日本テレマン協会/教会音楽シリーズ~バッハづくし
延原 武春/テレマン室内管弦楽団&合唱団の演奏を聴きに、カトリック夙川教会堂(兵庫県)に足を運んだ。
オール・バッハ・プログラムで、演奏された曲目は以下の通り。
・モテット第1番「主に向かって新しい歌をうたえ」BWV225(合唱のみ)
・教会カンタータ 第82番「われは満ち足れり」BWV82
・トッカータ ハ短調 BWV911(チェンバロ独奏:高田泰治)
・教会カンタータ 第140番「目覚めよ、と呼ぶ声が」 BWV140
今回、管楽器はモダン楽器による演奏だった。ホルンは大阪シンフォニカー交響楽団首席奏者の細田昌宏さんがトラ(客演)として参加された。
日本テレマン協会の古楽器によるベートーベン・チクルスは、しばしば技術的に怪しいところが散見されハラハラする場面も多いのだが、モダン楽器だと安心して聴けた。やっぱり教会で聴くバッハは雰囲気があって心に染み入るなぁ。また、この場所で初めてチェンバロ独奏を聴いたが、これも面白い体験だった。はっきり言って高田さんの歯切れの良い演奏は、前日に聴いたラ・プティット・バンドのチェンバリストより明らかに上手い。さすが鬼才・中野振一郎 先生が惚れ込んだ弟子だけのことはある。
結局、バッハ・コレギウム・ジャパン→ラ・プティット・バンド→本演奏会と3日連続でバッハを聴くはめになったが、念のため断っておくけれど僕はキリスト教徒ではない。ただ純粋にバッハの音楽を美しいと想うだけである。
レナード・バーンスタイン(レニー)はユダヤ教徒であった。彼の作曲した交響曲第3番は副題として「カディッシュ(Kaddish)」と名付けられているが、これはユダヤ教における"死者への祈り"という意味である。また宗教合唱曲「チチェスター詩篇」は旧約聖書の「詩篇」を歌詞とし、ヘブライ語で歌われる。
その一方でレニーは、新約聖書に基づくバッハ/マタイ受難曲をニューヨーク・フィルとレコーディングしているし、モーツァルト/レクイエムなどカトリックのミサ曲を修道院付属教会で指揮している。
つまり音楽は国境を越えることが出来るように、宗教の枠も軽々と飛び越える芸術なのである。
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