アカデミー賞の司会者、ヒュー・ジャックマンへの期待
ヒュー・ジャックマンが第81回アカデミー賞授賞式のホストに決定した。授賞式は来年2月22日にハリウッドのコダックシアターで開催される。
彼は米ピープル誌が選ぶ「2008年最もセクシーな男」に、あのジョージ・クルーニーを抑えて選出されている。
「ヒュー・ジャックマンは完璧なまでのエンターテイナーで世界的な映画スター。また、上品かつエレガントで、場をわきまえる判断力を兼ね備えている」とはアカデミー賞を仕切るプロデューサーの弁。
《場をわきまえる判断力》とはアカデミー賞受賞式の場合、《政治的発言をしない》ことを意味する。かつてウーピー・ゴールドバーグ(「カラー・パープル」「ゴースト/ニューヨークの幻」「天使にラブソングを…」)が司会をした時、ウーピーは「アフリカ系アメリカ人」という言葉を連発し過ぎた。ジャックマンは既にトニー賞では3回ホストを経験しており、明るくて誰からも愛される紳士だから政治色抜きの華やかな祭典となるだろう。
来年のオスカー・ナイトで間違いなくハイライトとなるのは助演男優賞。故・ヒース・レジャー(「ダークナイト」)の名が呼ばれる瞬間、どのようなリアクションが会場に巻き起こるのか目が離せない。ヒース・レジャーはジャックマン同様オーストラリア出身であり、司会者からのコメントも愉しみだ。さて、誰がオスカーを受け取るのだろう?ちなみに地元オーストラリアでは姉のケイトと両親が授賞式に出席したようである(→詳細記事)。
ヒュー・ジャックマンはまた、《唄える司会者》でもある。しかも美声だ。彼はピーター・アレン(作曲家、および俳優)の生涯を描いたブロードウェイ・ミュージカル「ボーイ・フロム・オズ」で'04年にトニー賞の主演男優賞を受賞た。実はロイド=ウェバーのミュージカル「オペラ座の怪人」が映画化された際も彼に怪人役のオファーがあったのだが、「ボーイ・フロム・オズ」に出演中だったため断り、ジェラルド・バトラーに役が回ったという経緯がある。
律儀な男なのだ。だから必要もないのに「X-MEN」のスピンオフ映画「ウルヴァリン」に出たりする(「ウルヴァリン2」は東京でロケしたいとも発言している)。そういう点では、大スターになってからも暫くテレビ・シリーズ「ER救命救急室」に出演し続けたジョージ・クルーニーと似たところがある。
閑話休題。で、ホストのヒュー・ジャックマンに期待するのはアカデミー授賞式でたっぷり唄ってもらいたいということ(ビリー・クリスタルが司会をした時も、作品賞候補作を唄で紹介する場面があった)。そして彼がミュージカル・スターであることを全世界の視聴者に向けアピール(プロモーション)して欲しいのだ。それは未だ実現せぬミュージカル映画への出演を後押しすることにもなるだろう。
僕が是非、彼で観たいのはロイド=ウェバーのミュージカル「サンセット・ブルーバード」に登場する売れない脚本家ジョー・ギリス役。これはもともとビリー・ワイルダー監督の名作映画「サンセット大通り」(1950)を原作としており、映画ではウィリアム・ホールデンが演じた。実はヒュー・ジャックマンも「サンセット・ブルーバード」オーストラリア公演で同役を演っている。
ミュージカル版「サンセット・ブルーバード」映画化の企画はかなり以前からあるのだが、中々前に進まない。一時は監督候補としてマーティン・スコセッシ(「タクシー・ドライバー」「ディパーテッド」)の名前も挙がった。
今は忘れ去られたサイレント映画の大女優ノーマ・デズモンド役の最有力候補は舞台でも同役を演じトニー賞を受賞したグレン・クローズ。しかし、ライザ・ミネリやメリル・ストリープの名前も取りざたされており混沌としている。
ぶっちゃけ、ノーマ役は誰でも良い。でも彼女の”若いツバメ”であるジョー役はヒュー・ジャックマン以外考えられない。ただ、ウィリアム・ホールデンが同役を演じたのは32歳くらい。そしてジャックマンは既に40歳。”若いツバメ”の賞味期限は刻々と迫っている。
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