アンドレアス・シュタイアー/フォルテピアノで弾くシューマン
フォルテピアノの第一人者、アンドレアス・シュタイアーのリサイタルを大阪のザ・フェニックスホールで聴く。
曲目はオール・シューマン・プログラムで、
- 子供のためのアルバム より
- スケルツォ、ジーグ、ロマンツェとフゲッテ
- フゲッタ形式による7つの小品
- 森の情景
- 子供の情景
- (アンコール)暁の歌
フォルテピアノについての詳しい説明は、下記記事に書いたので今回は省略する。
使用された楽器は1846年にウィーンで製作されたヨハン・バプティスト・シュトライヒャー。
足ペダルが2つで(モーツァルトの時代は膝レバー)、鍵盤は85鍵(現在のピアノは88鍵)。「森の情景」や「子供のためのアルバム」が作曲されたのが1848年だからシューマンが生きていた当時の楽器である。
モーツァルトの時代に製作されたものと比較すると、現代のグランドピアノにかなり近い。しかし些か金属的で痩せた音がする。そして音域(高低)により音色が違うというフォルテピアノの特徴も残っている。
僕はハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンの交響曲は基本的にモダン・オーケストラよりも古楽器の方が相応しいと想っているし、例えばバッハ/ゴルドベルク変奏曲などは、グレン・グールドのピアノで聴くよりもチェンバロ演奏の方が好きだ。
しかし、フォルテピアノに関してはそうは想わない。やはり楽器として未完成の響きがする。例えばハイドンのピアノ・ソナタの場合、現代楽器で弾かれたマルク=アンドレ・アムランの一分の隙もない完璧な演奏を聴くと、当分これを凌ぐものは現れないだろうと畏怖の念を抱かずにはいられない。
シュタイアーのシューマンは素晴らしい演奏だった。恐らく作曲家の頭の中にはこのような音が響いていたのだろう。ただ、マルタ・アルゲリッチの弾くよりダイナミックなシューマンも捨てがたく、オリジナルvs.モダン楽器の勝負は五分五分かなという気がした。
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