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2008年8月15日 (金)

夏の映画、夏の音楽

夏になると無性に観たくなる映画や聴きたくなる音楽というものがある。以前クリスマスに相応しい映画について「クリスマスの思い出」と「続・クリスマスの思い出」という記事に書いたが、今回はその夏バージョンを書きたいと想う。まずは映画から。

  • 転校生(1982年尾道版)
  • 時をかける少女(2006年アニメーション版)
  • 耳をすませば(1995)
  • がんばっていきまっしょい(1998)
  • 天然コケッコー(2007)
  • 打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?(1993)
  • 太陽の少年(1994、中国)
  • スタンド・バイ・ミー(1986、米国)

「転校生」(キネマ旬報ベスト・テン第3位)は現・三谷幸喜 夫人である小林聡美のデビュー作。撮影当時、彼女は16歳くらいかな。大林宣彦監督の尾道三部作の初頭を飾る名作である(後に新・尾道三部作も出来た)。僕がこの映画をTVで初めて観たのも16歳くらいで、これが大林映画との出会いとなった。「転校生」は後に長野県に舞台を移し大林監督自らの手でリメイクされたが、僕にとってそちらの方はなかったことになっている。その「転校生 さよならあなた」(2007)は秋から冬にかけての物語である。

さて、「時をかける少女」は大林宣彦監督、原田知世のデビュー作(1983)の話ではない。尾道三部作の第二弾となる大林版は言わずと知れた日本映画史に燦然と輝く金字塔なのだけれど、あちらは春の映画。今回ご紹介したいのは細田守監督のアニメーション版。これはリメイクではなく、大林版から23年後の続編として製作されている。公式サイトはこちら。公開当時の僕のレビューはこちら。細田監督が宮崎駿さん(以後「宮さん」と呼ぶ)と喧嘩して「ハウルの動く城」を降板した経緯などについても触れている。

「耳をすませば」はスタジオ・ジブリのアニメーターだった近藤喜文の最初で最後の監督作品。映画が完成して3年後に近藤監督は47歳の若さで亡くなった。宮さんは自分の後継者として彼を考えていただろうに、その痛手は計り知れない。なお、現在でも日テレ「金曜ロードショー」で放送されているオープニング映像は近藤喜文の作画・演出である(音楽/久石譲)。

しかし「耳をすませば」の脚本・絵コンテ・キャラクターデザインは全て宮さんが担当しているので、これは実質的に宮崎アニメである(何でも自分でしないと気が済まないその性癖のために、ジブリには後進が育たない)。宮さんはヒロインに麦わら帽子を被せるのが大好きで、「耳をすませば」も例外ではない。またその姿が確かに可愛いのだ。ちなみに東京にある三鷹の森ジブリ美術館にはその名もずばり、カフェ「麦わら帽子」がある。麦わらのストローで飲むジュースはとても美味しい。ちなみにフードメニューのお勧めは「くいしんぼうのカツサンド」。

「がんばっていきまっしょい」は田中麗奈のデビュー作。映画公式サイトはこちら。愛媛県立松山東高等学校のボート部を舞台にしたこの作品は、2005年にフジテレビ系でドラマ化されたのでご覧になった方も多いだろう。丁寧に作られたテレビ版の出来もよかったが、やっぱりキネマ旬報ベスト・テン第3位になった映画版に止めを刺す。なお、テレビ版DVDもレンタルで観ることができるが第4話から出演者の一人が未成年飲酒問題で降板し、代役になっている。

「天然コケッコー」(キネマ旬報ベスト・テン第2位)の公式サイトはこちら。昨年僕が書いたレビューはこちら

「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」と「太陽の少年」(キネマ旬報外国映画ベスト・テン第2位)はまるで姉妹のような映画である。「打ち上げ花火…」の奥菜恵、「LOVE LETTER」の酒井美紀、そして「花とアリス」の蒼井優。岩井俊二監督は移ろいゆく少女たちが最高に輝く一瞬を的確に捉え、永遠の記憶としてそれをフィルムに刻み込む。「打ち上げ花火…」ファンサイトはこちら

「スタンド・バイ・ミー」はベン・E・キングが唄った1961年のヒット曲が、まるで映画のために書かれたかのように見事に寄り添っている。モダンホラーの旗手、スティーヴン・キング原作小説の映画化で成功したものとしては、「ショーシャンクの空に」「デッド・ゾーン」「キャリー」「ミザリー」と並んで筆頭に上げられるべき作品。キネマ旬報外国映画ベスト・テン第5位。

Stand_by_me_2

さて、音楽の話題に移ろう。まずは久石譲 作曲のその名もずばり"Summer"。映画「菊次郎の夏」のテーマとして書かれた爽やかな名曲である。TOYOTAカローラのCMで使用され一躍有名になった。映画自体は凡庸なロード・ムービー。北野武監督は国内外ともに過大評価されているとしか僕には想えない。彼の作品で観る価値があるのは「キッズ・リターン」と「ソナチネ」くらい。新作「アキレスと亀」はヴェネチア国際映画祭のコンペティション部門で「崖の上のポニョ」や「スカイ・クロラ」とガチンコ勝負するわけだが、さて、結末や如何に?

最後にクラシック音楽からご紹介したい。夏といえばフレデリック・ディーリアス。一応イギリスの作曲家ということになっているが彼の両親はドイツ人で、若い頃はアメリカなどを放浪した。そしてノルウェーでグリークの多大な影響を受け、最後はフランスで暮らした。ディーリアスの晩年を描いたテレビ映画がケン・ラッセル監督の「夏の歌」で、これは味わい深い佳作であった。

ディーリアスの音詩(Tone Poem)「夏の夕べ」や「夏の歌」を聴いていると、僕の脳裏にはたちまちニッコウキスゲが群生する尾瀬湿原の夏の風景が浮かんでくる。その写真が美しく撮れているのはこちら→mckeeの手帳

ディーリアスのCDではトーマス・ビーチャムかジョン・バルビローリが指揮したものなら間違いない。廉価版ではNAXOSから出ているロイド=ジョーンズ指揮の2枚のCDがお勧め。実売価格1,000円前後である。

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