春團治 福團治 師弟会
天満天神繁昌亭にて桂 春團治、福團治さんの師弟会を聴いた。
演目は以下の通り。
- 福矢 「時うどん」
- 梅團治 「竹の水仙」
- 春團治 「祝のし」
~中入~ - 春若 「有馬小便」(艶笑落語)
- 福團治 「薮入り」
春團治さんの十八番、「祝のし」を聴くのは二回目である。前回の感想は記事「喜寿記念 桂春團治 落語会 その壱」に書いた。この時はお祝いで添える熨斗(のし)が、昔はアワビの肉を薄く削いだものだったという基礎的知識さえなくてよく分からなかったのだが、今回はしっかり勉強していたので細部まで理解出来た。頼りない亭主(喜六)の台詞のみ春團治さんは吃音で喋る。この口調の使い分けこそ、磨き上げられた至芸。時折見せる可愛らしいその笑顔もなんとも言えない味がある。また高座で羽織を脱ぐ際に、春團治さんは両手でその袖口をつかんで一瞬のうちにストンと後ろへ落とす。この芸が華麗である。福團治さんも枕でそのことに触れ、「撫で肩なんです」と笑いを取っていた。
かつて上方落語には四天王と呼ばれる噺家がいた。笑福亭松鶴(故人)、桂 文枝(故人)、桂 米朝、そして桂春團治である。松鶴の弟子には仁鶴、鶴子、松喬、鶴瓶がいて、文枝の弟子には三枝、文珍、文太、あやめがいる。そして米朝の弟子・孫弟子には枝雀、南光、ざこば、吉弥らがいる。僕は最近になって足繁く落語会に通うようになったが、これら四天王のうち春團治さんだけは(本人は素晴らしいのに)どうも優れた弟子に恵まれていないのではないかという印象を受けていた。その証拠に、第1回及び第2回繁昌亭大賞の受賞者10人の中に春團治一門はひとりもいない。
しかし、今回初めて接した梅團治さんは大変人を引きつける芸風で、身を乗り出して聴き入った。「竹の水仙」は桂 歌丸さんによる江戸版を聴いたことがあるが、断然上方版の方が笑いが多くて愉しめた。
福團治さんのされた「藪入り (やぶいり」とは奉公人が正月および盆の16日前後に、主人から休暇をもらって親もとに帰ること。「藪入りや何にも言わず泣き笑い」という言葉もあるそうである。退屈な人情噺で、これは江戸落語に違いないと確信して帰宅後調べてみたら案の定であった。関西に江戸落語を紹介しようという福團治さんの心意気は理解出来るが、こういうのはあまり関西人の性に合わない気がする。結局、福團治さんの噺は本編よりも内弟子時代に苦労した枕の方が面白かった。
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