延原武春/日本テレマン協会《第九 de クリスマス》
延原武春/テレマン室内管弦楽団・合唱団による《100人の第九》がザ・シンフォニーホールで始まったのが1983年。以来これは大阪・年の瀬の風物詩となり、現在では《第九 de クリスマス》として定着している。今年も12/21(日)にザ・シンフォニーホールに足を向けた。会場は満席。補助席も出てびっしり埋まった。
《100人の第九》は48名のオーケストラと合唱団併せて100名で演奏するもので、これはベートーヴェンが初演した当時の編成を再現しようという試みである。この考えをさらに推し進めたのが昨年、オケ+合唱の総勢80名で挑戦した飯森範親/いずみシンフォニエッタ大阪の演奏だった。
さて、今年日本初となるオリジナル(古)楽器によるベートーヴェンの交響曲全曲演奏会を敢行した延原/テレマン協会だが、《100人の第九》の方は古典的対向配置でモダン楽器によるピリオド奏法を採用している。つまり基本的に弦楽器はビブラートを抑え、音尻は伸ばさず速やかに弓を弦から放し、すっと減衰する。ティンパニのみピリオド楽器が使用され、それが非常に効果的であった。
ベートーヴェンの楽譜に記されたメトロノーム速度を遵守した小気味好いテンポで、贅肉を削ぎ落とされ引き締まった第九が展開されていく。文句なし。20世紀に主流だった肥大化したベートーヴェンよ、さらば!
延原さんのお話によると、来年はハイドンやモーツァルトもオリジナル楽器による演奏に挑戦してみたいとのことであった。
休憩を挟み後半は、モーツァルト/交響曲第25番第1楽章、「レクイエム」~"ラクリモサ"や、バロック音楽の名曲オン・パレード。
クープラン/神秘のバリケードではチェンバロの名手、中野振一郎 先生が華麗なテクニックを披露。
グルック/歌劇「オルフェオとエウリディーチェ」~"精霊の踊り" における森本英希さんのフルート・ソロ、J.S.バッハ/無伴奏パルティータ第3番~"プレリュード"の浅井咲乃さんの独奏ヴァイオリンもとても良かった。
マルチェロ/オーボエ協奏曲第2楽章(映画「ヴェニスの愛」テーマ)は延原武春さんがオーボエを担当された。正に日本テレマン協会のショーピースという感じ。
クリスマス・キャロル「もろ人こぞりて」「神の御子は今宵しも」に続き、アンコールは《第九 de クリスマス》恒例「きよしこの夜」。照明が落とされ、暗闇にサイリュームの光が揺らめく中で演奏された。
午後2時開演で、終わってみれば既に4時50分。盛り沢山な内容でお腹いっぱい、大満足の演奏会だった。
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