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関西吹奏楽コンクールを聴いて 2008 《前編》

8月28日に尼崎総合文化センター(アルカイックホール)で開催された関西吹奏楽コンクール高等学校A部門を全22校聴いた。

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昨年の当日券は前半の部50枚、後半の部20枚しかなく、なんと午前6時には既に完売していた。しかし今年は前半600枚、後半200枚が用意され、後半の部は午前11時45分頃から販売が開始され、12時過ぎに完売したようである。場内でもその旨アナウンスがあった。現状を改善してくれた関西吹奏楽連盟に敬意を表したい。ただし、この販売方法だと後半の部の当日券を求めた人々は物理的に前半は聴けなかったことになる。これについては今後の課題と言えるだろう。

昨年、全日本吹奏楽コンクールを聴いた時に僕が感じたのは地域格差である。今回関西を聴いても、都道府県によるレベルの差が歴然としていた。金賞は大阪が4校、奈良と兵庫が1校ずつ。京都・和歌山・滋賀が0。和歌山は1、1。滋賀は2のみ。調べてみると、過去55回あった全日本吹奏楽コンクールで和歌山や滋賀の高校が関西代表に選ばれたことは一度もない。なお滋賀県の名誉のために書いておくと、一般の部では大津シンフォニックバンドが全国大会に9回出場し、うち7回金賞を受賞している。

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さて、これから各校の具体的な感想を書くに当たってあらかじめ断っておきたいことがある。

素人の高校生を傷つけることは本意でない。昨年、記事「玉砕!関西吹奏楽コンクール〜京都頂上作戦」で僕は次のように書いた。

吹奏楽に名門校など存在しない。その実力を左右するのは練習量と指導者の力量だけである。

この想いに今も些かの変わりはない。関西大会に出場する実力を持つ学校の生徒さんたちはいずれも一生懸命練習してきたことだろう。その点に関しては何処にも違いはないはずだ。

だから、結果に差が出てきたとしたら、それはすべて指導者に責任を帰すべきである。

これから僕が辛辣なことを書くとしても、あくまで顧問の先生に対して意見しているのであって、決して頑張った生徒さん達のことを悪く言っているのではないことを理解してもらいたい。

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兵庫県立明石南高等学校の課題曲 I 「ブライアンの休日」は生き生きした表情で、緩急のメリハリもあって出色の演奏だった。自由曲のR.シュトラウス/楽劇「サロメ」〜7つのヴェールの踊りも冒頭部のくねくね蛇がのたうつ感じがよく出ていた。文句なしの金賞である。

大阪府立市岡高等学校)の課題曲 I はもっと緊張感と歌心が欲しかった。

近畿大学附属高等学校)の課題曲 I は少々荒削りだが速めのテンポで勢いがあった。自由曲、マッキー/レッドライン タンゴは尖った演奏で、鋭いリズム感が抜群だった!打楽器奏者でもある指揮者・小谷康夫さんのセンスが光る。またEsクラやソプラノ・サックスのソロもよく音が鳴っていて聴き惚れた。特にソプラノを吹いた生徒さんは今大会のベスト・ソリストではなかろうか。いやぁ、ここは金賞でも良かったんじゃないかな?審査員受けは悪いのだけれど、僕はこのマッキーの曲が大好きだ。テレビ「のだめカンタービレ」」を監修された指揮者・飯森範親さんもこの新進気鋭の作曲家を絶賛している→飯森さんのブログへ。なお、この記事で飯森さんが指導されたおかやま山陽高校吹奏楽部は見事、中国地区代表に選ばれた。

近年生まれた名曲、中橋愛生/吹奏楽のための祝典序曲 科戸の鵲巣(しなとのじゃくそう)を初めて聴いたのは2年前の大阪府吹奏楽コンクールにおける伊勢敏之/創価学会関西吹奏楽団の演奏で、これは衝撃的体験だった。昨年普門館で聴いた小野川昭博/明浄学院高等学校の演奏も素晴らしかった。科戸の鵲巣を聴いていると、涼やかな竹林で風の音を聴く想いがする。実際に「風の起こる場所」をイメージしながら作曲されたそうである。しかし、今回この曲を東海大学付属仰星高等学校)と姫路市立琴丘高等学校)の2校が演奏したが、残念ながら彼らの演奏からは"風"を感じ取ることは出来なかった。

四條畷学園高等学校)は課題曲IV「天馬の道」から、スコアの細部まで見通しがよく、透明感溢れる演奏に魅了された。そして圧巻だったのは自由曲、バルトーク/バレエ音楽「中国の不思議な役人」。磨き抜かれた響き、冷徹なまでの明晰さ。指揮者の伊勢敏之さんは同曲を創価関西吹奏楽団でも取り上げ、全国大会金賞を受賞されている。何より驚いたのは四条畷(しじょうなわて)のサウンドが創価学会関西のそれに非常に似ていたことである。高校生バンドをちゃんと自分が求める色に染めていく力があるのだから、やっぱり伊勢さんは凄いなと感服した。僕は四条畷が関西代表になると確信したのだが、蓋を開けてみると天理高等学校が選ばれ、これは少し意外だった。

天理高等学校、代表)と向陽台高等学校)も自由曲でバルトーク/バレエ音楽「中国の不思議な役人」を演奏したが、四条畷と比較するとアンサンブルの精度や鋭さが欠け、響きもカオス(混沌)の中に沈んでいた。

そろそろ長くなってきたので以下、後半の部の感想は後日改めて書きたい。

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