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2008年12月10日 (水)

メシアン生誕100周年記念/室内楽の夕べ

20世紀フランスを代表する作曲家、オリヴィエ・メシアン生誕100年を祝うコンサートを聴きに、いずみホール(大阪)に往った。

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モーツァルト生誕250年だった2006年は日本中で飽き飽きするくらいモーツァルトが演奏された。しかし同じ年、没後10年だった武満徹は大阪では無視され、今年メシアンを聴く機会も殆ど無かった。つまり、モーツァルトと違って武満やメシアンでは商業ベースに乗らないということだ。《大阪の文化レベル》とは、この程度のものである。今回の企画も、主催が相愛大学(音大)だから実現できたのだろう。

2006年春に経済界から提言された大阪の4オーケストラ統合問題で、各々の理事長たちは「統合すると大阪の文化が損なわれる」と発言した。

オケが大阪の文化だと僕は全く思わないが、折角4つもあるのだからせめて今年、メシアンの代表作・トゥランガリーラ交響曲をどこかが演って欲しかった。あの名曲を大阪で一度も聴けないなんて、これは異常な話である(東京では今年、NHK交響楽団や東京都交響楽団が演奏している)。

ちなみに僕の希望としては、トゥランガリーラ交響曲を是非、大植英次/大阪フィルハーモニー交響楽団で聴いてみたいと想っている。余り知られていない事実だが、この曲の初演をしたのはレナード・バーンスタイン/ボストン交響楽団だった。

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さて、今回のプログラムは以下の通り。

  • 2台のピアノのためのアーメンの幻影
  • 世の終わりのための四重奏

演奏したのはいずれも相愛大学の教授、准教授、講師ら。僕のお目当ては「世の終わりのための四重奏」で登場した、ヴァイオリンの小栗まち絵さん(サイトウ・キネン・オーケストラのメンバーで、いずみシンフォニエッタ大阪のコンサートミストレス)とクラリネットの金井信之さん(大フィル首席で、なにわ《オーケストラル》ウィンズ代表)だった。

いずみホールは約8割の入り。でも聴衆の大方は教師や生徒など、学校関係者だった様だ。

メシアンといえばカトリック神秘主義で、しばしばその作品の中で鳥の声が聴こえてくるという印象が強かったのだが(「鳥のカタログ」「異国の鳥たち」という曲もある)、今回じっくりと「アーメンの幻影」を聴いて、鳴り響く鐘の音が印象深かった。そのつもりで耳を澄ますと、慣れ親しんでいた筈の「世の終わりのための四重奏」からも鐘の音が聴こえてきた。

世の終わりのための四重奏」は第2次世界大戦中の1941年、メシアンがドイツ軍の捕虜として生活を送っていた収容所で初演された。クラリネット、ヴァイオリン、チェロ、ピアノという特異な編成は、その楽器を弾ける音楽家がそこにたまたまいたからである。

小栗まち絵さんのヴァイオリンが雄弁で素晴らしかったのはいつものことなのだが、その分チェロが弱く、全然鳴っていなかったのが残念だった。やはり室内楽というのは楽器同士の対話であり、各々が対等な力関係でなければならないということを改めて思い知った次第である。

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さて、来年はハイドン没後200年の記念の年。ハイドンなら、ここ大阪でも商売になるだろうか?

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