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2008年12月 1日 (月)

夢のミュージカル映画

いよいよ師走である。昨年はクリスマスに是非観たいお勧め映画について書いたので、興味のある方はご覧下さい。

さて、本題。映画「ゴッドファーザー」で有名なイタリアの作曲家ニーノ・ロータウィーン・フィルの話をしたい。でもその前に大きく回り道をしよう。暫くお付き合い願いたい。

今、ミュージカル・ファンの間で話題沸騰なのが映画「マンマ・ミーア」である。公式サイトはこちら。アメリカではとっくに上映されているのだが、日本では漸く2009年1月30日に公開日が決まった。何と言っても注目はメリル・ストリープの歌!そしてMr.ジェームズ・ボンドこと、ピアーズ・ブロスナンも歌う。

劇団四季の舞台版でも御存知の通り全篇がABBAのダンサブルなナンバーに彩られたハッピー・ミュージカルである(余談だが東京では生バンドだったが大阪四季劇場ではカラオケ上演だった)。「ダンシング・クイーン」では観客も立ち上がり、劇場がディスコ・パーティへと変貌する。

映画版はアメリカで熱狂的リピーターを生み、100回以上観た人もいたそうだ。イギリスでも大ヒットとなり「ハリー・ポッター」シリーズの記録を抜き、興行成績で「タイタニック」に次ぐ歴代2位という数字をはじき出した。

Mamma_mia

しかし僕が語りたい《夢のミュージカル映画》とは「マンマ・ミーア!」のことではない。もっと凄いプロジェクトが来年控えているのである。

それはミュージカル映画「シカゴ」でアカデミー作品賞を受賞したロブ・マーシャル監督の最新作「ナイン」のことである。トニー賞を受賞したブロードウェイ・ミュージカルの映画化で、作曲を担当したのはモーリー・イェストン。彼は他にミュージカル「グランドホテル」「タイタニック/TITANIC the musical 」「ファントム」等で知られている(「グランドホテル」と「ファントム」は宝塚歌劇でも上演された)。

映画「ナイン」は現在、英国のシェパートン・スタジオで撮影中。なんといっても注目すべきは過去にアカデミー賞を受賞したことのあるスターが5人も出演していることである。

「マイ・レフト・フット」と「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」で2度オスカーを受賞したダニエル・デイ=ルイス、そしてニコール・キッドマン(めぐりあう時間たち)、マリオン・コティヤール(エディット・ピアフ ~愛の讃歌~)、ジュディ・デンチ(恋に落ちたシェイクスピア)、ソフィア・ローレン(ふたりの女)。さらにオスカー候補者となったペネロペ・クルス(ボルベール〈帰郷〉)、ケイト・ハドソン(あの頃ペニー・レインと)も出演する。ドリーム・キャストとは正にこのことだろう。

で、そのセットでの写真をご覧あれ→こちら。なんとゴージャス、なんてデカダンス!アメリカ公開は2009年12月。当然、アカデミー賞を狙う。

実は「シカゴ」でアカデミー助演女優賞を受賞したキャサリン・ゼタ=ジョーンズも当初キャスティングされていた。しかし自分の役が小さすぎると不満を持った彼女はロブ・マーシャルと衝突し、去っていった。また主人公の映画監督グイド役は「ノーカントリー」でオスカーを受賞したハビエル・バルデムが演じる予定だった。だが米脚本家組合(WGA)のストライキが100日間も続き、映画の撮影スケジュールが大幅に遅れたためバルデムの日程調整がつかなくり無念の降板となった。

僕は本当はバルデムのグイドが愉しみだったのだけれど、代わりにあのダニエル・デイ=ルイスが演ってくれるのなら何の不満があろう。ただ、彼は本当に歌えるのか?その点だけが少々心配ではある。なお、ブロードウェイ・リバイバル版でグイドを演じたのはアントニオ・バンデラスだった。

「ナイン」は1963年にアカデミー外国語映画賞および衣装デザイン賞を受賞したイタリア映画「8 1/2」(フェデリコ・フェリーニ監督)を基にミュージカル化したものである。役名もオリジナルのまま。主人公グイドはフェリーニの分身である。タイトルの「はっかにぶんのいち」とは、それまでにフェリーニが監督してきた映画の本数を示しており、"1/2"はオムニバスや共同監督したものを分数に換算したものである(ちなみに、フェリーニの映画「カビリアの夜」も後にボブ・フォッシー振付・演出でブロードウェイ・ミュージカル「スウィート・チャリティ」に生まれ変わっている)。

そしてオリジナルの「8 1/2」の音楽を担当したのが、デビュー作から全てのフェリーニ作品を手掛けてきたニーノ・ロータなのである。

つづく (To Be Continued...)

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コメント

81/2がなぜ「9」になったかというと、音楽が加わったことで1/2増えたという説がありますね。

初めてNYに行った時、ちょうど終わったばかりで、見られなくて、その後の日本公演も縁がなかったです。これは見たいですね。

投稿: ぽんぽこやま | 2009年3月 6日 (金) 17時58分

コメントありがとうございます。8 1/2→9についての説は初めて知りました。面白いですね。

ブロードウェイの演出のまま上演された日本版は2回観ました。舞台に本物の水が流れたりして良かったですよ。

ところで映画「マイ・フェア・レディ」のリメイク、やるそうです。驚きました。イライザ役をキーラ・ナイトレイ、監督が「リトル・ダンサー」「愛を読むひと」のスティーブン・ダルドリー。これは期待出来そうです。正に"The musical is back"ですね。ヒギンズ教授はジョナサン・プライスが最有力なのでは?と僕は考えているのですが。

投稿: 雅哉 | 2009年3月 6日 (金) 18時14分

Youtubeでtrailer見てきました。もう今から期待度200%!早く上映される日が来ないかなという感じですね。映画館に連日通ってしまいそう。

ジョナサン・プライスがヒギンズ教授、いいですねー。実現したら見たいです。

投稿: ぽんぽこやま | 2009年5月24日 (日) 01時40分

映画「ナイン」は北米では今年末に上映されますが、アカデミー賞最有力候補なので日本での上映は来年3月以降になりそうな嫌な予感が。「天使と悪魔」みたいに今では技術的に日米同時公開が十分可能なのですが。

でも「おくりびと」や「スラムドッグ$ミリオネア」の日本での興業成績の行方を見てみると《オスカー効果》という言葉がいまだに健在であることも確かです。

投稿: 雅哉 | 2009年5月24日 (日) 08時35分

ミュージカルがかなり一般的になったとはいえ、日本人の好む作品って偏りがありますよね。

「シカゴ」も初演の上月晃・草笛光子・植木等版(シアターアプル)は内容がすばらしかったにもかかわらず、ガラガラだったそうです。東宝が鳳蘭・麻実れいで上演したときにはヒットしましたけど、あまりに強いボブ・フォシー色を薄めての上演で、ツレちゃんとターコさん、夢の競演というのを前面に打ち出してPRしての結果だったように思います。

「ナイン」も日本ではあまり上演されていない演目ですから、仕方ないかもしれませんね。「マンマミーア!」ほど遅くないならちょっとは我慢します。

投稿: ぽんぽこやま | 2009年5月24日 (日) 10時30分

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