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2008年12月21日 (日)

青い鳥

評価:B+

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重松清の小説が嫌いだという話は以前に書いた。だから「その日のまえに」に続いて、彼が原作を書いた映画を褒めることは本意ではないが、致し方ない。それだけこの作品に力があるということである。

「青い鳥」というタイトルからして胡散臭く、ましてや、いじめで生徒が自殺未遂を起こした学校に"吃音"の先生がやってくるという設定は如何にもあざとい。ところが実際観ていると、極めて真摯に創られた巧みな物語展開で深い感銘を受けた。いじめ問題に解答を示すような安易なことはせず、予定調和でないところに好感を抱いた。青春映画の新たな傑作の誕生である(しかし、青春につきものの恋愛はない)。

本作が劇映画初監督という中西健二の丁寧な演出が見事だし、を基調とした上野彰吾による撮影は、特筆すべきクオリティの高さである。ハッとするような青空の美しさをこの映画で再認識させられた。

中学校教師を演じた伊藤歩は本当にいい女優になった。僕がスクリーンで彼女を初めて観たのは大林宣彦監督の「水の旅人」(1993)。これがデビュー作で当時13歳、彼女もまだ中学生だったのである。岩井俊二監督の「スワロウテイル」(1996)も観たなぁ(詰まらない映画だった)。

「青い鳥」を観ながら、「水の旅人」の伊藤歩の部屋にムンクの「叫び」人形があって、彼女がそれにパンチを喰らわせていたことを懐かしく想い出した。

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