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イースタン・プロミス

評価:C+

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僕は「スキャナーズ」('81)、「ヴィデオドローム」('82)の頃からカナダ出身の監督、デヴィッド・クローネンバーグのファンである。「デッドゾーン」('83)なぞはスティーブン・キング原作で映画化されたうちでも傑出した一本だと信じて疑わないし、「ザ・フライ」('86)はクローネンバーグの最高傑作だと想っている。岡嶋二人の小説「クラインの壺」に似た話ではあるが、ジュード・ロウ主演の「イグジステンズ」('99)もクローネンバーグらしく病んだ映画で好きだなぁ。

Easternpromises

さて、「イースタン・プロミス」はウェル・メイドな佳作である。ただ、古くからのファンとしてはクローネンバーグと言えばドロドロ、グチョグチョの映画を撮る"変態監督"だという認識があるので、こういうまともな映画を提供されたら却って戸惑ってしまうのも事実である。

ただ今回、とても新鮮だったのはイギリスを舞台にロシアン・マフィアを題材にしたことである。「ゴッドファーザー」で描かれたのはシチリア移民で、「ロード・トゥー・パーディション」はアイルランド系マフィアの話。アカデミー作品賞を受賞した「ディパーテッド」もアイルランド系マフィアだった。だから映画にロシアン・マフィアが登場するのは珍しい。

本作の音楽を担当したハワード・ショアは「ロード・オブ・ザ・リング」3部作で効率よくオスカーを3つも受賞し、今や押しも押されぬ巨匠になったが、クローネンバーグとのコンビは「ザ・ブルード/怒りのメタファー」('79)以降ずっと続いている。義理堅い男である。これだけ長い間、監督と作曲家が良好な関係を続けることは極めて希で、フェリーニとニーノ・ロータ、そしてスピルバーグとジョン・ウィリアムズくらいしか頭に浮かばない(余談だが「ホビットの冒険 The Hobbit」の音楽は誰になるのだろう?ピーター・ジャクソン監督は「キング・コング」でショアの音楽をキャンセルしてしまったからなぁ……)。

「イースタン・プロミス」の音楽は寒々としていて、舞台はイギリスなのにまるでそこには「デッドゾーン」で描かれたカナダの風景が寂寞と広がっているかのような錯覚に囚われた。お見事!

最後に、「ロード・オブ・ザ・リング」のアラゴルン役で一世を風靡したヴィゴ・モーテンセンが、全く異なる役作りで素晴らしい演技を見せてくれたことを褒め称えておきたい。アカデミー主演男優賞にノミネートされたのもむべなるかな。

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