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2008年12月 9日 (火)

上原彩子/ピアノリサイタル

チャイコフスキー国際コンクールのピアノ部門で日本人として、そして女性としてもとなる優勝を果たした上原彩子さんのピアノを聴きにいずみホール(大阪)に足を運んだ。

上原さんの経歴はプロの音楽家としてまことにユニークである。1980年生まれ。3歳児コースからヤマハ音楽教室に入会し、'90年よりヤマハマスタークラスに在籍。県立高校卒業後も音楽大学に進むことなく、ヤマハで研鑽を積んだ。

そういうこともあって、僕は当然YAMAHAのピアノで演奏するのかなと予想していたのだが、いずみホールに用意されていたのはスタインウェイ(Steinway & Sons)だった。ちなみにプロのピアニストが全てスタインウェイを使用するわけではない。ロシアの名ピアニスト、スヴャトスラフ・リヒテルはYAMAHAを愛用していた(→YAMAHAのサイトへ)。

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今回のプログラムは以下の通り。

  • 一柳慧(いちやなぎ とし)/ピアノ・スペース
  • グリーグ/叙情小曲集より6曲
  • グリーグ/ピアノ・ソナタ
  • グバイドゥーリナ/シャコンヌ
  • プロコフィエフ/ピアノ・ソナタ第8番

一柳さん以外は北欧・旧ソ連の作曲家たちが並んだ。アンコールは、

  • リスト/愛の夢 第3番
  • リスト/超絶技巧練習曲 第5番「鬼火」

上原さんは拍節のない一柳さんの曲は楽譜を見ながら弾かれたが、それ以降は全て暗譜だった。

多くのピアニストたちにとって課題となるのは十指のいずれでも均一の強さで鍵盤を叩くことができるか?ということであろう。親指や人差し指などと比較すると小指の力は弱いので、音にバラツキが生じ易い。その点、上原さんのテクニックは完璧。鍛えられた強靭な小指で、とても力強い演奏を聴かせてくれる。グバイドゥーリナ、プロコフィエフ、リストなど超絶技巧を要する曲でも、響きの曖昧さやミス・タッチが皆無というのも驚異的だ。

上原さんは鋼鉄のタッチを持つピアニストである。そういう意味ではリヒテルとかエミール・ギレリスの資質に近いものを感じる。ではその演奏は冷たいのか?と問われれば決してそういうことは無く、熾火のように隠微な炎がめらめらと燃えている。硬質な叙情。それが彼女の持ち味である。日本でも屈指の名ピアニストの演奏を十分堪能させて貰った。

ただ、馴染みのない曲が並んでいたせいか、客の入りは6、7割程度。こんなに素晴らしい演奏なのに勿体ないなと想われた。

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