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大阪市長も登場!~大阪クラシック2008 《最終日》

9月13日(土)、いよいよ七日間にわたって繰り広げられてきた大阪クラシックも大詰めである。

第64公演(17:30~)、大阪市役所シティホールで行われた野津臣貴博(みきひろ)さんの無伴奏フルート・ソロから参戦。平松邦夫・大阪市長が柱の影に立ち、じっと耳を傾けておられた。

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  • 瀧 廉太郎/荒城の月(矢代秋雄 編)
  • ドビュッシー/シリンクス(パンの笛)
  • J.S.バッハ/パルティータ イ短調
  • 本居長世/七つの子変奏曲(林光 編)
  • ジョリヴェ/5つの呪文より
  • 五木の子守唄(矢代秋雄 編)
  • ビゼー/「アルルの女」よりメヌエット

野津さんの無伴奏フルートは、毎年欠かさず聴いている。一昨年の大阪クラシック初回は心斎橋大丸1Fロビー、昨年は難波高島屋1Fロビーでの演奏だった。その時の様子はこちらの記事にレポートした。だから「パンの笛」「5つの呪文」を聴くのはこれで3回目となる。「パンの笛」は同じドビュッシー/牧神の午後への前奏曲の姉妹篇とも言うべき幻想的で美しい佳作。ジョリヴェは20世紀の作曲家。「5つの呪文」は土俗的でアフリカン・テイストたっぷりの面白い曲。フルートによる表現の可能性を広げた作品である。

「アルルの女」で野津さんは客席を縫うように歩きながら演奏し、そしてそのまま退場された。なかなか粋な演出であった。予定時間30分を遥かに越え約1時間、たっぷりとフルートの音色を堪能した。

そしていよいよ最終公演(19:30~)、三菱東京UFJ銀行 大阪東銀ビルに乗り込む。当日朝10時から配布された整理券を得るため、最初の人はなんと午前5時から並んでいたそうである!

  • コープランド/リンカーンの肖像
  • ムソルグスキー/組曲「展覧会の絵」(ラヴェル 編)

大植英次/大阪フィルハーモニー交響楽団の演奏で、コープランドのナレーションは先の会場にも姿を見せられた平松市長が担当された。

大植さんが前回、アメリカで「リンカーンの肖像」を演奏した時の朗読はクリントン大統領だったとか。「クリントンさんより平松市長の方が上手い!」と大植さん。そりゃそうでしょう、なんてったって元アナウンサーですから。

我が家にある「リンカーンの肖像」のCDはシュワルツ/シアトル交響楽団による演奏で、ナレーションはジェームズ・アール・ジョーンズである。そう、知る人ぞ知るダース・ベイダーの声をあてている役者さんだ(出演作では「フィールド・オブ・ドリームス」が名高い)。深みのある良い声なので何とも味のあるディスク。そして平松市長もそれに負けず劣らずの名演技でした。大植/大フィルのサポートが万全だったことは言うまでもなし。

演奏が終わると市長は「皆さん、大阪の文化を守りましょう!」と高らかに宣言し、会場を盛り上げる。また「是非、大フィルの定期演奏会にも足を運び、彼らの応援団になって下さい」と呼びかけた。

そして大植さんは、音楽の本編中に登場するリンカーンのゲティスバーグ演説

人民の、人民による、人民のための政治

を引用し、「大阪クラシックは、大阪市民の、市民による、市民のための音楽祭です」と聴衆に語りかけ大喝采を浴びた。

今回、アメリカ生まれのアーロン・コープランドが生み出したこの曲を聴きながら感じたのは後の作曲家、特に映画音楽の巨匠ジョン・ウィリアムズへの多大な影響である。冒頭のトランペット・ソロなどはジョンが映画「7月4日に生まれて」や「JFK」「プライベート・ライアン」等に書いた音楽を彷彿とさせる。

またジョンは、スティーブ・マックイーン主演の映画「華麗なる週末」(THE REIVERS, 1969)のために作曲した音楽を後にコンサート用に改変し、ナレーション付きのオーケストラ曲に仕上げている。これが「リンカーンの肖像」から考想のヒントを得ていることはまず間違いないだろう。

続く「展覧会の絵」も文句なし。グロテスクな《グノーム、小人》、《バーバ・ヤーガの小屋》、そして重々しく足を引き摺るような《ビドロ、牛車》や《カタコンベ》。逆に子供たちがはしゃぐ《テュルリーの庭》や《卵の殻をつけた雛の踊り》、《リモージュの市場》では軽快で活気にあふれた表現。ひとつひとつの絵が鮮やかに描き分けられ、色彩感豊な演奏だった。

《キエフの大門》で鐘の音が荘厳に響き渡り、重厚で格調高く「展覧会の絵」が締め括られると、再び平松市長が大きな花束を持ってステージに上がって大植さんに手渡す。ここで大植さん、感極まって男泣き。これはもうお約束なので、聴衆も笑顔でその光景を見つめる。そこへ平松市長が今度はタオルをもってまたまた登場。これには皆、大爆笑となった。

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アンコールは大阪クラシックや星空コンサートでお馴染み、「夕やけこやけ」「七つの子」「ふるさと」(山本直純 編)を大フィルの伴奏で会場の人々が大合唱。そして「八木節」外山雄三/管弦楽のためのラプソディ より)では手拍子を打って熱狂的に盛り上がり、〆となった。

市長によると、今年の大阪クラシックを聴きに来た人々はのべ約3万7千人だったそうである。初年の入場者数が2万2千人、昨年が2万8千人。大阪初秋の風物詩として年々着実に市民に浸透してきている。それにしても2年前と比較して1万5千人も増加したのだからこれは尋常じゃない。大植さんによると、会場で話しかけてこられた人の中には、北は青森から、そして南は熊本から遙々やって来た人もいたとか。

兎に角どの会場に往っても凄い人だかりで、気軽に音楽を聴ける状態ではなくなってきたことも事実である。当初は3年計画のイベントとして出発したこの企画。是非来年も続けて欲しいとは想うが、これだけ定着したのだからもっと有料公演を増やすとか、事前に配布する整理券を増やすとか、さらに運営方法の見直しも望まれるところである。

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