笑福亭たま "NIGHT HEAD"
10月11日(土)繁昌亭レイトショー、たまさんの落語会に往く。開演は午後9時45分、仲入り(休憩)なしで終わったのが11時15分頃だった。
- 桂 ひろば/ろくろ首
- 笑福亭たま/遊山船(その前にショート落語の新作あり)
- 桂 米左/はてなの茶碗
- 笑福亭たま/ベルゼバブの蠅(たま 作)
- 笑福亭たま/果物ナイフ(たま 作)
僕は入門10年以下の上方若手落語家の中で、最も才能があるのがたまさんと桂 吉坊さんだと確信している。
端正で上品な吉坊さんの芸風に対して、たまさんのそれは些か下品で躍動感に富む。その資質の違いは即ち、米朝一門と笑福亭一門の差異でもある。今回客演の米左さんも、マクラで「米朝一門は一歩引いた芸風」と語られていた。このようにして伝統は見事に継承されているのである。
たまさんの新作二作品はまだいずれも未完成とのことだったが、特に「ベルゼバブの蝿」がすこぶる面白かった。たまさんは間違いなく落語作家としての才能もある。SF的要素のある作品だったが、故・桂 枝雀の創作した「SR」が星 新一的ショートショートの世界だったのに対して、たまさんのラディカルさははむしろ、筒井康隆に近いと想った。たまさんも枝雀さんを相当意識されているようで、ショート落語では《桂 枝雀の手ぬぐい -緊張の緩和- 》を披露された。
古典の「遊山船」は本来夏の噺で季節外れだが、たまさんによると「情緒を味わうタイプの噺なのでギャグが少ない。だから通常の落語会でこれをかけると、『コイツ、おもろくないやん』と思われるのが悔しいから今年はまだ2回しか演ってない」とのことだった。
このように "NIGHT HEAD"はたまさんの実験場でもある。貴方もこの、めくるめくディープな世界に参加してみませんか?
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