したそうだ。それが梅田ガーデンシネマで2月14日から上映されるらしいので、また是非観に往きたいと想っている。
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