つぐない
評価:B+
映画予告編はこちら。
「つぐない」は英アカデミー賞(BAFTA賞)で作品賞および美術賞を受賞。米アカデミー賞では作曲賞に輝いた。
まずその音楽(ダリオ・マリアネッリ)が圧巻である!これだけでも映画館に聴きに往く価値があると断言しよう。まず映画の冒頭、少女が打つタイプライターの音が強烈に耳朶に響く。そしてそれが何時しかリズムとなって、激情の音楽へと変化していく。つまり、ルロイ・アンダーソンが作曲した名曲「タイプライター」をもっと仄暗く、劇的にした印象なのである(その音楽は上に紹介した映画公式サイトで聴くことが出来る)。
ピアノを主体として、これだけ雄弁に語りかけてくる映画音楽というのは、そうざらにはない。僕が想い出すのはミッシェル・ルグランが作曲した「恋」(The Go-Between,1970)とマイケル・ナイマンの「ピアノ・レッスン」(The Piano,1992)くらいである。必聴。
アカデミー賞にノミネートされた撮影も素晴らしい。特に戦場の場面で、ワンシーン・ワンカットによる長廻しは迫力がある。
映画自体は基本的にメロドラマであるが、捻りが効いていてなかなか面白い。以下ネタバレあり。
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結局、主人公の少女は自分の想像力(imagination)のせいで姉とその恋人を不幸のどん底に追いやってしまうわけだが、彼らに対して彼女が贖罪するために出来たのは、やはりimaginationの産物でしかなかったという人生の皮肉。人間という生き物が固有に有する想像力は諸刃の剣であることを、この映画は残酷なまでに美しく、我々に訴えかけてくるのである。
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