延原武春/テレマン室内管弦楽団 クラシカル楽器によるベートーヴェン 第3弾
いずみホールで日本テレマン協会によるベートーベン・チクルス第3夜を聴いた。演奏されたのは交響曲第四番、および第六番「田園」。チクルス1回目の感想はこちら、2回目はこちら。
大阪フィルハーモニー交響楽団からトラ(客演)としてヴィオラの上野博孝さん、ピッコロフルート担当で榎田雅祥さんが参加されていることは前回書いた。今回はホルンの山本秀樹さんもその中に加わられた。
さらにオランダ・デンハーグ王立音楽院バロック科を卒業され、以前はバッハ・コレギウム・ジャパンのメンバーでもあったバロック・チェロ&ヴィオラ・ダ・ガンバのスペシャリスト、上田康雄さんの姿もあった。
基本的な感想としては1,2回目と大きく変わらない。指揮者・延原武春さんのベートーヴェン解釈は申し分ないのだが、オーケストラの管楽器群が十分それを音として表現しきれていないという憾みが残った。今回は特に交響曲第四番序奏部でのファゴットの音程が怪しくてハラハラした。主部のアレグロ・ヴィヴァーチェに移ってからは安定してきたが……。それにしてもこの第1楽章と4楽章、いまだ嘗てこれ程までに颯爽として活き活きした演奏があっただろうか?特にバロック・ティンパニの強烈な打撃音がまるで雷鳴のように腹に響き、新鮮だった。
後半の演奏に入る前に、恒例の延原さんによる古楽器の解説があった。今回取り上げられたのはクラリネット、フルート、そしてホルン。現在のクラリネットの材質はグラナディラというマメ科の樹木(ローズウッド《紫檀》の仲間)だが、ベートーヴェンの生きていた時代は黄楊(つげ)だったそうである。フルートとホルンは現代に作られたコピー楽器ではなく、19世紀初頭のオリジナル楽器(フランス製)を使用しているそうだ。
ちなみにテレマン室内管弦楽団でナチュラル・ホルンのトップを吹く木山明子さんは、3日前の大阪シンフォニカー交響楽団定期演奏会(ハンス・ロットの交響曲)にもトラで参加されていた。短期間での、(モダン楽器による)本番→リハーサル→(古楽器による)本番となかなか忙しいスケジュールだ。
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・虫籠日記
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