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2008年6月29日 (日)

JUNO/ジュノ

評価:B+

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Juno

16歳の少女がクラスメイトとセックスして妊娠した…とくれば、どのように話が展開していくかはテレビ「3年B組金八先生」の例を挙げるまでもなく、ある一定のパターンをだれもが頭に浮かべる。

ところが、こちらのそんな安易な予想を次々と裏切る展開をしていくのがこの映画の面白いところである。

妊娠→出産を描けば「命の大切さ」とか「親子の愛情」がテーマになるというのが凡人の考えるところだが、この映画の主眼はそこにはない。むしろ、くそ生意気でひねくれた主人公の少女が、血の繋がらない他人とどのように関係を結んでいくのか?そのことを学び、成長してゆく姿を描く作品である。

だからジュノの母が義理の母親であるという事は決して偶然ではない。そしてそこにジュノの子供を養子にしたいと申し出る夫婦が現れて、物語は意外な方向へ進んでゆく。「シンデレラ」の昔から継母といえば意地悪、里親希望者が登場すれば曰く付きと相場が決まっている。ところが本作はそうじゃない。

少女が迷走した挙げ句、漸く最後にたどり着いた決断は実に感動的であり、想わず涙が零れた。

初脚本の本作でアカデミー賞に輝いたディアブロ・コーディ(29歳、元ストリッパー。ディアブロはスペイン語で"悪魔"の意)は大した才能である。

また、ふてくされていながら実は傷つきやすいヒロインを巧みに演じたエレン・ペイジ(実は撮影時20歳)も素晴らしい。アカデミー主演女優賞候補になったのも大納得である。

さて、これで僕は漸く今年アカデミー作品賞にノミネートされた5作品全てを観ることが出来たのだが、良かった方から順位を付けるとしたらこうなる。

  1. つぐない
  2. JUNO/ジュノ
  3. ノーカントリー
  4. フィクサー
  5. ゼア・ウィル・ビー・ブラッド

でも僕がもしアカデミー会員だったら、「ラスト、コーション」か「潜水服は蝶の夢を見る」に投票しただろう。むしろこれらがノミネートされなかったことに、今のアカデミー賞の問題点がある。

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