夏本番!大阪市音楽団/たそがれコンサート 2008
大阪夏の風物詩、たそがれコンサートの季節がやって来た!7月から8月にかけ毎週金曜日、夕日に映える大阪城(野外)音楽堂が吹奏楽の響きで満ち溢れる。
まずトップバッターは関西大学応援団吹奏楽部の登場。
1曲目は「関西大学 学歌」が演奏された。これを作曲したのは「赤とんぼ」「この道」、オペラ「黒船」などで知られる山田耕筰。なんと、早稲田と並び日本3大校歌のひとつに挙げられる明治大学校歌も彼の作曲だそうである。帰宅後、調べてみて驚いた。例えば関西に限っても、山田は関西学院大学歌、同志社大学歌、龍谷大学学歌、京都女子大学歌など多数の校歌を作曲している(その多くの作詞を手掛けているのは北原白秋)。さらに高校の校歌も、北は北海道・室蘭から南は宮崎県まで40校近く手掛けているのである。
他にも「ボギー大佐(クワイ河マーチ)」で有名なアルフォード作曲の行進曲「ナイルの守り」などが演奏された。中でも印象的だったのは「イン・ザ・ミラー・ムード」(W.パーカー 編)。グレン・ミラーのヒット曲をメドレーにしたもので、SWINGするノリのいいアレンジが見事だった。
休憩を挟んで、いよいよ真打ち大阪市音楽団(市音)の登場である。指揮は中井章徳さん。中井さんは今年3月の「にしなりクラシック」で大阪フィルハーモニー交響楽団も指揮されている。
最初に演奏されたのは櫛田朕之扶(くしだ てつのすけ)/雲のコラージュ。1994年全日本吹奏楽コンクール課題曲から生まれた、日本情緒溢れる、たおやかな名曲である。京都生まれである櫛田さんの作品は「石の庭」「斑鳩の空」「飛鳥」「秋の平安京」など、関西に因んだ曲が多い。
次は田中久美子/吹奏楽のための「虹」。これは市音の委嘱作品でCD「ニュー・ウインド・レパートリー2008」に収録されている出来たてホヤホヤの新曲。田中さんは香川県高松市在住の作曲家。なんとこの日、わざわざ高松から会場に駆け付けて来られていた。とても可愛らしい曲調で、なんだか雰囲気が子供たちの冒険物語に似合いそう。日本ファンタジーノベル大賞を受賞し映画化もされた「鉄塔 武蔵野線」とか、岩井俊二監督の名作「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」などを想い出しながら、ワクワクして聴いた。技術的には難しそうではないので、吹奏楽部に所属する中学生諸君!この曲に挑戦してみてはいかが?
行進曲「コバルトの空」に続いて演奏されたのは久石 譲 作品集(森田一浩 編)。《君をのせて(天空の城ラピュタ)~鳥の人(風の谷のナウシカ)~帰らざる日々(紅の豚)~風のとおり道(となりのトトロ)》といった構成になっている。森田さんには伊奈学園の宇畑知樹先生からの依頼で「ラピュタ」〜キャッスル・イン・ザ・スカイ〜という素晴らしい編曲があるが、今回演奏されたものもそれに劣らぬ名アレンジであった。
関西で実力NO.1のオーボエ奏者、福田さんのソロよる前奏に続いてソプラノ・サックスがラピュタの主題歌「君をのせて」を奏でた。いいねぇ、たまらんねぇ。「鳥の人」を聴きくと、即座に「ユパ様!これ運んで下さるー?気流が乱れて上手く飛べないのー」というナウシカの台詞が脳裏に蘇る。「帰らざる日々」なら自宅の庭に飛び出したジーナが、頭上に旋回するポルコの飛行艇を見上げて「バカ……」と呟く場面。こうして約20年、宮崎アニメと久石さんの音楽と共に僕は生きてきたんだなという感慨が深い。「風のとおり道」になると、近くに座っていた5、6歳の少女が市音の演奏と一緒に歌い出した。そうか!映画本編ではこの曲に歌詞はないが、「イメージアルバム」では歌付きだったなぁと懐かしく想い出した。時代は移ろっても、子供たちは何時だってトトロが大好きだ。音楽堂周囲の林の方から虫の鳴き声もそれに和した。
プログラム最後は酒井 格(さかい いたる)/たなばた。この曲は酒井さんが高校生の時に作曲したもので正式名称は"The Seventh Night of July"。実はその当時、酒井さんが憧れていた女性の誕生日が7月7日だったとか。酒井さんは大阪府枚方(ひらかた)市出身。そして枚方市内をその名もずばり「天の川」が流れているそうである。「たなばた」の優しい曲調が僕は大好きだ。
アンコールはSMAPが歌った「夜空ノムコウ」で締めくくられた。今回もとても愉しかった!
金管セクションに関しては、在阪4オーケストラ(大フィル、関西フィル、シンフォニカー、センチュリー)よりも市音の方が上手いことは僕が太鼓判を押す。市音が最近出したCD「ニュー・ウインド・レパートリー2008」と定期演奏会のライブ「中国の不思議な役人」は共に雑誌「レコード芸術」7月号で特選盤に選ばれた。在阪オケのレコーディングしたCDが特選盤になることなど滅多にない。プロの吹奏楽団と比較しても、シエナ・ウインド・オーケストラや東京佼成ウインドオーケストラのCDがレコ芸で特選になったというのは、余り記憶にない。市音の実力が如何に凄いかお分かり頂けるだろう。彼らこそ、大阪が世界に誇れる文化である。たそがれコンサートではその彼らの演奏が無料で聴けるのだからたまらない。是非あなたも一度、足を運んでみて下さいね。
こちらも読んでね!
前略 関西吹奏楽連盟さま
大阪市音楽団/青少年コンサート
小松一彦/大阪市音楽団 定期
大阪市音楽団〜青春の吹奏楽70'sヒットパレード
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コメント
こんばんは。
この日のたそがれコンサート、私も行きました。
初日にふさわしいとてもよいお天気ですね。
私事ですが7年ぶりに大阪に戻ってきました。
やっぱりいいですね(^-^)
投稿: ごいんきょ | 2008年7月15日 (火) 17時13分
ごいんきょ様、コメントありがとうございます。
これから夜でもますます暑くなり、野外音楽堂には蚊も飛んできますが、団扇や防虫スプレーなどで万全の対策を整え、《たそがれコンサート》を大いに愉しみましょう!
投稿: 雅哉 | 2008年7月16日 (水) 16時40分