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「崇徳院」の舞台で落語を聴く 《文太の会》

瀬をはやみ 岩にせかるる 滝川の
われても末に 逢はむとぞ思ふ

小倉百人一首の歌である。これを元にして落語「崇徳院(すとくいん)」が生まれた。上方随一のロマンティック・コメディである。この落語は朝の連続テレビ小説「ちりとてちん」にも登場した。物語の発端はこうだ。

商家の若旦那・作次郎はある日、高津神社に参詣する。茶店で休憩していると、年のころにして十七、八の美しい娘が現れて一目惚れする。しばらくして娘は立ち上がり茶袱紗を置き忘れていったので、作次郎は追いかけて手渡す。すると彼女は料紙に「瀬をはやみ 岩にせかるる 滝川の」と崇徳院の歌の上の句だけさらさらと書き残し、どこへともなく去っていった……。

このふたりが出合った場所、高津宮で落語《文太の会》があったので聴きに往った。ここはまた、富くじを題材にした落語「高津の富」の舞台にもなっている。

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境内には《五代目 桂 文枝之碑》もあった。碑文は三代目 桂春団治さんの筆。文枝最後の高座は、ここ高津宮での「高津の富」だったそうである。思えば、桂 文太さんの落語を初めて聴いたのは、繁昌亭で行われた桂文枝 追善落語会であった。

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今回の演目は以下の通り。

  • 桂 文太 「ないもん買い」「いらちの愛宕参り」「南京屋裁き」
  • 笑福亭たま 「芝浜」

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文太さんがマクラ(導入部)でされた、色々な噺家の話題は爆笑ものだったのだが、「ここだけの話でっせ、インターネットには書かんといて下さいよ」と高座で釘を刺されたからナイショだ。

文太さんの話術は巧みなので引き込まれて聴いた。どの噺も実に面白かった。「いらちの愛宕参り」は桂 枝雀さんの高座をDVDで観ていたのだが、文太さんの噺は枝雀版で省かれていたエピソードもあって、とても新鮮だった。

笑福亭たまさんは先日発表された繁昌亭大賞で輝き賞を受賞。京都大学経済学部卒、入門10年目。今一番、勢いのある若手噺家である。「芝浜」は僕が苦手とする退屈な人情噺(江戸落語)であるが、たまさんはふんだんに笑いの要素を盛り込み、また賑やかなお囃子を入れてドラマ仕立てにするなど創意工夫が感じられた。但しこの噺の中で、おかみさんがつく嘘は三年後の大晦日の夜まで観客にも事の真相が明かされないというミステリー仕立てになっている。ところがたまバージョンでは早々とネタ晴らししてしまう構成になっており、作劇術として如何なものかという気もした。まあたまさんは賢い努力家だから、今後に期待したい。

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