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2008年9月

2008年9月30日 (火)

関西マーチングコンテスト(高校以上の部)観戦記 2008

昨年は地元・大阪城ホールで全日本マーチングコンテストが開催されたので観に往った。

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しかし今年の全国大会は幕張メッセなので遠征は諦め、替わりに関西大会を観ることにした。

いきなり話はクライマックスに飛ぶ。各校のパフォーマンスが終わり審査結果発表前に、僕は連れと、もし自分が審査員ならばどこを関西代表に選ぶか?を冷静に検討した。ちなみに昨年は4校が全国に駒を進めている。

僕の予想は、

  • 兵庫 滝川第二高等学校(滝二)
  • 大阪 大阪府立淀川工科高等学校(淀工)
  • 大阪 向陽台高等学校
  • 大阪 大阪桐蔭高等学校

連れの予想は、

  • 淀工
  • 向陽台
  • 桐蔭
  • 京都 京都橘高等学校

そして結果は、

  • 滝二
  • 淀工
  • 桐蔭
  • 京都橘

となった。つまり上に挙げた5校の実力が拮抗しており、どこが選ばれてもおかしくない状況だったと言えるだろう。それにしても昨年、全国大会で金賞を受賞した向陽台が落選したのには驚かされたし、これは納得がいかない判定であった。

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総論を述べると、関西吹奏楽コンクール同様に各都道府県で地域格差を感じた大会であった。大阪勢のレベルが圧倒的に高く、逆に滋賀県と和歌山県が低調だった。金賞の数は大阪5、兵庫2、京都1。滋賀代表3校は全て銅賞。和歌山代表は1校のみで、ここも銅賞だった。

また、京都橘などカラーガード隊のある学校がいくつか見られた。僕はマーチングコンテストに関する限り、10人以下の少数のカラーガード隊は中途半端な印象を受け、蛇足のように想う。代表に選ばれた4校の内3校はカラーガード隊がないわけで、審査上有利であるかどうかも怪しい。カラーガード隊を活躍させたいのならば、日本マーチングバンド・バトントワーリング協会主催の全国大会が別にあるわけだから、そちらに参加すればよいのではないだろうか?実際に明浄(大阪)、武庫女(兵庫)、天理(奈良)などマーチングの強豪校はそちらを選択し、吹奏楽連盟が主催するこちらのコンテストには参加していない。両者に出場している西原(沖縄)や精華女子(福岡)などは全日本マーチングコンテストの方はカラーガード隊なしで出場し、きちっと棲み分けしている。

また「屋根の上のバイオリン弾き」「ジーザス・クライスト・スーパースター」「オペラ座の怪人」などを演奏した学校があったが、どうもミュージカルの音楽はマーチングに合っていない気がした。

各論に入ろう。印象に残った団体を出場順に書く。

滝川第二高等学校  滝二の代名詞ともいえる「アルセナール」は正に王者の行進。ひし形の隊列なども完璧に揃い、お見事。続く「マスク・オブ・ゾロ」は「タイタニック」のJ.ホーナーが作曲したハリウッド映画音楽。闘牛場を彷彿とさせるスパニッシュなムードに溢れ、聴き応えあり。

京都府立京都すばる高等学校  まずシンバル捌きがまるで沖縄県立西原高等学校みたいに華麗で魅了された。演奏したのは「オリエント急行」や「宇宙の音楽」で有名なP.スパークの「ハイランド讃歌」。格好いい曲で大いに気に入った。ただしこれは高音域が難しく、演奏に難があった。曲を選べば十分に値するパフォーマンスであり来年に期待したい。

淀川工科高等学校  淀工は例年通り「ハイデックスブルク万歳」「カーペンターズ フォーエバー」そして「六甲おろし」。毎年中身が同じとの批判もあろうが、高水準で安定したパフォーマンス。特に鉄壁のアンサンブルはさすがで、演奏面では文句なしに本コンクールNO.1であった。

向陽台高等学校  今年、僕はここのパフォーマンスが一番好きだった。女生徒だけのバンドだが、まず歌声を聴かせる導入部がそよ風が駆け抜けるようで爽やか。向陽台ほどしっかり足を上げて行進する学校は他になく、軍隊式のきびきびした動きが小気味好い。ホルストの「惑星」は途中サンバのリズムに変化するアレンジに心が弾み、そのステップも鮮やか。そしてここの名物ともいえる、スーザフォンをクルクル廻すパフォーマンスにときめいた。向陽台が代表権を逃したのは余りにも惜しい。

大阪桐蔭高等学校  昨年の関西大会は銀賞だったそうだ。しかし、ここの充実振りは目を瞠るものがあった。まず100名を越す大人数に圧倒された。「サーカス ビー」「熊蜂の飛行」「花のワルツ」と《蜂》というテーマで音楽を統一したコンセプトが良い。演奏の質が高く超絶技巧の「熊蜂の飛行」も見事に吹きこなし、乱れない。本大会では淀工の次に上手かった。またドラムメイジャーを担当した女生徒のバトン捌きがプロ顔負けで腰を抜かした。恐らく日本全国で、ドラムメイジャーが最強なのは福岡の精華女子高等学校だろうと僕は想っているのだが、その精華に一歩も引けを取らない位べらぼうに素晴らしいパフォーマンスだった。この実力があれば、今年の桐蔭は全国大会での金賞も決して夢ではないだろう。

箕面自由学園高等学校  斜めに進行したり、後進したりとフォーメーション(コンテ)が意表を突いて面白かった。隊列も良く揃っていたと想う。

京都橘高等学校  関西大会唯一のミニスカートで、ここの売りはその可愛らしさにある。ベニー・グッドマン楽団の代表曲「シング シング シング」と、それをパロディにしたジョン・ウィリアムズ作曲の「スウィング スウィング スウィング」(スピルバーグが監督した映画「1941」より)を組み合わせて演奏するというアイデアも○。演奏の方も去年より上手く、観ていて愉しい演技であった。

そんなこんなでコンクールが終了したのが14時前。会場となった大阪市中央体育館を後にし、兵庫県立芸術文化センターに移動。今度は15時から鈴木秀美&オーケストラ・リベラ・クラシカのメンバーによるモーツァルトを聴くことになるのだが、それはまた、別の話。

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2008年9月28日 (日)

クレメラータ・バルティカ&オーケストラ・アンサンブル金沢

井上道義/オーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)の大阪定期公演に足を運んだ。今回のゲストはギドン・クレーメルクレメラータ・バルティカ(KB)である。

Kanazawa

世界的ヴァイオリニスト、ギドン・クレーメルはラトヴィア生まれ。1969年にパガニーニ国際コンクールで優勝。70年にはチャイコフスキー国際コンクールでも優勝した。つまり、99年パガニーニで優勝した庄司紗矢香(史上最年少の16歳)、90年チャイコフスキーで優勝した諏訪内晶子(同コンクール史上最年少の18歳)や2007年優勝の神尾真由子らの大先輩ということになる。

クレメラータ・バルティカクレーメルが1997年にバルト三国(エストニア、ラトヴィア、リトアニア)の若い弦楽奏者たちを集めて結成した室内オーケストラ。バルト三国はバルト海を挟んでスウェーデンやフィンランドなど北欧諸国と向かい合っている。故にこの地域は《環バルト海》と呼ばれている。地図で各々の国の位置関係を頭に入れておくとこれから書く話が分かりやすいだろう。こちらを参照まで。

プログラムはフィンランドの国民的作曲家シベリウスの作品が前半に、ノルウェーのグリーグが後半に配置された。

  • シベリウス/カレリア組曲(OEK)
  • シベリウス/ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 (OEK&KB)
  • グリーグ/組曲「ホルベアの時代から」(KB)
  • グリーグ/劇音楽「ペール・ギュント」(OEK&KB)

オーケストラ・アンサンブル金沢が単独でしたカレリア組曲は、あっけらかんとした凡演。もっと北欧のほの暗い音色が欲しかった。はっきり書こう。昨年、金 聖響さんとのブラームス・チクルス(全4回)を聴いた時も感じたが、ここの実力は明らかに大阪フィルハーモニー交響楽団より下。特に弦楽セクションは大フィルのほうが断然上手い。井上道義さんの指揮も、行進曲のリズムが重たくていただけない。

ところが、OEKの弦楽奏者とほぼ同数のクレメラータ・バルティカが加わったヴァイオリン協奏曲になると、俄然良くなった。鬼火のように青白く燃える、これぞ《環バルト海》の音!

シベリウス/ヴァイオリン協奏曲は今年1月の大フィル定期で聴いた。この時の独奏はサラ・チャンだったのだが、これがまるでハリウッド映画のように明るく華やいだ音でシベリウスに全く相応しくない。「サラ・チャン、もう二度と日本に来なくていいよ」というのが正直な感想であった。

しかしクレーメルの独奏は素晴らしかった!もうこれ以上のシベリウスは生涯二度と聴けないだろうというくらいの名演。やや線が細いけれど精神がピンと張り、感覚が鋭く研ぎ澄まされた音色。曲を腑分けするような極めて知的な解釈でありながら、決して冷たくはなく、ヴァイオリンが縦横無尽に駆け巡る。

クレメラータ・バルティカ単独の「ホルベアの時代から」も良かった(クレーメルはアンサンブルに加わらず)。オルフェウス室内管弦楽団と同様に指揮者はおかず、それでも23人が一糸乱れぬ卓越した合奏力を発揮した。音楽に活き活きとして畳み込むような勢いがある。快刀乱麻の演奏に快哉を叫んだ。

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アンコールの「海を越えた握手」はクレメラータ・バルティカオーケストラ・アンサンブル金沢の弦楽群が交互に対話するように始まり、それが後半混じり合うことでがっちり握手するという粋な演出。聴きに往った甲斐があったと心から想える演奏会だった。

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2008年9月27日 (土)

上方落語競演会@兵庫芸文センター

9月23日(祝)、兵庫県立芸術文化センター・中ホールで落語を聴く。

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考えてみれば、僕が初めて生で落語を聴いたのが去年のこの会だった。思へば遠く来たもんだ(by 中原中也「頑是ない歌」)。

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昼席の演者/演目は、

  • 桂 吉の丞/つる
  • 笑福亭たま/いらち俥
  • 桂      南光/胴切り
  • 桂 春團治/お玉牛
  • 桂    都丸/ろくろ首
  • 桂    文珍/宿屋仇

特に第2回繁昌亭輝き賞を受賞したたまさんがマクラで披露したショート落語オチを先に言う小話が最高に可笑しかった!

ショート落語を最初に演ったのは故・桂枝雀さんで、枝雀さんはこれを"SR"と命名した。"SF RAKUGO"というニュアンスも含ませたものだった(DVD「枝雀 落語大全 第二十八集」に収録)。星新一のショートショートみたいに、ちょっと考えさせるのが"SR"だったけれど、たまさんのショート落語はストレートな爆笑ネタを間髪入れず連射。いゃ~、才能あるわ。

たま版「いらち俥」を観るのはこれで2回目。相変わらずの体を張った熱演で飽きさせない。いみじくも南光さんが「格闘技みたいな落語」と評されたが、今その動向に目が離せない若手噺家である。

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春團治さんは華麗な芸で聴衆を魅了し、南光・都丸・文珍さんらベテランは語り口の上手さでじっくり聴かせ、笑わせた。充実した午後のひと時だった。

会がはねてザ・シンフォニーホールに移動し、今度はギドン・クレーメル率いるクレメラータ・バルティカを聴くことになるのだが、それはまた、別の話。

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2008年9月26日 (金)

トン・コープマン/チェンバロ&パイプオルガン・リサイタル

オルガニスト、そしてアムステルダム・バロック管弦楽団(古楽器オーケストラ)の指揮者としても名高いトン・コープマンのリサイタルを大阪・いずみホールで聴いた。

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前半がチェンバロ演奏でブクスフーデ、フローベルガー、L.クープラン、ブルーナ、J.S.バッハの作品。後半はパイプオルガンでJ.S.バッハという贅沢なプログラム。

まずトンのチェンバロはミス・タッチが気になった。それから一曲の間にテンポが目まぐるしく変わるので、聴いていて居心地が悪い。浪漫派以降の音楽なら兎も角、バッハは一定のテンポで弾くべきだろう。そういう意味で、関西が誇るチェンバロの貴公子/中野振一郎 先生の方が断然上手いと想った。

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一方、トンのオルガンは世界最速の演奏として、つとに有名。

テンポの遅いバッハのコラールは、やはり恣意的なテンポの揺れが気になったが、痛快にぶっ飛ばす「小フーガ ト短調」や「パッサカリアとフーガ」は彼の独壇場。ストコフスキーの管弦楽編曲でも有名な「小フーガ」なんか、あっと言う間に曲が終わり呆気に取られた。あまりに速すぎて、全く別の曲に聴こえた。想わず笑みがこぼれる。トン最高!

結論。チェンバロはいらないから、トンのオルガンをもっと聴きたかった。

来年、彼はアムステルダム・バロック管弦楽団を率いて大阪にまた来てくれるらしい。古楽不毛の地、大阪に一輪の花を咲かせて欲しいものである。

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2008年9月24日 (水)

田辺寄席と「ちりとてちん」署名運動

9月21日(日)、田辺寄席にぶらりと立ち寄った。大阪市阿倍野区で34年も続いている地域寄席で、現在は月4回公演となり活発な活動を続けている。

  • 露の団姫/商売根問
  • 桂文太/桑名船煙管遣取り(きせるのやりとり)
  • 桂春若/鴻池の犬
  • 桂福車/レプリカ(神崎京一 作)
  • 旭堂南左衛門/幸助餅(講談)

今回も名人・文太さんをはじめとして大変聴き応えがあり、満足した。

ところで田辺寄席でNHK連続テレビ小説「ちりとてちん」続編製作を求める署名用紙が配られていた。

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ネット上でも署名出来るようである→この運動を展開している「ちりとて落語の会」HPへ

僕は無駄に難波の一等地にあるワッハ上方の移転も府民に貢献していない大阪センチュリー交響楽団の解散にも賛成なので、それらの存続を求める署名は拒否した。しかし「ちりとてちん」の続編は是非観たいから、こちらの方は喜び勇んで書いておいた。今後面白い展開になっていきそうだ。

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2008年9月23日 (火)

復活 !! 落語と錦影絵の会

9月20日(土)、地下鉄・淀屋橋駅から歩いて御霊(ごりょう)神社へ。

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明治時代にはこの境内に錦影絵の定席、”尾野席”があったそうだ。

Kagee

錦影絵の前に、幻燈や見世物小屋に縁のある落語も披露された。

  • 吉坊   /軽業
  • まん我/書割盗人
  • 米左   /豊竹屋
  • 小米朝/はてなの茶碗

今から200年前、オランダから伝えられた幻燈が上方では錦影絵、関東では写し絵という演芸に発展した。その歴史的背景はこちらに詳しい。

桂 米朝さんは昭和50年ごろ京都に住む最後の錦影絵師から道具を譲り受け、小米さんとべかこ(現・南光)さんを稽古に通わせたそうだ。その後、米左さんと吉朝さんがこれを受け継ぎ、現在は吉坊さんとまん我さんが操演されている。こうして錦影絵は米朝一門のお家芸(専売特許)になったという訳だ。

とても不思議な体験だった。ハイカラな色彩で、まるで明治時代にタイムスリップしたよう。チャン・イーモウ監督の中国映画「活きる」(1994)に登場した影絵芝居や、ジュリー・テイモアが演出したミュージカル「ライオンキング」に取り入れられたジャワ島の伝統芸能ワヤン・クリッ(Wayang Kulit)を想い出しながら興味深く観た。

影絵が終わり蛍光灯が点くと、とても眩しく、現代の夜が如何に明るいかを改めて肌で感じた。

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2008年9月22日 (月)

吹奏楽の甲子園、普門館へ + 丸ちゃんと大フィルのこと

昨年に引き続き、東京・普門館へ第56回全日本吹奏楽コンクール・高校の部を聴きに往くことになった。前半および後半、全29校。しっかり聴いて、また詳しくレポートします。ちなみに今年の入場券、前半の部は発売後約7分、後半の部は9分で完売したようだ。

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再び大阪から東京まで遠征しようと決意した原動力は勿論、丸ちゃんこと丸谷明夫 先生率いる淀工(淀川工科高等学校吹奏楽部)が大栗 裕/大阪俗謡による幻想曲を演奏するからである。彼らの俗謡は他の追随を許さない超一級品である。

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あと今回期待しているのは、昨年三出休みで聴けなかったコンクール常連高。東海大学付属第四高等学校(北海道)や柏市立柏高等学校(千葉県)、習志野市立習志野高等学校(千葉県)、春日部共栄高等学校(埼玉県)などである。そして金賞請負人、屋比久 勲 先生率いる鹿児島情報高等学校(初出場)がどのような成績を残すかも目が離せない。

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全国大会は、出場校のビジュアルを眺めるだけでも面白い。それぞれの土地、学校によって特徴があるからである。学ランで出るところ、ブレザーで出場するところ。ハープや弦バスの専用台のあるところ、ないところ。楽器が皆ピカピカの新品のところ、そうでないところ。「譜面隠し」(譜面台に置く下敷き)に学校のロゴが客席から目立つよう印刷されているところ。私立か公立かでも色々と事情が異なる。

あと肌の色に注目。例えば北海道代表の東海大学付属第四高等学校の生徒さんたちはとても白い!同じ日本でも緯度によってこれほど日照時間が異なるのかと改めて驚かされる。そして同じ地域でもマーチングで真っ黒に日焼けしている学校と、マーチングをしない学校では相当違ってくる(屋内でマーチング練習が出来る恵まれた学校は日焼けしていなかったりもする)。

Wind

さて、下野竜也/大阪フィルハーモニー交響楽団は《吹奏楽ファンに捧げる》という趣旨のコンサートを初めて開催する。そして、この司会を務めるのが何と丸ちゃん!このコンサートが行われる10/23というのがまた絶妙なのだ。全日本吹奏楽コンクールの日程が10/19。つまり全国大会が終わり丸ちゃんの手が空いた直後、そして淀工が11/23の全日本マーチングコンテストや来年1月のグリーンコンサート(今度の舞台は大阪城ホール)に向けて走り出す前という、これしかないというタイミング。全ては丸ちゃんのスケジュールを最優先に企画されたことが窺い知れよう。「祝典序曲」「ピータールー序曲」「アルメニアン・ダンス」など丸ちゃん好みの作品が並んでいる。

ただこの企画の致命的欠落はプログラムに大阪俗謡による幻想曲がないことであろう。管弦楽版は大フィルの前身である関西交響楽団朝比奈 隆の指揮で初演し、吹奏楽版を全日本吹奏楽コンクールで初演したのが丸ちゃん。そして下野/大フィルがNAXOSにレコーディングした管弦楽版CDは唯一の現役盤である。この三者が一堂に会するのに俗謡をしないとはなんたること!?

そうか!当然アンコールでするんだよね。それなら許す。演奏時間12分程かかるけれど。

さてこの演奏会、既にチケットぴあは完売で大阪フィル・チケットセンターでもA席しか残っていない。売れ行き絶好調である。これだけの需要があれば、是非第2弾も企画して欲しいところ。その際は下野さんが九州交響楽団を振った時に取り上げた名曲、フサ/プラハ1968年のための音楽を是非プログラムに入れて欲しい。それからヨハン・デ=メイ/交響曲第1番「指輪物語」管弦楽版なども面白いのではないだろうか?

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2008年9月21日 (日)

天満天神繁昌亭・二周年特別興行

9月15日、戦後初となる上方落語専門の定席・繁昌亭が二周年を迎えた。上方落語協会・副会長の笑福亭鶴瓶さんらが参加し、昼間には鏡開きも行われたようである。

では会長の桂 三枝さんはというと、丁度その頃ニューヨークへ向かわれているところで、キャンピングカーで半年間アメリカを横断しながら英語落語を披露してきた桂かい枝さんと合流し、NY繁昌亭に出演された。→三枝さんのブログ

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さて、僕が聴いた夜席の番組は以下の通り。

  • 桂     つく枝/十徳
  • 笑福亭銀瓶/宿題( 三枝 作)
  • 笑福亭三喬/墓供養
  • 桂       米八/曲独楽
  • 桂   福團治/薮入り
  • 桂    きん枝/狸の賽
  • 笑福亭鶴笑/鶴笑ワールド
  • 笑福亭鶴瓶/青木先生

福團治さんは5月に繁昌亭夜席で聴いたものとネタが重なり、マクラも一語一句同じだった。福團治さんくらいのベテランになればもっと聴衆を飽きさせない工夫が欲しいところ。しかも「薮入り」は関西では受けない、しょーもない人情噺。退屈なこと極まりなかった。

きん枝さんは後に控える鶴瓶さんにたっぷり時間をとってもらいたいと、軽く一席。通常は前座の演るこういったネタをベテランが演ると、これはまた違った味わいがあってなかなか良かった。

第2回繁昌亭爆笑賞を受賞された鶴笑さんは、相変わらず最高に可笑しかった。今回披露してくれたのは「紙切り」。これが至芸で、最前列に坐った男性の似顔絵を最後に切られたのだけれど、とても似ていて感心した。

トリの鶴瓶さんは、兄弟弟子・鶴笑さんの若き日の苦労話で笑わせ、私落語の「青木先生」に。これがまた抱腹絶倒で、自身の高校時代を舞台に男子生徒と青木先生の攻防をめぐる噺。どうしようもない悪ガキたちなのだけれど、最後に先生に対する親愛の情がほんわか滲み出してくるところがお見事。鶴瓶ワールドを堪能した。

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2008年9月20日 (土)

米朝一門の落語会ふたつ

雀さんフェスタ in 精華~いま雀三郎が面白い~ (9/6)

難波の精華小劇場に足を運んだ。

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  • 桂 雀喜・小佐田定雄/上方落語レクチャー
  • 桂 雀三郎/くやみ
  • 桂 雀三郎/天王寺詣り
  • 林家 染二/貧乏神(小佐田定雄・作)
  • 桂 雀三郎/帰り俥(小佐田定雄・作)

まず「上方落語レクチャー」では篠笛(しのぶえ)・三味線・大太鼓・締太鼓・銅鑼(どら)・摺鉦(すりがね)・拍子木などの楽器紹介があった。摺鉦は「する」という言葉が縁起が悪いので「あたりがね」と呼ばれるそうだ。

寄席の一番太鼓は《どんどんどんとこい》、二番太鼓は《おたふくこいこい》という調子で叩かれる。また、前座のお囃子は「石段」という曲に決まっている。これは《一段一段上がっていきますように》という願いが込められているそうだ。

以前、桂 千朝さんの語り口が嫌だという話を書いたが、雀三郎さんも僕は余り好きになれない。師匠の枝雀さんが持つ、軽快なテンポ感が彼には欠けているように想われる。特に俥屋(人力車)はもっと疾走しなくちゃ!

落語作家・小佐田定雄さんの作品は「貧乏神」「月に群雲」「幽霊の辻」「雨乞い源兵衛」など大変面白く後世に残る傑作だと想うが、今回初めて聴いた「帰り俥」ははっきり言って駄作。同じパターンの繰り返しが単調で、先が見えてしまう。

岡町落語ランド (9/14)

阪急宝塚線・岡町駅から徒歩で豊中市立伝統芸能館へ。ここへは一度、九雀さんの会で来たことがある。

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  • 桂  吉の丞/ちはやふる
  • 桂 ちょうば/明石飛脚
  • 桂   吉坊/足上り
  • 笑福亭由瓶/がまの油
  • 桂   吉弥/高津の富

これは元々、故・桂 吉朝さんが仕切っていた会で、現在はその弟子である吉弥さんが世話人をされている。兄弟弟子の吉坊さんはここで初舞台を踏んだそうだ。

NHK連続テレビ小説「ちりとてちん」で一躍、時の人となった吉弥さんだが、入場券のもぎりや足りなくなった座布団の手配まで自らされていたのには驚いた。

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吉弥さんの「高津の富」が絶品だった。売れている人というのは何と言っても華がある。独自の工夫・くすぐりがお見事。彼こそ、いま一番輝いていて、聴いておくべき噺家と言えるだろう。

由瓶さんは2年前にJR大阪駅内、TiS大阪支店で吉弥さんと共に「駅寄席~すてんしょ亭~」に出演されてい た時のことをお話された。仕事帰りにふらりと立ち寄り落語を聴いて欲しいという企画で19:50~20:30という時間帯に2席ずつ、お代はなんとたった 300円!!これは是非聴いてみたかったけれど、今もし続いていても物凄い人で収拾がつかなくなっていただろうなぁ。

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2008年9月19日 (金)

大阪市長も登場!~大阪クラシック2008 《最終日》

9月13日(土)、いよいよ七日間にわたって繰り広げられてきた大阪クラシックも大詰めである。

第64公演(17:30~)、大阪市役所シティホールで行われた野津臣貴博(みきひろ)さんの無伴奏フルート・ソロから参戦。平松邦夫・大阪市長が柱の影に立ち、じっと耳を傾けておられた。

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  • 瀧 廉太郎/荒城の月(矢代秋雄 編)
  • ドビュッシー/シリンクス(パンの笛)
  • J.S.バッハ/パルティータ イ短調
  • 本居長世/七つの子変奏曲(林光 編)
  • ジョリヴェ/5つの呪文より
  • 五木の子守唄(矢代秋雄 編)
  • ビゼー/「アルルの女」よりメヌエット

野津さんの無伴奏フルートは、毎年欠かさず聴いている。一昨年の大阪クラシック初回は心斎橋大丸1Fロビー、昨年は難波高島屋1Fロビーでの演奏だった。その時の様子はこちらの記事にレポートした。だから「パンの笛」「5つの呪文」を聴くのはこれで3回目となる。「パンの笛」は同じドビュッシー/牧神の午後への前奏曲の姉妹篇とも言うべき幻想的で美しい佳作。ジョリヴェは20世紀の作曲家。「5つの呪文」は土俗的でアフリカン・テイストたっぷりの面白い曲。フルートによる表現の可能性を広げた作品である。

「アルルの女」で野津さんは客席を縫うように歩きながら演奏し、そしてそのまま退場された。なかなか粋な演出であった。予定時間30分を遥かに越え約1時間、たっぷりとフルートの音色を堪能した。

そしていよいよ最終公演(19:30~)、三菱東京UFJ銀行 大阪東銀ビルに乗り込む。当日朝10時から配布された整理券を得るため、最初の人はなんと午前5時から並んでいたそうである!

  • コープランド/リンカーンの肖像
  • ムソルグスキー/組曲「展覧会の絵」(ラヴェル 編)

大植英次/大阪フィルハーモニー交響楽団の演奏で、コープランドのナレーションは先の会場にも姿を見せられた平松市長が担当された。

大植さんが前回、アメリカで「リンカーンの肖像」を演奏した時の朗読はクリントン大統領だったとか。「クリントンさんより平松市長の方が上手い!」と大植さん。そりゃそうでしょう、なんてったって元アナウンサーですから。

我が家にある「リンカーンの肖像」のCDはシュワルツ/シアトル交響楽団による演奏で、ナレーションはジェームズ・アール・ジョーンズである。そう、知る人ぞ知るダース・ベイダーの声をあてている役者さんだ(出演作では「フィールド・オブ・ドリームス」が名高い)。深みのある良い声なので何とも味のあるディスク。そして平松市長もそれに負けず劣らずの名演技でした。大植/大フィルのサポートが万全だったことは言うまでもなし。

演奏が終わると市長は「皆さん、大阪の文化を守りましょう!」と高らかに宣言し、会場を盛り上げる。また「是非、大フィルの定期演奏会にも足を運び、彼らの応援団になって下さい」と呼びかけた。

そして大植さんは、音楽の本編中に登場するリンカーンのゲティスバーグ演説

人民の、人民による、人民のための政治

を引用し、「大阪クラシックは、大阪市民の、市民による、市民のための音楽祭です」と聴衆に語りかけ大喝采を浴びた。

今回、アメリカ生まれのアーロン・コープランドが生み出したこの曲を聴きながら感じたのは後の作曲家、特に映画音楽の巨匠ジョン・ウィリアムズへの多大な影響である。冒頭のトランペット・ソロなどはジョンが映画「7月4日に生まれて」や「JFK」「プライベート・ライアン」等に書いた音楽を彷彿とさせる。

またジョンは、スティーブ・マックイーン主演の映画「華麗なる週末」(THE REIVERS, 1969)のために作曲した音楽を後にコンサート用に改変し、ナレーション付きのオーケストラ曲に仕上げている。これが「リンカーンの肖像」から考想のヒントを得ていることはまず間違いないだろう。

続く「展覧会の絵」も文句なし。グロテスクな《グノーム、小人》、《バーバ・ヤーガの小屋》、そして重々しく足を引き摺るような《ビドロ、牛車》や《カタコンベ》。逆に子供たちがはしゃぐ《テュルリーの庭》や《卵の殻をつけた雛の踊り》、《リモージュの市場》では軽快で活気にあふれた表現。ひとつひとつの絵が鮮やかに描き分けられ、色彩感豊な演奏だった。

《キエフの大門》で鐘の音が荘厳に響き渡り、重厚で格調高く「展覧会の絵」が締め括られると、再び平松市長が大きな花束を持ってステージに上がって大植さんに手渡す。ここで大植さん、感極まって男泣き。これはもうお約束なので、聴衆も笑顔でその光景を見つめる。そこへ平松市長が今度はタオルをもってまたまた登場。これには皆、大爆笑となった。

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アンコールは大阪クラシックや星空コンサートでお馴染み、「夕やけこやけ」「七つの子」「ふるさと」(山本直純 編)を大フィルの伴奏で会場の人々が大合唱。そして「八木節」外山雄三/管弦楽のためのラプソディ より)では手拍子を打って熱狂的に盛り上がり、〆となった。

市長によると、今年の大阪クラシックを聴きに来た人々はのべ約3万7千人だったそうである。初年の入場者数が2万2千人、昨年が2万8千人。大阪初秋の風物詩として年々着実に市民に浸透してきている。それにしても2年前と比較して1万5千人も増加したのだからこれは尋常じゃない。大植さんによると、会場で話しかけてこられた人の中には、北は青森から、そして南は熊本から遙々やって来た人もいたとか。

兎に角どの会場に往っても凄い人だかりで、気軽に音楽を聴ける状態ではなくなってきたことも事実である。当初は3年計画のイベントとして出発したこの企画。是非来年も続けて欲しいとは想うが、これだけ定着したのだからもっと有料公演を増やすとか、事前に配布する整理券を増やすとか、さらに運営方法の見直しも望まれるところである。

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2008年9月18日 (木)

必聴!~児玉 宏/大阪シンフォニカー交響楽団のブルックナー

ブルックナー/交響曲 第1番の演奏が終わった瞬間、僕は想わず「すげぇ~」と感嘆の声を漏らした。満席の聴衆は熱狂し、ブラボーのシャワーがザ・シンフォニーホールに降り注ぐ。9/12(金)、児玉 宏/大阪シンフォニカー交響楽団の定期演奏会はそんな夜となった。

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僕がクラシック音楽に親しむようになったのは小学校高学年の頃からである。カール・ベームが指揮するベートーヴェンの「田園」やモーツァルトの交響曲が大好きで、「レコード芸術」を定期購読するというクソ生意気なガキだった。

そんな頃、一枚の新譜が発売された。スビャトスラフ・リヒテル(Pf)、カルロス・クライバー指揮、バイエルン国立管弦楽団によるドヴォルザーク/ピアノ協奏曲のLPレコードである。当然「レコード芸術」推薦盤となったが、その時の批評の見出しが今でも忘れられない。

演奏によって曲が輝く

児玉/大阪シンフォニカーによるブルックナーを聴きながら、僕の脳裏に浮かんできたのはその言葉である。彼らの演奏する第1番は、後のブルックナーの傑作、第3・4・5・7・8・9番に些かも劣らない崇高な音楽に変貌して聴こえてくるのだから驚かされた。特に第1番 第3楽章のスケルツォは、既に第9番 第2楽章の萌芽が見て取れる。

児玉さんのブルックナーの特徴は速めのテンポで、活きのいい音楽が片時も緊張感を失うことなくグイグイと押し進められる。その響きは余分な贅肉が削ぎ落とされ、引き締まっている。かといって決して音楽はやせ細ったりはしない。各声部の見通しが良くオーケストレーションの骨格が鮮明に目の前に立ち上がってくる。

朝比奈 隆、ギュンター・ヴァント亡き後、スタニスラフ・スクロヴァチェフスキと児玉 宏こそが、現在最高峰のブルックナー指揮者であるということは疑う余地のない真実である。

記事関連blog紹介:
ふーじーの見た空(この定期に出演された、ファゴット奏者が児玉さんについて書かれている)

ブルックナーの前に、モーツァルト/協奏交響曲も演奏された。独奏は山田晃子(ヴァイオリン)、今井信子(ヴィオラ)である。こちらも自発性に富み、弾力のある素晴らしい演奏だった。

「弦の国」と呼ばれる日本は多くの優れた弦楽奏者たちを輩出してきた。今井信子さんは、僕が言うまでもなくユーリ・ヴァシュメット(ロシア)と並び、世界のトップ奏者として名を馳せていらっしゃる。

ヴァイオリンの若手では五嶋みどり、諏訪内晶子、庄司紗矢香、神尾真由子らが有名だが、今年22歳になる山田晃子の名は全く知らなかった。なんでもロン・ティボー国際コンクールにおいて、史上最年少の16歳で優勝したそうである。2歳の時からヨーロッパに渡った彼女は現在パリ中心に活躍しているとのことで、だから日本では余り知られていないのだろう。

僕は神尾さんの燃え上がる火の玉のような情熱的演奏も大好きなのだが、如何せんその資質はモーツァルトに相応しくない。一方、山田さんの音色は実に繊細でエレガント。その女性的でたおやかな美しさに息を呑んだ。驚くべき才能である。

文句なし、今年のベスト・コンサートは早々にこれで決まり!天晴れ、児玉 宏/大阪シンフォニカー交響楽団

記事関連blog紹介:
天井桟敷のクラシック(同じコンサートを聴かれた感想)

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2008年9月16日 (火)

ジャズ・ピアニスト小曽根真 登場!サプライズの第66公演~大阪クラシック2008 《6日目》

9月12日(金)は予め、休暇を取っていた。

今年の大阪クラシックは当初、全65公演の予定であったが9/9(火)夜の公演で大植英次さんから重大発表があった。急遽、第66公演目が決まったのである!

今年2月の大フィル定期は神戸生まれのジャズ・ピアニスト、小曽根 真さんが登場しガーシュウィン/ラプソディ・イン・ブルーを演奏した。その時の僕の感想はこちらの記事に書いた。これはNHKが映像収録し、BSでも放送された。

今から3週間前、大植さんは主席指揮者を務めるハノーファー北ドイツ放送フルハーモニー(NDR)の演奏会に小曽根さんを招聘し再び共演、地元紙から絶賛を博したそうである。その際に小曽根さんに大阪クラシックの話をしたら、「どうして声を掛けて下さらなかったんです!?是非僕も出演したい」と、とんとん拍子に話が進み、小曽根さんのスケジュールを調整。金曜日朝10時からの出演が決まったそうだ。何と無料公演である。

会場となった大阪市中央公会堂に9時半に入場すると、既に小曽根さんがピアノに向かって指ならしをされていた。

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ピアノの前に群がる人、人、人。

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ステージ前に集まった人々と気さくに会話を交わす小曽根さん。フロアから「モーツァルトをJAZZ風に弾いたらどんな感じになるん?」と質問も飛ぶ。

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そこへ大植さんが登場。小曽根さんと交代しピアノに腰掛けるなり、

  • ベートーヴェン/ピアノソナタ 第14番「月光」〜第1楽章

を弾き始めた。そしてそれが切れ目なく、

  • ガーシュウィン/3つの前奏曲〜2. Andante con moto e poco rubato

へと続く。聴衆は大喜び。携帯カメラのシャッター音が絶え間なく響く。ここで大フィル事務局の人が各自席に着くように促し、いよいよ本番へ。小曽根さんのソロで、

  • ラヴェル/クープランの墓
  • モーツァルト/ピアノ協奏曲 第27番〜第2楽章(JAZZ風)
  • 小曽根 真/Bienvenidos Al Mundo(ようこそ、この世界へ)
  • アントニオ・カルロス・ジョビン/How Insensitive(ボサノヴァ)
  • ピアソラ/ローラの夢(タンゴ)

ラヴェルは最初原曲通りに弾かれていたが、途中からスウィングしてJAZZテイストに。小曽根さん曰く、「ちょっとここから大阪城あたりまで寄り道してきました」

小曽根さんの自作はラテンの曲。途中にフーガもあり聴き応えあり。

アントニオ・カルロス・ジョビンは「イパネマの娘」で有名なブラジルの作曲家。"How Insensitive"はショパン/前奏曲からインスピレーションを得たのではないかと両者を弾き比べてみる小曽根さん。それに対し、大植さんがブラームス/交響曲第1番 第4楽章の主題とマーラー/交響曲第3番 第1楽章 冒頭部の旋律がそっくりであるというお話をピアノで例示しながらされた。成る程、これは面白い!

特に圧巻だったのはピアソラ。ピアノ独奏なのに、タンゴのエッセンスがギュッと濃縮されているのには驚かされた。叩き付けるような低音のリズムが胸に響く。

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ここで大植さんから小曽根さんへプレゼント。手製の金メダル、OZONE MAKOTO in OSAKA CLASSICと縫いこまれたTシャツ、そしてドイツでのコンサートの新聞批評や毎日新聞に掲載された本公演の告知記事を紙バッグに仕立てたものなどが手渡された。早速そのTシャツに着替える小曽根さん。サービス精神旺盛な人だ。

最後はふたりの連弾で締め括られた。

  • ブラームス/ハンガリー舞曲 第5番

記事関連blog紹介:
~snowdome cafe #2~(同じ公演を聴かれた方の感想)

昼食の後、明治安田生命大阪御堂筋ビルに移動して第50公演。

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ヴァイオリン/佐久間聡一、コントラバス/三好哲郎で、

  • J.S.バッハ/アンナ・マグダレーナのためのクラヴィーア小曲集 
  • グリエール/8つのデュエット より

同じメンバーで昨年もグリエールを聴いている。場所はオカムラ大阪ショールームだった。その写真はこちら。あの時はこんな人だかりではなかったんだけれどなぁ……。

お次はフェニックスタワー1Fアトリウムで第51公演。

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  • ドビュッシー/弦楽四重奏曲
  • ドビュッシー/亜麻色の髪の乙女

どこへ行っても凄い人!立ちっぱなしで疲労困憊し、梅田に移動してプレミアム・モルツ生ビールを飲みながら読書してしばしの休憩。

若干体力を回復し、再びフェニックスタワーに戻って3Fのザ・フェニックスホール(整理券あり、無料)で第54公演。

  • フンメル/七重奏曲 第2番「軍隊」

昨年の大阪クラシックではフンメル/七重奏曲 第1番を聴いた。その時の感想はこちら。同じ七重奏でも楽器編成は異なる。両者に共通するのはピアノ、フルート、チェロ、コントラバスのみで、第1番のオーボエ、ホルン、ヴィオラの代わりに第2番「軍隊」ではクラリネット、トランペット、ヴァイオリンが加わる。

僕はどちらかと言えば第1番の方が名曲だと想った。疲れも手伝って、途中うつらうつらと舟を漕ぐ。

そしてこの後、ザ・シンフォニーホールに向かい児玉 宏/大阪シンフォニカー交響楽団による、奇蹟のブルックナー体験で衝撃を受けることになるのだが……それはまた、別の話。 

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2008年9月14日 (日)

大阪クラシック2008 《5日目》

9月10日(水)は仕事で四国の徳島に一泊。よって大阪クラシックには参戦せず。11日(木)に大阪に戻ったその足で、なんばパークスの第46公演。サクソフォン四重奏を聴く。

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  • ヘンデル/サバの女王の入場
  • エスケッシュ/タンゴ ヴィルトゥオーゾ
  • デザンクロ/サクソフォン四重奏曲

初体験のデザンクロ(1912-1971)はサクソフォン・アンサンブルの定番だそうで、聴き応えのある傑作だった。

それにしても大阪クラシック、平日といえど何処へ往っても凄い人である。

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続いてザ・フェニックスタワーに移動して第47公演。オーボエOb. ファゴットFg. そしてピアノPf. という珍しい組み合わせ。

  • フランセ/二つの小品(Fg. Pf)
  • フォーレ/パヴァーヌ(Ob. Pf)
  • ドビュッシー/月の光(Pf)
  • プーランク/トリオ(Ob. Fg. Pf)

オール・フランスものというプログラム構成が良かった。それにしてもフランセやプーランクという作曲家は本当に小粋でお洒落。次から次へと湧き起こってくる綺麗な旋律に陶酔。僕は死ぬほど好きだ。

さらにJRで福島に移動し、ザ・シンフォニーホールで第48公演。

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大植英次/大阪フィルハーモニー交響楽団河村尚子(Pf)で、

  • ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第4番
  • レスピーギ/ローマの松

僕は大植さんが昨年したベートーヴェン・チクルスについては否定的意見を持っているが、この協奏曲は意外にも良かった。柔らかい響きで、伸びやかに歌うベートーヴェン。音楽の歓びに満ちた美しい演奏だった。昨年と違って大植さんの体調が現在、絶好調というのも関係しているのかも知れない。

そしてレスピーギ。華やかなオーケストレーション、演奏効果の高い派手な音楽は正に大植さんの独壇場。2階席のバンダ(金管別働隊)も大活躍。大見得を切ったパフォーマンスで聴衆を魅了し、4つの松それぞれの色分けが鮮明だった。

さて次回はお待ちかね、大阪クラシック・サプライズの第66公演!ジャズピアニスト・小曽根 真 登場の巻である。大阪市長が朗読を担当した最終公演のレポートも準備中。乞うご期待。 

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2008年9月12日 (金)

大阪クラシック2008 《3日目》

9月9日(火)、仕事帰りにスターバックス コーヒーにてまず第31公演を聴く。

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  • シュポア/ヴァイオリン二重奏
  • コダーイ/セレナーデ(ヴァイオリン2、ヴィオラ1 による三重奏)

その足で相愛学園本町講堂に移動。近藤浩志さんのチェロ、中川美穂さんのピアノで第32公演。

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  • カサド/親愛なる言葉
  • ラフマニノフ/ヴォカリーズ
  • マスネ/タイスの瞑想曲
  • ピアソラ/ル・グラン・タンゴ

近藤さんは宮川彬良&アンサンブル・ベガのメンバーとしても大活躍。そう、NHKの子供向け音楽番組「クインテット」に登場するスコアさんのチェロは近藤さんが弾かれている。

特にスペインの作曲家カサドの作品、そしてアルゼンチンのピアソラがロストロポーヴィチのために作曲した「ル・グラン・タンゴ」が民族色と躍動感に富み、とても良かった。

ただ、「タイスの瞑想曲」が終わった時点で既に終了予定時刻の19時をまわっていた。チケットを購入している次の第33公演は19:30スタート。移動は本町から淀屋橋まで地下鉄に乗り、さらに徒歩7分の距離。間に合うのか?ここで近藤さんのお喋りが3分。その中でピアソラの所要時間が12分というお話があった。……焦る。でもこれだけはどうしても聴きたい。

「ル・グラン・タンゴ」が終わったのが19:15。その瞬間に立ち上がり出口に向けて猛然とダッシュをかけた。僕と同時に10人くらいが駆け出し、エレベーターに殺到する。

……そんなこんなで、なんとか19:28には会場の大阪市中央公会堂に到着。

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第33公演は大植英次/大阪フィルハーモニー交響楽団の弦楽セクション15名による演奏。これは有料公演(500円)の中で真っ先に売り切れたそうである。

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まずコンサートマスターの長原幸太さんと、第2ヴァイオリン・トップの佐久間聡一さんのソロ、そして大植さんのチェンバロ&指揮で、

  • J.S.バッハ/2つのヴァイオリンのための協奏曲

そしてアンコールはふたりの2重奏(+2重唱のオマケ付き!)で聴衆をたっぷり笑わせ、

  • モーツァルト/歌劇「魔笛」〜夜の女王のアリア

次にふたりもアンサンブルに加わり、

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  • グリーグ/ホルベルク組曲

感興豊かで非常に美しい演奏であった。通常とは逆に、佐久間さんが1st.を取って長原さんが2nd.に下がるという趣向も面白かった。

アンコールは、

  • ヨハン&ヨーゼフ・シュトラウス/ピチカート・ポルカ
  • モーツァルト/アヴェ・ヴェルム・コルプス

「ピチカート・ポルカ」では大植さんは殆ど指揮をせず、佐久間さんが奏者全員に出だしの合図を送った。これがまたタイミングが全然合っていなかったのだが、それが却って微笑ましかった。長原さんもリラックスしてとても愉しそうで、会場は和気藹々とした雰囲気に包まれた。

「アヴェ・ヴェルム・コルプス」は大植さんが大好きな曲だそうで、「僕の葬式には是非これを流して欲しい」と。実はこれ、大植/大フィルがヴェルディのレクイエムを取り上げた定期でもアンコールで演奏された。その時も大植さんは同様のことを仰っていたので、きっと本心なのだろう。定期は合唱付きだったが今回は当然弦のみ。それでも曲本来の価値は些かも損なわれることなく、心に染み渡った。

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2008年9月10日 (水)

大阪クラシック2008 《2日目》

そごう劇場で大阪クラシック第22公演を聴いた。これは500円の有料公演である。

曲目は、

  • モーツァルト/フルート四重奏 ニ長調
  • モーツァルト/フルート四重奏 ハ長調

榎田雅祥さんは木製のフルートで演奏され、1曲目は円柱管、2曲目は円錐管(先にゆくほど細くなる)と使い分けられた。榎田さんによるとモーツァルトを円錐管で吹く奏者は日本には殆どいないとか。

大阪フィルハーモニー交響楽団・第2ヴァイオリン首席奏者の佐久間聡一さんがなんとヴィオラを弾かれ、チェロは元・大阪シンフォニカー交響楽団特別首席奏者の金子鈴太郎さんだった。

金子さんは直前にあった仕事の関係でバロック・チェロを使用された。つまりエンドピンがなく、ガット弦を張ったチェロである。前日にメールでその旨連絡した金子さんは榎田さんに、響きが合うよう木製のフルートを使用して貰えないかと請われたそうである。

実は榎田さんと金子さんは共に古楽器によるベテル室内アンサンブルのメンバーなので、その辺りはあ・うんの呼吸なのだろう。

関連記事:
バロックダンスと古楽器の共演

ヴァイオリンは松川朋子さん。榎田さんからの紹介によると、つい先日あった大フィルのオーディションに合格し、現在「試用期間」中とのこと。ここで会場に姿を現した音楽監督の大植英次さんが、すかさず「(入団は)大丈夫です!」と。

聴き応えのある演奏だった。榎田さんは文句なしに上手いし、自己主張の強い佐久間・金子という低音コンビが煽るように弾き、生き生きした音楽づくりで大いに盛り上げた。ただ新人だから遠慮もあったのだろう、Vnが些か大人しいかなという気もした。

アンコールは榎田さんが大植さんを巻き込み、パパゲーノの笛(パンフルート)と楽譜を手渡して、

  • モーツァルト/歌劇「魔笛」~俺は鳥刺し

さらにピッコロ演奏のオマケ付きという、実に愉しいコンサートだった。

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2008年9月 9日 (火)

熱狂の日、三度(みたび)!~大阪クラシック2008開幕

9月7日(日)に大植英次プロデュース「大阪クラシック」が開幕した。今年で3年目である。

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大植さんをはじめ、大阪フィルハーモニー交響楽団のメンバーは全員ノーギャラで参加している。殆どの公演は無料。一部有料公演も500円程度と格安である。

大植さんがこのイヴェントを発案した当初は一部の楽員の中から「どうしてボランティアで演奏しなければいけないのか?」という反発の声も挙がったそうだ。しかしその意図も次第に浸透し、第1回目は7日間で全50公演だったのが第2回は60公演、そして今回は65公演と年々増殖している。第1回目は1日8公演全てを聴くなんて芸当も出来たのだが、公演数が増えたため現在では物理的に不可能である。嗚呼、「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」でハーマイオニーが使っていた逆転時計(The Time-Turner)が欲しい!

昨年初日の模様はこちらの記事にレポートした。
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会場で配られている団扇に使用された写真は昨年の最終公演、大阪市役所シティーホールで演奏された「新世界より」の演奏の後、アンコールで「八木節」が演奏された時のもの(大植さんが半被を来ていることから分かる)。その現場に居合わせた僕のレポートはこちら

今年の第1公演の会場は三菱UFJ銀行 大阪東銀ビルで、大植英次/相愛オーケストラ+大フィルのメンバー(コンサートマスター:長原幸太)による演奏で華々しく始まった。

お調子者の大植さんは、会場を提供した三菱UFJ銀行に感謝の言葉を述べられた後、「僕もここに口座を開設します!」でも、去年も同じことを仰っていたので、僕は内心「まだ開いとらんかったんかい!」と突っ込みを入れた。ちなみにカフェ・ド・ラ・ペでは「毎週ここにコーヒーを飲みに来ます!」と。本当に愛すべき人である。

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平松・大阪市長も駆けつけ挨拶された。「星空コンサート」の時も想ったのだが、平松さんは元アナウンサーということもあり口がまことに達者である。開口一番、「私が大阪市長になって9ヶ月、色々なことがありました。しかし、今日ほど市長になってよかったと思った日はありません!」会場からはやんややんやの大拍手。

恒例となった大植さんから市長へのネクタイのプレゼントもあった。昨年大植さんが關市長(当時)に送ったのは真っ赤なネクタイだったが、今年は緑の縞柄だった。「賄賂じゃありませんよ!ちゃんと自腹で買いました」と言う大植さんに対し、平松市長は「なんだか、これで大植さんに首を絞められたような心境です」と返し、爆笑の渦となった(大阪市は来年度、大フィルに対し今年と同額の補助金を出すことを既に決定している)。

演奏されたのは以下の通り。

  • ワーグナー/楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第一幕への前奏曲
  • ビゼー/「アルルの女」第2組曲より、メヌエット
  • シベリウス/交響詩「フィンランディア」

ワーグナーはまるでライン川のように、雄大で滔々として流れ、シベリウスは冒頭の重苦しい響きで帝政ロシアの圧政に喘ぐフィンランド国民の閉塞感を、そして清らかな「フィンランディア賛歌」(これは讃美歌にもなった)を経て、輝かしいフィナーレへ!素晴らしい演奏であった。

「アルルの女」でフルート・ソロをしたのは学生の中塚景子さん。見事な腕前でした。

さて、第2公演は相愛学園本町講堂。

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  • モーツァルト/弦楽四重奏 第22番「プロシア王第2番」

第3公演は大阪市役所シティホール。

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  • バンハル/ヴァイオリン、ヴィオラ、コントラバスのためのトリオ

そして、

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  • M . ハイドン/オーボエ、ヴィオラ、コントラバスのためのディベルティメント

ミヒャエル・ハイドンは「交響曲の父」ヨーゼフ・ハイドンの5歳下の弟だそうである。モーツァルトと親しく、ザルツブルクで没している。大変珍しい曲を聴かせて貰った。これも「大阪クラシック」の愉しみの一つである。

第6公演はふたたび三菱UFJ銀行に戻り、

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まず榎田雅祥さんのフルート、大植さんのチェンバロで、

  • マレー/ラ・フォリア

上の写真、チェンバロ横に腰掛けているのは大植さんの甥っ子。譜めくりを担当された。

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続いてヴァイオリンの長原幸太さん登場。彼の愛器はアマティなのだが、古里・広島で開催されるソロ・リサイタルのために手続きを取り、日本音楽財団からストラディヴァリウス「ドラゴネッティ」を2009年2月まで貸与されたそうである。大植さんのチェンバロ伴奏で、

  • タルティーニ/悪魔のトリル

長原さんのVnは、尖っていて攻撃的なスタイルが特徴だと今まで想っていたのだが、今回は寧ろ、ふくよかで落ち着いた響きがした。楽器によって印象がここまで変わるのかと驚いた。

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そして榎田、長原、大植の3氏による、

  • C.P.E.バッハ/トリオ・ソナタ

C.P.E.は大バッハの次男である。マレーで銀製のフルートを使用された榎田さんだが、こちらは木製のフルート。フラウト・トラヴェルソ(バロック・フルート)も吹きこなす榎田さんだから文句なしに美しい演奏であった。

「アンコールは用意していないので代わりに……」と長原さんは、次の公演のために舞台袖に待機していた大フィル・第2Vn.トップ奏者の佐久間聡一さんを招き寄せた。佐久間さんが入団オーディションで演奏した大バッハの無伴奏を是非また聴きたいとリクエスト。ストラディヴァリを彼に手渡した。

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写真左はちょこんと腰掛け、既に聴く体勢に入った長原さん。突然のことではあったが、佐久間さんは暗譜で弾きこなされ、大喝采を浴びた。

さらに移動し、なんばパークスでファゴット四重奏(+パーカッション二名)。

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大植さんも姿を見せられた(写真左)。演奏されたのは編曲もので、

  • ポルカ・イン・スイング
  • マリオネットの葬送行進曲(「ヒッチコック劇場」のテーマ)
  • タンギング(?)ポルカ(原曲「ピチカート・ポルカ」)
  • ファゴット吹きの休日(原曲「トランペット吹きの休日」)
  • ワルツィング・キャット
  • ブラジル
  • ヘイ・ジュード(ボサノバ風)

アンコールの「星条旗世永遠なれ」では聴衆が手拍子で参加したが、その時に大植さんが合図を送られ、手の叩き方に強弱をつけたり中間部ではピタッと止まったり、完璧に合った。

この日の最終公演はカフェ・ド・ラ・ペで秋月孝之さんのトランペット・ソロ(ピアノ:浅川晶子)。開場を待って列に並んだら、近くのご婦人の声が耳に入ってきた。

「さっき、ファゴットを聴いてきました。初めて見ましたがあんな形をしてるんですね!《ヘイ・ジュード》を聴きたくて行ったんですけれど、他の曲もとっても良かった。大植監督もこられたんですよ!愉しかった」

こうして大阪クラシックは音楽の裾野を広げているんだなと、僕もしみじみ嬉しかった。

さて、ここで携帯電話のバッテリーが切れてしまい写真は撮れなかった(ちゃんと前日に充電しておいたのだが……)。無念。

  • クラーク/トランペット・ヴォランタリー
  • パーセル/トランペット・チューンとエアー
  • アーバン/カバティーナと変奏曲
  • ゴーベール/カンタービレとスケルツェット
  • イベール/即興曲(アンコール)

秋月さんはピッコロ・トランペット、B管、C管と曲によって持ち替えられながら、超絶技巧の曲を鮮やかに吹き切られた。アンコールではその日、びわ湖ホールで仕事があったという大阪シンフォニカー交響楽団の首席トランペット奏者・徳田知希さんが飛び入り参加され、トランペット二重奏によるヘンデル/水上の音楽で締めくくられた。

《素晴らしき日曜日》をありがとう!大植さん、そして大フィルの仲間たち。

記事関連blog紹介:
不惑ワクワク日記(僕が聴けなかった、第10公演の感想あり)

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2008年9月 7日 (日)

大植英次/青少年のためのコンサート 2008

大植英次/大阪フィルハーモニー交響楽団による「青少年のためのコンサート」を聴きに、ザ・シンフォニーホールに往った。

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JR福島駅からザ・シンフォニーホールまでの道中は中高校生の集団で大混雑。途中にある幾つかのコンビニのレジも、パンを手に持った少年少女で長い列が出来ていた。普段の定期演奏会では見かけぬ光景で、何だか新鮮だった。

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このコンサートは毎年NHKがテレビ収録し、関西ローカルで放送される。今年もテレビカメラが入り、NHKのアナウンサーが司会進行をされた。

昨年、NHKホールで聴いた感想はこちら。この時の副題は「地球讃歌」だったが、今年は「ファンタジック・オーケストラ」。神話、お伽噺などをモティーフにした音楽が演奏された。

コンサートマスターは長原幸太さん、そしてチェロのトップを弾いたのは、今年3月まで大阪シンフォニカー交響楽団の特別首席チェロ奏者を務めていた金子鈴太郎さん。金子さんは現在フリーだが、どうやら今年の「大阪クラシック」でも4回舞台に立たれるそうなので、ひょっとしてひょっとするかも??

まず大植さんが登場し一番驚いたのは、すごく痩せていたこと!タキシードがぶかぶかで、沢山皺が寄っていたのが可笑しかった。相当頑張ってダイエットされたのだろう。

冒頭はバーンスタイン/ミュージカル「キャンディード」序曲。大植/大フィルのコンビで聴くのはこれが4回目である(星空2回、青少年2回)。過去最速、とても勢いのある演奏で圧倒された。大植さんも指揮台の上で飛び跳ねたり元気一杯で、まるでアメリカCBSのテレビ番組"Young People's Concert"の司会をしていた頃のレニー(レナード・バーンスタイン)そっくりだった。

昨年の「キャンディード」はトランペットが2度音を外し、実にお粗末だった(さすがにNHKはこの曲をカットして放送した)。僕の隣に坐っていた小さな男の子が「あ、また間違えた!」と言って笑っていた。情けない……。しかし今年は気合を入れて練習したのだろう、金管に目立ったミスもなく大フィルの演奏はお見事の一言であった。

ドビュッシー/牧神の午後への前奏曲は野津臣貴博さんのフルート・ソロが素晴らしかった。

デュカス/交響詩「魔法使いの弟子」ムソルグスキー/交響詩「はげ山の一夜」はいずれもディズニー映画「ファンタジア」(1940)で使用された楽曲。「ファンタジア」は我が家にLDとDVDがあって、繰り返し観ているのだが、考えてみればどちらの曲も生演奏で聴いたことがなかった。クラシック・コンサートには足繁く通っているが、かえってこういうポピュラーな小品は盲点なのかも知れない。「魔法使いの弟子」は低音のコントラファゴットが大活躍し、とても印象的だった。

余談だが現在演奏される「はげ山の一夜」はリムスキー=コルサコフによる改訂版である。これは単にオーケストレーションし直したといった生易しいものではなく、曲の構成そのものも大胆に改変した"reconstruction"と呼ぶべきものである。アバド/ベルリン・フィルがムソルグスキー自身の手による原典版をレコーディングしているが、これを聴いたら余りの違いに唖然とすること請け合い。そしてムソルグスキーのオーケストレーションが如何に稚拙かよく分かる筈だ(「ダッタン人の踊り」で有名な歌劇「イーゴリ公」もリムスキー=コフサコフとグラズノフの手が入っているし、「展覧会の絵」はラヴェル編曲)。もしもリムスキー=コルサコフが改訂しなかったら、この曲が現在まで生き延びることは決してなかったであろう。

ラヴェル/ツィガーヌは1990年生まれの黒川 侑くんのヴァイオリン独奏。大植さんはすべての曲を暗譜で振られたが、伴奏指揮も相変わらずあ・うんの呼吸でぴったり寄り添われ、さすがだった。ただ黒川くんの演奏は小綺麗にまとまっていたが、欲を言えばこれはロマ(ジプシー)の音楽なのだからもっと情熱的な力強さが欲しかった。

プログラム最後はストラヴィンスキー/バレエ音楽「火の鳥」。僕は大植さんの十八番(おはこ)といえばマーラー、チャイコフスキー、ショスタコーヴィチだと確信しているのだが、昨年の「春の祭典」と今回の「火の鳥」を聴いて、ストラヴィンスキーもそのリストに加えても良いのではないかと思い至った。兎に角、堅固なリズム感と確信に満ちた推進力が素晴らしい。しかし一方で「王女たちのロンド」や「子守歌」ではしっとりと叙情的に歌う。組曲それぞれの特徴が鮮明に浮かび上がる文句なしの名演であった。

そしてファンタジーが今回のテーマということで、もしアンコールがあるとすればあれしかないと予想していたのだが、大植さんが「1982年の映画…」と仰った瞬間、快哉を叫んだ!そう、勿論ジョン・ウィリアムズ/映画「E.T.」〜フライング・テーマである。

大植/大フルは昨年、この曲を「星空コンサート」で演奏している。しかしこれには大いに不満が残った。観客サービスに徹する大植さんは曲の途中で指揮を放棄し、一端舞台袖に引っ込み自転車の籠にE.T.人形をのせ、会場に手を振りながら再登場されたのである。周囲は大喜びだったが、僕としては大植英次の「E.T.」を聴いたという気がしなかった。だから今回はその《完全版》が聴けたことが本当に嬉しかった。そしてジョンの音楽が今までに聴いたことがないくらい気宇壮大で、あたかもブルックナーのように崇高に響き渡る情景は感動的ですらあった。

NHKは2年前の「青少年コンサート」の放送で、ジョン・ウィリアムズ/映画「スーパーマン」テーマの演奏に重ね、子供たちへのインタビューを流すという暴挙に出たが(映画音楽を馬鹿にしているのか!?)、今回のアンコールは是非ノーカットで放送して下さいね。

記事関連ブログ紹介:
不惑ワクワク日記(同じ演奏会を聴かれた感想)

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2008年9月 5日 (金)

桂吉弥/第二回繁昌亭奨励賞受賞記念

繁昌亭にて昼席を聴いた。9月に入ってもドライミストは勢いよく噴出している。

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第二回繁昌亭奨励賞を受賞した桂 吉弥さんが、今週はトリを務められた。朝ドラ「ちりとてちん」による吉弥(草原兄さん)人気も手伝ってか、平日にもかかわらず立ち見も出る大入満員だった。

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  • 林家卯三郎/もぎとり
  • 笑福亭笑助/牛ほめ
  • 露の吉次/一眼国
  • 揚野バンリ/お笑い曲芸
  • 笑福亭忍笑/平の陰
  • 桂 都丸/読書の時間(三枝 作)
  • 桂 三若/ひとり静(三若 作)
  • 桂 春駒/天狗裁き
  • 桂 勢朝/南京玉すだれ
  • 桂 吉弥/七段目

繁昌亭昼席の出演者は基本的に週替わりである。つまり一週間は同じメンバーが出る。毎日異なる噺を高座にかける熱心な噺家もいれば、同じネタで七日間押し切る人もいる。

昼席の出演者・毎日の演目はこちらの「ライブ繁昌亭」でチェック出来る。

今週の出演者に関して言えば、都丸・三若・吉弥さんらは、しっかり日替わりのネタをされた(吉弥さんのネタは、遊山船→短命→かぜうどん→七段目→愛宕山)。精進を怠らない彼らはやはり上手かったし、面白かった。

都丸さんが演った桂 三枝さんの創作落語は三枝さんの弟子だけではなく、沢山の噺家が演じている。凄いことだ。都丸さんの師匠はざこばさんで、米朝一門。一方の三枝さんは文枝一門である。この「読書の時間」は今度、林家染弥さんも繁昌亭の高座にかけられるようである。

吉弥さんは得意の芝居噺で、立派にトリを務められた。吉弥さんの「七段目」はNHKで放送されたものやDVDで既に観ていたが、やはり生のほうが断然良かった。なんと言うか空気感が違う。落語は演者と聴衆のキャッチボール、共同作業で成り立つのだということが最近次第に分かるようになってきた。

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終演後、お見送りに出て来られた吉弥さんからDVDにサインも頂いた。満ち足りた気分で帰途についた午後であった。

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2008年9月 4日 (木)

あみだ池寄席 / たまvs.吉坊 二人会

8/31(日)はあみだ池寄席に往った。会場となった和光寺は落語「阿弥陀池」の舞台としてもお馴染み。

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  • 露の団姫/平林
  • 露の吉次/持参金(嫁とり)
  • 桂 坊枝/天王寺詣り
  • 露のききょう/時うどん
  • 露の五郎兵衛/怪談 雨夜の傘

露の一門と言えば怪談噺。五郎兵衛さんの語り口は流石、味があった。「お久し振りです……」兵庫医大にしばらく入院されていたそうだ。座布団に正座するのも困難なご様子で、高座に腰掛けるような姿勢で語られた。噺に笑いはなく、講談を聴いているような雰囲気でじっくりと耳を傾けた。

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9/1(月)は繁昌亭で「たま吉坊二人会」。

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  • 桂    二条/牛ほめ
  • 笑福亭たま/蛸芝居
  • 桂    吉坊/一文笛(米朝 作)
  • 笑福亭たま/高津の富
  • 桂    吉坊/新作落語

会場は満席で補助席も出る盛況ぶり。

兎に角、たまさんがとんだりはねたりの大熱演で凄かった。まるで《座布団に足が触れていればセーフ》という桂 枝雀さんの高座みたいで、聴衆も大喝采。「蛸芝居」といえば故・桂 吉朝吉坊さんや吉弥さんの師匠)の十八番。東京でたまさんが「蛸芝居」を演じた時、お客さんから「いゃ~面白かったけれど、吉朝さんのと全然違ったわぁ」と言われたそうである。そりゃそうでしょう。演者が異なれば同じ噺でもこれくらい違うのかと(良い意味で)呆気に取られた。

底抜けにパワフルなたまさんの爆笑落語の後で、端正でおっとりした吉坊さんがやり難そうだったが、それでも大師匠の新作落語「一文笛」を流石の上手さでこなされた。この噺は先日、小米朝さんで聴いたが、吉坊さんの方が断然良かった。

そして吉坊さん自身の新作落語がとても完成度が高く、これまた驚いた。なんと意表を突く「はてなの茶碗」の続編!あれから2世代経過して恐らく約100年後、鴻池善右衛門(こうのいけ ぜんえもん)の屋敷・三番蔵から物語は始まる。芹沢鴨が登場するサゲも秀逸。「はてなの茶碗」は大師匠である米朝さんが復活させた名作。つまり吉坊さんが演ったネタそのものが《伝統の継承》を体現しているという見事な構成であった。

たまさん(33歳)は今年入門10年目で、繁昌亭輝き賞を受賞。吉坊さん(27歳)は入門9年目で、彼が受賞するのも時間の問題だろう。全く異なるタイプの二人だが実力は折り紙付き。大変スリリングで充実した夜だった。

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2008年9月 2日 (火)

関西吹奏楽コンクールを聴いて 2008 《後編》

この記事は関西吹奏楽コンクールを聴いて《前編》と併せてお読み下さい。

吹奏楽コンクールは入れ替え制なので前半の部が終わり、後半の部の列の最後尾に向け歩いていると、な、な、なんと!鹿児島情報高の屋比久 勲 先生が列に並んでいらっしゃったので仰天した。

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吹奏楽部の名物先生《九州編》

開場すると屋比久先生は関係者席に坐られたが、淀工の演奏が終わり休憩時間に入るといつしかそのお姿は見えなくなった。

さて、その大阪府立淀川工科高等学校、代表)の演奏だが、まず意表を突いたのが課題曲の選曲である。8/11大阪府吹奏楽コンクールの招待演奏で淀工が披露したのは課題曲 I 「ブライアンの休日」だった。 僕も今年の課題曲の中ではこれが一番の名曲だと想う。しかし、2週間後の関西大会では課題曲 II マーチ「晴天の風に替わっていた。つまり、丸ちゃん(丸谷明夫 先生)はコンクールに勝つ戦略としてこちらを選んだのである。

実際、今年関西代表となった淀工、明浄、天理、そして昨年代表だった大阪桐蔭は課題曲 I を避けている。朝日作曲賞を受賞した「ブライアンの休日」はコンサート用としては良いが、コンクール向きではないということなのだろう。

今回繰り返し課題曲を聴いて、その理由が漸く分かった。「ブライアンの休日」は強弱の変化に乏しく、えてして平板な演奏に聴こえてしまう。それに対し、「晴天の風」はクレッシェンド、デクレッシェンドが波のように繰り返されるので、アンサンブルの技量をアピールし易い。

淀工の課題曲は、まず冒頭部クラリネットの柔らかい音色が見事だった。以前より指摘していることだが、ppの美しさこそ淀工最大の武器である。そしてダイナミクスの幅の広さに関しても、今大会では淀工明浄学院が際立っていた。

大会最速のドライブ感で課題曲をかっ飛ばし、丸ちゃんの十八番、大栗 裕/大阪俗謡による幻想曲へ。万全の構えである。大阪俗謡も過去の演奏と比較して、最も速い演奏の部類に属するのでは?と体感された。丸ちゃんらしく引き締まったリズムが耳に心地良い。僕の前列に坐っておられた御婦人が、音楽に合わせ体で拍子をとられていた。つまり想わず踊りだしたくなるような祭の音楽になっていたということである。

記事「続・大阪俗謡をめぐる冒険」にも書いたが、2005年全日本吹奏楽コンクールにおける淀工の演奏は水も漏らさぬ鉄壁のアンサンブルであった。しかし唯一「おや?」と首をかしげたのが中間部、ピッコロが生国魂神社・獅子舞の祭囃子を吹く直前、絞太鼓の出だしが些か失速するのである。今回はここに注目して聴いたのだが、パーカッションの生徒は勢いよく飛び出したので「やったね!」と膝を打った。

それから、春の「アルメニアン・ダンス」やサマコンでの大阪俗謡を聴いた時点では「今年のオーボエは大丈夫なのかな……」と心配していたのだが、ソロではしっかりと音が鳴っていたのでホッとした。もっと歌えるようになればさらに良くなるだろう。逆に今回は全体のバランスから考えてサックスがやや弱い(音が出ていない)ように感じられた。10月の普門館では、より進化した淀工サウンドを楽しみにしている。

滋賀県立甲西高等学校銅賞)の自由曲「春になって王たちが戦いに出るに及んで」は野趣あふれる面白い曲。コーラスや叫び声もあり、聴いていて愉しかった。しかし奇声はあくまで耳障りな不協和音でしかなく、コンクールという場ではどうだろう?審査員へのアピールという点を考慮すれば、あまり良い選択とも想えないのだが……。

京都の洛南高等学校は宮本輝紀 先生時代に黄金期を築いた。関西代表として全国大会出場は14回におよび、うち4回金賞を受賞している。そして2006年3月に宮本先生は退官され、昨年・今年は関西大会銀賞と低迷している。今回初めて生で洛南の演奏を聴いて、池内毅彦 先生の指揮法に疑問を感じた。どうして指揮棒を持たないのだろう?確かにカラヤンや小澤征爾もそういうスタイルの指揮者であり、その方が豊かな表現を可能にするということもあるだろう。しかしそれは相手がベルリン・フィルやウィーン・フィルなどプロだから通る話であり、素人の高校生に対しては如何なものかと想った。指揮棒は手の動きを増幅させる。だから拍と出だしが明快になる。しかし素手だとそれが分かり辛い。実際、洛南の演奏は途中でアンサンブルが空中分解し、荒っぽいなと感じさせる箇所が多々見受けられた。

兵庫県立伊川谷北高等学校)の自由曲はチャイコフスキー/バレエ音楽「くるみ割り人形」。大変柔らかく、優しい響きで僕は好感を持った。ただ、吹奏楽コンクールにチャイコフスキーは鬼門なんだよねぇ。全国大会常勝の習志野市立習志野高等学校福岡工業大学付属城東高等学校、そして創価学会関西吹奏楽団もチャイコフスキーを選曲した年は銀賞に泣いている。何故なんだろう?と長年想ってきたのだが、イカキタの演奏を聴いてその疑問が氷解した。チャイコフスキーは吹奏楽に合ってない。彼の曲想には弦がないとどうしても物足りないのだ。

大阪桐蔭高等学校)の野球部は8/18に甲子園で優勝した。その応援の陣頭指揮をされた梅田隆司 先生は真っ黒に日焼けされていた。整っていてそつがない演奏。しかしそれ以上のものは何も感じられなかった。「ダメ金」は妥当な評価だろう(注釈:「ダメ金」とは、金賞は取ったが次の大会に進めないことをいう)。

明浄学院高等学校、代表)は文句の付けようのない演奏だった。のびやかに歌い、締めるところは緊張感を持って締める。メリハリがあり、弱音も淀工同様に大変美しかった。なお、明浄の自由曲はリスト/バッハの名による幻想曲とフーガ(田村文生 編曲)であった。

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上の写真は後半の部が終了し、結果発表を待つ人々。混乱を避けるため、ホール内への入場制限がなされた。

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そして結果発表の掲示である。一方通行で、見終わったら速やかに退場するよう繰り返しアナウンスが流れた。

関西代表は淀工明浄天理に決まった。これから2ヶ月弱、彼らの血の滲むような練習はさらに続く。《吹奏楽の甲子園》こと、普門館での健闘を祈る!

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2008年9月 1日 (月)

関西吹奏楽コンクールを聴いて 2008 《前編》

8月28日に尼崎総合文化センター(アルカイックホール)で開催された関西吹奏楽コンクール高等学校A部門を全22校聴いた。

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昨年の当日券は前半の部50枚、後半の部20枚しかなく、なんと午前6時には既に完売していた。しかし今年は前半600枚、後半200枚が用意され、後半の部は午前11時45分頃から販売が開始され、12時過ぎに完売したようである。場内でもその旨アナウンスがあった。現状を改善してくれた関西吹奏楽連盟に敬意を表したい。ただし、この販売方法だと後半の部の当日券を求めた人々は物理的に前半は聴けなかったことになる。これについては今後の課題と言えるだろう。

昨年、全日本吹奏楽コンクールを聴いた時に僕が感じたのは地域格差である。今回関西を聴いても、都道府県によるレベルの差が歴然としていた。金賞は大阪が4校、奈良と兵庫が1校ずつ。京都・和歌山・滋賀が0。和歌山は1、1。滋賀は2のみ。調べてみると、過去55回あった全日本吹奏楽コンクールで和歌山や滋賀の高校が関西代表に選ばれたことは一度もない。なお滋賀県の名誉のために書いておくと、一般の部では大津シンフォニックバンドが全国大会に9回出場し、うち7回金賞を受賞している。

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さて、これから各校の具体的な感想を書くに当たってあらかじめ断っておきたいことがある。

素人の高校生を傷つけることは本意でない。昨年、記事「玉砕!関西吹奏楽コンクール〜京都頂上作戦」で僕は次のように書いた。

吹奏楽に名門校など存在しない。その実力を左右するのは練習量と指導者の力量だけである。

この想いに今も些かの変わりはない。関西大会に出場する実力を持つ学校の生徒さんたちはいずれも一生懸命練習してきたことだろう。その点に関しては何処にも違いはないはずだ。

だから、結果に差が出てきたとしたら、それはすべて指導者に責任を帰すべきである。

これから僕が辛辣なことを書くとしても、あくまで顧問の先生に対して意見しているのであって、決して頑張った生徒さん達のことを悪く言っているのではないことを理解してもらいたい。

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兵庫県立明石南高等学校の課題曲 I 「ブライアンの休日」は生き生きした表情で、緩急のメリハリもあって出色の演奏だった。自由曲のR.シュトラウス/楽劇「サロメ」〜7つのヴェールの踊りも冒頭部のくねくね蛇がのたうつ感じがよく出ていた。文句なしの金賞である。

大阪府立市岡高等学校)の課題曲 I はもっと緊張感と歌心が欲しかった。

近畿大学附属高等学校)の課題曲 I は少々荒削りだが速めのテンポで勢いがあった。自由曲、マッキー/レッドライン タンゴは尖った演奏で、鋭いリズム感が抜群だった!打楽器奏者でもある指揮者・小谷康夫さんのセンスが光る。またEsクラやソプラノ・サックスのソロもよく音が鳴っていて聴き惚れた。特にソプラノを吹いた生徒さんは今大会のベスト・ソリストではなかろうか。いやぁ、ここは金賞でも良かったんじゃないかな?審査員受けは悪いのだけれど、僕はこのマッキーの曲が大好きだ。テレビ「のだめカンタービレ」」を監修された指揮者・飯森範親さんもこの新進気鋭の作曲家を絶賛している→飯森さんのブログへ。なお、この記事で飯森さんが指導されたおかやま山陽高校吹奏楽部は見事、中国地区代表に選ばれた。

近年生まれた名曲、中橋愛生/吹奏楽のための祝典序曲 科戸の鵲巣(しなとのじゃくそう)を初めて聴いたのは2年前の大阪府吹奏楽コンクールにおける伊勢敏之/創価学会関西吹奏楽団の演奏で、これは衝撃的体験だった。昨年普門館で聴いた小野川昭博/明浄学院高等学校の演奏も素晴らしかった。科戸の鵲巣を聴いていると、涼やかな竹林で風の音を聴く想いがする。実際に「風の起こる場所」をイメージしながら作曲されたそうである。しかし、今回この曲を東海大学付属仰星高等学校)と姫路市立琴丘高等学校)の2校が演奏したが、残念ながら彼らの演奏からは"風"を感じ取ることは出来なかった。

四條畷学園高等学校)は課題曲IV「天馬の道」から、スコアの細部まで見通しがよく、透明感溢れる演奏に魅了された。そして圧巻だったのは自由曲、バルトーク/バレエ音楽「中国の不思議な役人」。磨き抜かれた響き、冷徹なまでの明晰さ。指揮者の伊勢敏之さんは同曲を創価関西吹奏楽団でも取り上げ、全国大会金賞を受賞されている。何より驚いたのは四条畷(しじょうなわて)のサウンドが創価学会関西のそれに非常に似ていたことである。高校生バンドをちゃんと自分が求める色に染めていく力があるのだから、やっぱり伊勢さんは凄いなと感服した。僕は四条畷が関西代表になると確信したのだが、蓋を開けてみると天理高等学校が選ばれ、これは少し意外だった。

天理高等学校、代表)と向陽台高等学校)も自由曲でバルトーク/バレエ音楽「中国の不思議な役人」を演奏したが、四条畷と比較するとアンサンブルの精度や鋭さが欠け、響きもカオス(混沌)の中に沈んでいた。

そろそろ長くなってきたので以下、後半の部の感想は後日改めて書きたい。

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