森 麻季/ソプラノ リサイタル
ザ・シンフォニーホールにて。前回、森 麻季さんのリサイタルを聴いた感想はこちら。
本当は6月、兵庫県立芸術文化センターの「メリー・ウィドウ」も森さんが出演する日程に合わせてチケットを取ったのだけれど、その後彼女の懐妊が明らかとなり残念なことに舞台は降板という結果になってしまった。しかし今回はかなり大きくなったお腹でステージに立たれ、たっぷりその美声を聴かせてくれた。コンサート中になんとマタニティー・ドレスを4着も着替えるというサービス精神にはただただ頭が下がる。
オペラ歌手の歌詞は聴き取り辛い。これはイタリア人がイタリア・オペラを聴く時も同様だそうである。ビブラートがその主な原因と考えられる。振幅の大きいビブラートは耳障りで神経を逆撫でする。しかし森さんの歌い方にはそれがない。彼女のビブラートは繊細で振幅が小さい。そして特にピアニッシモにおける声のコントロールが絶妙で澄み渡る。
プログラムの選曲も良かった。「浜辺の歌」「初恋」「からたちの花」といった日本の歌から始まり、R.シュトラウスを経て浪漫派最後の作曲家、コルンゴルトの甘美な3つの歌曲へ。コルンゴルトはこのブログでも繰り返し取り上げている僕の大好きな作曲家。ユダヤ人だった彼はナチスから逃れハリウッドへ渡り、映画音楽の礎を築いた。コンサートでは滅多に演奏されない彼の音楽を生で聴けるというのはこの上もない喜びである。是非、在阪オーケストラもヴァイオリン協奏曲や交響曲などの彼の傑作を取り上げて欲しい。
前半最後はマーラー/交響曲第4番から第4楽章(ピアノ伴奏版)。天上の生活を歌った彼女の声は極上の美しさで、全盛期のキャスリーン・バトル(マゼール/ウィーン・フィルのCD)を想い起こさせた。
プログラム後半、最初の曲はカルローネ/私の人生は海。このイタリアの作曲家は1970年生まれ。森さんからの依頼で書かれた曲と解説に書かれていた。もしや、と想い調べてみると案の定、彼女の旦那さんだった。
さらに20世紀の曲が続く。アルバン・ベルクに歌曲があるというのも驚きだったし、ストラヴィンスキー/オペラ「道楽もののなりゆき」がリサイタルで歌われるのも珍しい。とても聴き応えのある素晴らしい演奏会だった。
アンコールは何と4曲!!
情感豊な「私のお父さん」はしみじみ心に沁みて、軽やかな「ムゼッタのワルツ」にときめく。森さんのプッチーニは今や、世界最強であろう。
「千の風になって」も驚いたけれど、コロラトゥーラ・ソプラノの技巧を存分に発揮し華やかに駆け巡るドニゼッティは圧巻だった。
出産後の彼女の活躍にも大いに期待したい。
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