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2008年6月25日 (水)

桂吉弥&柳家三三 落語会

NHK連続テレビ小説「ちりとてちん」完全版DVD-BOXを毎日、夢中になって観ている。このDVDの販売総数1万7000セットは「おしん」の9000セットを抜いて(約2倍!)、朝ドラ史上ぶっちぎりのトップだそうである。テレビドラマ史に新たな金字塔を打ちたて、人々を熱狂させて止まないこの空前絶後の名作の何処が凄いのか?その魅力についてはいずれ改めて、言葉を尽くして語りたいと想う。

「ちりとてちん」に出演し、一躍時の人となった上方の落語家が"徒然亭草原"こと、桂 吉弥さん(米朝一門)である。僕は三谷幸喜さんの大ファンなので大河ドラマ「新選組!」に吉弥さんが出演されていた頃から知ってはいたが、今や彼の人気は想像を絶するものがある。吉弥さんの出演する落語会は全て即日完売。大阪に住んでいてもなかなか、彼の高座を聴く機会には恵まれない(吉弥さんはこれを"「ちりとてちん」バブル"と言って謙遜する)。日本中から引っ張り凧で、つい最近も《別府日帰り》とか《鹿児島日帰り》といった強行軍をされたそうだ。しかも別府では2回公演で温泉に入る暇もなく、帰りの飛行機の中で立ち上る湯煙を眺めながらため息をつかれたとか。

そんな中、6月19日に吉弥さんと柳家三三(やなぎや さんざ)さんの「ふたり会」を聴きに、繁昌亭に足を向けた。これも発売10分でチケットが完売したそうである。

吉弥さんは第2回繁昌亭大賞で奨励賞を受賞、その授賞式および落語会が翌20日に繁昌亭で行われたのだが、こちらは欠席された。同じ日に「第77回堺一条じょいふる亭」という落語会に出ることが、先に決まっていたからである。これは師匠の故・桂 吉朝さんが生前、中心となって開催されていた会だそうだ(→吉弥さんのブログへ)。

受賞の連絡を受けた日はある劇団の公演に役者として出演中で、その日にあった記者会見も出席出来なかったとか。「『本当は吉弥は大賞が欲しかったのに、次点の奨励賞だったからへそを曲げて来ないんじゃないか』と誤解されてるかも知れませんが、全然そんなことないんですよ」と吉弥さん。

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今回の演目は以下の通り。

  • 桂  二条 「つる」
  • 柳家三三 「五目講釈」
  • 桂  吉弥 「蛸芝居」
  • 桂  吉弥 「短命」
  • 柳家三三 「笠碁」

東京から来られた三三さんは、特に「五目講釈」が絶品だった。道楽が過ぎて勘当され居候する若旦那が、長屋の連中を集めて講釈を語る。これが色々な内容がごちゃ混ぜになって迷走。挙句の果てにはフーテンの寅さんとか福田康夫、小沢一郎、オシム監督など時事ネタも飛び出すなど奇想天外な展開に大笑い。

吉弥さんは師匠も得意としていたネタ、「蛸芝居」がさすがの上手さだった。やっぱり役者もやっているだけに口跡がよく、「七段目」などの芝居噺が光る。

しかしそこは所謂《落語通》が沢山詰め掛けている繁昌亭。中入り(休憩)の時に、「あの蛸が登場するところはもっと芝居をたっぷり見せる所なのに……。あっさり流されちゃって、えっ、これで終わり!?って拍子抜けしたわ」「まあ別府から日帰りでお疲れなんでしょう」「いつの間にやら偉くなっちゃって」などと陰口も聴こえてきた。僕に言わせればこれは、最早《自分たちの吉弥》ではなくなった事に対するヤッカミ半分にしか聴こえないのだが、人気者はつらいねぇ。

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