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2008年11月 5日 (水)

桂吉弥「くしゃみ講釈」「たちぎれ線香」

10/30に繁昌亭で桂吉弥さんの落語会を聴く。

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  • 左ん吉/延陽伯
  • まん我/へっつい幽霊
  • 吉弥   /くしゃみ講釈
  • 吉弥  /たちぎれ線香

吉弥さんはマクラで桂小米朝改め、米團治襲名披露公演の話をされた。襲名の口上を述べる場面で吉弥さんは司会をすることが多く、米朝ざこば南光ら大先輩や東京からのゲストがずらりと舞台上に居並ぶ中、「恒例により敬称は略させていただきます。決してNHK『ちりとてちん』で人気が出たからといって、天狗になっているわけではございません」と前置きすると、すかさずざこばさんが、「いや、オレは思うてるよ!天狗になってるて!!」と大声で言ったことを明かされ、場内大爆笑となった。

吉弥さんの「くしゃみ講釈」はDVD「繁昌亭らいぶシリーズ3」で既に観ていた。2007/11/3に繁昌亭で収録されたものだから、丁度1年前である。今回、生で接して驚いた。明らかに進化している!あちらこちらに新たな工夫が加えられ、爆笑度が上がっているのだ。特に圧巻だったのはクライマックスの講釈。最初は小声でゆっくりと始まり、次第に声が大きくなりテンポも加速する。畳み掛けるような、その迫力ときたら!いくら人気者になっても決して奢らず、日々精進されてきた成果が歴然と現れていた。

ただ、「たちぎれ線香」という大ネタは37歳の吉弥さんにはまだまだ難しいかなとも感じさせられた。

僕が最初にこれを聴いたののが吉弥さんの大師匠に当たる桂米朝さんのDVD。そして先日、繁昌亭昼席で林家染二さんの高座を聴いた。何れも素晴らしいもので、この二人に比べると吉弥さんの「たちぎれ」は正直、物足りなかった。

噺の途中から登場する番頭の風格、後半で明らかとなる芸妓・小糸の純愛。そしてクライマックス、誰も弾かないのに鳴り出す三味線とともに聴こえてくる地唄「雪」で醸し出される幽玄の世界。この深さを表現し尽くすには噺家としてさらに経験を積み、年輪を重ねていく必要があるのだろうと痛感させられた。

ここで枝雀 著「桂枝雀のらくご案内」(ちくま文庫)から引用しよう。

うちの師匠(米朝)の『たちきれ』をはじめて聞かせてもろた時も感激しましてね。この噺は大阪落語の大物中の大物で、若旦那と芸妓の純愛をテーマにした噺なんですけど、私はこの『たちきれ』一席が、他のすべての落語を合わせたものとつりあうとまで思いましたからな。師匠に「もし私が『噺をやめる』言いだしたら、『落語には"たちきれ"があるねんぞ』と言うてください。きっと帰って来ますから」とマジで言うたこともあります。(中略)『たちきれ』はあこがれのネタです。

吉弥さんはまだ若いし、現時点で噺家として完成してしまっていたら、それはそれで詰まらない。だから今から十年後、二十年後に吉弥さんの「たちぎれ線香」を聴く日を、また愉しみにして待ちたいと想う。

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上の写真は常夜灯に群がる虫の如く、会がはねて挨拶に現れた吉弥さんを取り囲む聴衆の様子。サインや写真撮影のリクエストに気さくに応じる彼の姿があった。

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