ジャズ・ピアニスト小曽根真 登場!サプライズの第66公演~大阪クラシック2008 《6日目》
9月12日(金)は予め、休暇を取っていた。
今年の大阪クラシックは当初、全65公演の予定であったが9/9(火)夜の公演で大植英次さんから重大発表があった。急遽、第66公演目が決まったのである!
今年2月の大フィル定期は神戸生まれのジャズ・ピアニスト、小曽根 真さんが登場しガーシュウィン/ラプソディ・イン・ブルーを演奏した。その時の僕の感想はこちらの記事に書いた。これはNHKが映像収録し、BSでも放送された。
今から3週間前、大植さんは主席指揮者を務めるハノーファー北ドイツ放送フルハーモニー(NDR)の演奏会に小曽根さんを招聘し再び共演、地元紙から絶賛を博したそうである。その際に小曽根さんに大阪クラシックの話をしたら、「どうして声を掛けて下さらなかったんです!?是非僕も出演したい」と、とんとん拍子に話が進み、小曽根さんのスケジュールを調整。金曜日朝10時からの出演が決まったそうだ。何と無料公演である。
会場となった大阪市中央公会堂に9時半に入場すると、既に小曽根さんがピアノに向かって指ならしをされていた。
ピアノの前に群がる人、人、人。
ステージ前に集まった人々と気さくに会話を交わす小曽根さん。フロアから「モーツァルトをJAZZ風に弾いたらどんな感じになるん?」と質問も飛ぶ。
そこへ大植さんが登場。小曽根さんと交代しピアノに腰掛けるなり、
- ベートーヴェン/ピアノソナタ 第14番「月光」〜第1楽章
を弾き始めた。そしてそれが切れ目なく、
- ガーシュウィン/3つの前奏曲〜2. Andante con moto e poco rubato
へと続く。聴衆は大喜び。携帯カメラのシャッター音が絶え間なく響く。ここで大フィル事務局の人が各自席に着くように促し、いよいよ本番へ。小曽根さんのソロで、
- ラヴェル/クープランの墓
- モーツァルト/ピアノ協奏曲 第27番〜第2楽章(JAZZ風)
- 小曽根 真/Bienvenidos Al Mundo(ようこそ、この世界へ)
- アントニオ・カルロス・ジョビン/How Insensitive(ボサノヴァ)
- ピアソラ/ローラの夢(タンゴ)
ラヴェルは最初原曲通りに弾かれていたが、途中からスウィングしてJAZZテイストに。小曽根さん曰く、「ちょっとここから大阪城あたりまで寄り道してきました」
小曽根さんの自作はラテンの曲。途中にフーガもあり聴き応えあり。
アントニオ・カルロス・ジョビンは「イパネマの娘」で有名なブラジルの作曲家。"How Insensitive"はショパン/前奏曲からインスピレーションを得たのではないかと両者を弾き比べてみる小曽根さん。それに対し、大植さんがブラームス/交響曲第1番 第4楽章の主題とマーラー/交響曲第3番 第1楽章 冒頭部の旋律がそっくりであるというお話をピアノで例示しながらされた。成る程、これは面白い!
特に圧巻だったのはピアソラ。ピアノ独奏なのに、タンゴのエッセンスがギュッと濃縮されているのには驚かされた。叩き付けるような低音のリズムが胸に響く。
ここで大植さんから小曽根さんへプレゼント。手製の金メダル、OZONE MAKOTO in OSAKA CLASSICと縫いこまれたTシャツ、そしてドイツでのコンサートの新聞批評や毎日新聞に掲載された本公演の告知記事を紙バッグに仕立てたものなどが手渡された。早速そのTシャツに着替える小曽根さん。サービス精神旺盛な人だ。
最後はふたりの連弾で締め括られた。
- ブラームス/ハンガリー舞曲 第5番
記事関連blog紹介:
~snowdome cafe #2~(同じ公演を聴かれた方の感想)
昼食の後、明治安田生命大阪御堂筋ビルに移動して第50公演。
ヴァイオリン/佐久間聡一、コントラバス/三好哲郎で、
- J.S.バッハ/アンナ・マグダレーナのためのクラヴィーア小曲集
- グリエール/8つのデュエット より
同じメンバーで昨年もグリエールを聴いている。場所はオカムラ大阪ショールームだった。その写真はこちら。あの時はこんな人だかりではなかったんだけれどなぁ……。
お次はフェニックスタワー1Fアトリウムで第51公演。
- ドビュッシー/弦楽四重奏曲
- ドビュッシー/亜麻色の髪の乙女
どこへ行っても凄い人!立ちっぱなしで疲労困憊し、梅田に移動してプレミアム・モルツ生ビールを飲みながら読書してしばしの休憩。
若干体力を回復し、再びフェニックスタワーに戻って3Fのザ・フェニックスホール(整理券あり、無料)で第54公演。
- フンメル/七重奏曲 第2番「軍隊」
昨年の大阪クラシックではフンメル/七重奏曲 第1番を聴いた。その時の感想はこちら。同じ七重奏でも楽器編成は異なる。両者に共通するのはピアノ、フルート、チェロ、コントラバスのみで、第1番のオーボエ、ホルン、ヴィオラの代わりに第2番「軍隊」ではクラリネット、トランペット、ヴァイオリンが加わる。
僕はどちらかと言えば第1番の方が名曲だと想った。疲れも手伝って、途中うつらうつらと舟を漕ぐ。
そしてこの後、ザ・シンフォニーホールに向かい児玉 宏/大阪シンフォニカー交響楽団による、奇蹟のブルックナー体験で衝撃を受けることになるのだが……それはまた、別の話。
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