大阪コレギウム・ムジクム/マンスリーコンサート《クリスマス・スペシャル》
今年のクリスマスはどう過ごそうかと考えあぐね、大阪コレギウム・ムジクム(公式サイトはこちら)のマンスリーコンサート「音楽市場」を聴こうと思い立った。そこで日本福音ルーテル教会(地下鉄「谷町四丁目」駅近く、ホテル・ザ・ルーテル隣)に足を向けた。
大阪コレギウム・ムジクムはこのルター派の教会を拠点としている。一方、日本テレマン協会はカトリック夙川教会で教会音楽シリーズを長年やっており、バッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)は神戸松蔭女子学院大学内のチャペルで定期演奏会を開催している。神戸松蔭は調べてみると日本聖公会系とのことで、門外漢の僕には各々の違いは良く分からない。まあ、良い音楽が聴けるなら宗派に関係なくどこにでも出入してしまうところが日本人的発想であろう(お寺や神社である落語会にも往っちゃうし)。ちなみに、この中で音響が最も素晴らしいのは神戸松蔭チャペルであり、文字通り《天から音が降ってくる》という体験をした。BCJはCDのレコーディングをここで行っている。
さて、日本福音ルーテル教会の話に戻ろう。まず滝田浩之 牧師からのお話があり、当間修一さんの指揮により今年の《クリスマス・スペシャル》が始まった。弦楽合奏はシンフォニア・コレギウムOSAKA、そして大阪ハインリッヒ・シュッツ室内合唱団の面々である。
- J. デ・プレ/Ave Maria
- H. シュッツ/「宗教的合唱曲集」よりEin Kind ist uns geboren
- M. デュリュフレ/グレゴリオ聖歌の主題による4つのモテット
- F. プーランク/Ave Verum Corpus
- F. プーランク/アッシジの聖フランチェスコの4つの小さな祈り
- G. サンマルティーニ/クリスマス・コンチェルト
- O. レスピーギ/リュートのための古い歌と舞曲 第3集
- 久しく待ちにし(賛美歌、D. ウィルコックス編曲)
- きよしこの夜(賛美歌、D. キャッシュモア編曲)
- 千原英喜/Ave Maria
- 鈴木憲夫/Ave Maria(弦楽合奏版、当間修一編曲)
- 荒野の果てに(賛美歌、当間修一編曲)
- 罪、とが、不義、悪(賛美歌、当間修一編曲)
- さやかに星はきらめき O Holy Night(賛美歌)
アンコールは、
- A. ブルックナー/Ave Maria
- J.S.バッハ/主よ、人の望みの喜びよ
大阪ハインリッヒ・シュッツ室内合唱団は大変実力があり、毎年1月に行われるオーディションで選ばれるメンバーは専門的教育を受けた人たちが揃っているそうである。吹奏楽ファンなら大阪市音楽団の定期演奏会ライヴCDに収録されているヨハン・デ=メイ/交響曲第3番「プラネット・アース」で合唱を担当していると言えば、お分かり頂けるだろう(詳細はこちら)。
今回特に気に入ったのはフランスの作曲家プーランクの二曲。宗教音楽も洗練されていて、しっかり20世紀の和声で書かれていた。
また、「罪、とが、不義、悪」を聴いて吃驚。なんと、「風の谷のナウシカ」のクライマックスで、この賛美歌が使われていることを今回初めて知った。これは久石 譲さんの提案なんだろうか。それとも宮崎 駿さん?はたまたプロデューサーの高畑 勲さん??非常に興味深い。
ブルックナー/Ave Mariaでは、当間さんが「本来この曲は、残響が3秒くらいあるヨーロッパの教会で演奏したいところなのですが……」というお話された。というのは、このAve Mariaは交響曲同様、曲中にブルックナー休止が何度も登場するからである。これはブルックナーがオルガニストを長年勤めてきた聖フローリアン教会で歌われることを前提に作曲されており、残響が乏しいとその休止部が《ぶつ切れ》になって間が持たないのだ。
大阪ハインリッヒ・シュッツ室内合唱団がこのメンバーで歌うのは《クリスマス・スペシャル》が最後。来年早々にオーディションがあり入れ替えが行われるということで、終盤は目に涙を浮かべている団員が多かったのも印象深かった。2,000円という低料金で素敵な曲を沢山聴かせて貰い、とても充実したコンサートだった。また、休憩時間にはお菓子やワインが振る舞われたのも嬉しかった。当間さん、そして楽員の皆さん、ありがとうございました!
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