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市音の日!/たそがれコンサート 2008

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待ちに待った「市音の日」。今年も遂にその時がやって来た。いそいそと大阪城(野外)音楽堂へと足を運ぶ。今回は《日本の名曲とアメリカン・エンターテイメント》と副題がついていた。

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小松一彦(首席客演指揮者)/大阪市音楽団という組み合わせは、昨年と一緒。このコンビがリリースした第95回定期演奏会ライヴCDは「レコード芸術」誌の特選盤に選ばれている。ちなみに一昨年の「市音の日」は特別指揮者・芸術顧問の秋山和慶さんが指揮された。日本一、いや、世界でもトップクラスの演奏が、無料で聴けるのだから「たそがれコンサート」は最高だ。大阪府は4番目のオケ、大阪センチュリー交響楽団を結成し府民の税金を完全に無駄遣いしただけだったが、大阪市は素晴らしい文化事業を成し遂げたと言えるだろう。

まず演奏されたのは、大栗 裕/吹奏楽のための小狂詩曲。1966年、全日本吹奏楽コンクール課題曲である。この年、関西からは谷口 真/天理高等学校(奈良県代表)が全日本吹奏楽コンクールでこれを演奏し、堂々1位に輝いている(この頃は金・銀・銅ではなく順位制だった)。ちなみに大栗といえば「大阪俗謡による幻想曲」、そして「大阪俗謡」といえば丸ちゃん(丸谷明夫 先生)率いる淀工だが、淀工が全国大会に初出場するのは74年、そして「大阪俗謡」で金賞を受賞するのは80年の話である。

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そして小山清茂/1. おてもやん 2. もぐら追い。小山清茂は神楽や祭囃子をモチーフにして、日本情緒に満ちた曲想が特徴の作曲家。「吹奏楽のための木挽歌」('70)が特に有名。これは元々「管弦楽のための木挽歌」('57)を作曲者自身が編曲したもので、その成立の経緯は「大阪俗謡」と似ている。今回演奏されたのも民族色豊かで、聴いていてとても愉快な気分になれるひょうきんな曲だった。

続いて「たなばた」で有名な酒井格 編曲による「美ら唄たち」。メドレーで取り上げられるのは以下の通り。

さとうきび畑(ユーフォ、Tp、Ob、Fl)涙そうそう(テナー、鉄琴)(ユーフォ、Tp、テナー)島唄(Tp、ユーフォ)

様々なソロが登場する練りに練られたアレンジであった。しっとりと始まり、次第に盛り上がっていく構成も文句なし。

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休憩を挟んでアメリカに飛ぶ。

「ガーシュウィン・オン・ブロードウェイ」 (J.モス 編) Strike Up The Band-Someone To Watch Over Me-'S Wonderful-Summertime- I Got Rhythm

チューバ・ソロで意表を突いた"サマータイム"は歌劇「ポーギーとベス」の曲で、他はすべてブロードウェイ・ミュージカルのために書かれている。映画「巴里のアメリカ人」('51)のジーン・ケリーや"Strike Up The Band"('40)のジュディー・ガーランド、そして劇団四季の「クレイジー・フォー・ユー」等の一場面を思い浮かべながら愉しく聴いた。

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H.マンシーニ/ピンク・パンサー(小野崎孝輔 編)はチューバ・ソロで始まり、ミュート・トロンボーン→バリトン・サックスと歌い継がれる。低音楽器をフィーチャー(featuring)するアレンジが面白い。

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L.バーンスタイン/「ウエストサイド・ストーリー・メドレー」 アメリカ〜トゥナイト〜マンボ

これは「アフリカン・シンフォニー」など"ニュー・サウンズ・イン・ブラス"シリーズでお馴染み、岩井直溥さんの編曲がお見事!特にマラカス、ボンゴが大活躍し、カリビアンなムードに溢れた"トゥナイト"は惚れ惚れと聴いた。考えてみれば「シャーク団」はプエルトリコ系なんだから、カリブ海出身なんだよね。

ちなみに、この夏の甲子園では代表校55校のうち、実に50校の応援団が「アフリカン・シンフォニー」を演奏したそうである。

E.バーンスタイン/荒野の七人(T.ミューラー 編)は有名なテーマだけではなく、盗賊が襲撃してくる場面や、雇われた七人の凄腕ガンマンとメキシコの寒村の人々との心の交流を描く牧歌的音楽も挿入されており聴き応えあり。

プログラム最後、話題沸騰のP.グレイアム/キャッツ・テイルズは"スーパー・ウィンド・ポップス"と呼ばれているそうだ。曲の詳しい解説はこちら。いやはや興奮しっぱなしで底抜けに痺れる傑作である。

I. カタロニア(E.バーンスタインのために)はボレロのリズムに乗って、さすらいのトランペットが「皆殺しの歌」を奏でる。JAZZYなテイストいっぱいだ。
II. キャットウォーク(H.マンシーニのために)は"ピンク・パンサー"風味。ミュート・トランペットが酒場のJAZZの雰囲気を醸し出す。
III. スキャット!(ソニー・ロリンズのために)はアルバム「サキソフォン・コロッサス」で名高いジャズ・ジャイアントに捧げられているので、当然テナー・サックスが大活躍。
IV. キャットナップ(G.ガーシュウィンのために)は"サマータイム"へのオマージュ。マリンバがフィーチャーされている。catnapとは「うたた寝」という意味。一方の"サマータイム"は母親が歌う子守歌である。
V. トッカータ(L.バーンスタインのために)はマンボのリズムでソロ・トランペットも登場。さあ、ダンス・パーティの始まりだ!市音の演奏もノリノリで言うことなし。

この、P.グレイアム/キャッツ・テイルズは出来たてホヤホヤの新曲。難易度が高く、とにかく音楽としても鑑賞に堪える素晴らしい曲なので、今後コンクールの自由曲として間違いなく大人気となるであろう。秋山和慶/大阪市音楽団の演奏でCD「ニュー・ウィンド・レパートリー2008」(レコード芸術 特選盤)に収録されている。詳しくはこちら

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今年も、夢のような一夜をありがとう!大阪市音楽団。

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