祝祭音楽劇「トゥーランドット」
梅田芸術劇場で祝祭音楽劇「トゥーランドット」を観た。公式サイトはこちら。
演出:宮本亜門(ソンドハイムのミュージカル「太平洋序曲」を東洋人として初めてブロードウェイで演出)、音楽:久石 譲(宮崎アニメでご存知)、衣装:ワダ エミ(映画「乱」で米アカデミー賞衣装デザイン賞を受賞)と錚々たるスタッフが揃った音楽劇である。さらに製作発表当初はタイトルロールに、なんとアジアの歌姫ケリー・チャンが配役されていた。僕は彼女の女優デビュー作「世界の涯てに」を映画館で観ているし、香港ノワールの傑作「インファナル・アフェア」(ハリウッド版リメイク「ディパーテッド」はアカデミー作品賞・監督賞に輝いた)の彼女もとても綺麗で、その来日を愉しみにしていた。
ところが、とんでもない事態が勃発したのである。昨年8月、ケリーは新作アクション映画「江山美人」の撮影中、落馬して両足首の靱帯を損傷し、舞台を降板してしまったのだ。中国の映画スタッフさんたちよ、頼みますよ。危険な撮影では役者を乗馬させたりせずに、ちゃんとスタント・マンを使って頂戴な。こんな事態、ハリウッドじゃ絶対ありえないことなんだから。
結局ケリーに代わってキャスティングされたのが台湾の人気歌手、アーメイ……って、一体誰よ!?
実際観てみると、確かにアーメイの歌は上手かった。ただ頑張ってはいるがどうしても日本語の台詞はたどたどしいので、この程度の歌唱力なら日本人キャストでも十分ではなかったか?という疑問は残る。勿論、ケリー・チャンくらいの絶世の美女ならば、中国語で喋ろうが何でもO.K.だったのだが。
キャストで印象に残ったのが、安倍なつみ。女優としてのなっちが、意外にも良かったので驚いた。これくらい歌えて演技も出来るのなら、もしかしたら彼女は「レ・ミゼラブル」のエポニーヌとか、「ミス・サイゴン」のキムとかもやれるのではないだろうか?なっちに在りし日の本田美奈子を重ねて観ている自分にふと、気がついた。
それから"流し目王子"こと、早乙女太一くんはとにかく美しかった。踊りがうまいねぇ。あ、ちなみに太一くんは歌いません。
久石さんの音楽は当然文句なしに素晴らしかったし、演出も大仕掛けの舞台装置も見応えがあった。でも、観終わってなんだか充実感に欠けるというか、物足りなさが付き纏ったのも確かである。その理由を色々思い巡らした挙句、台本を書いた鈴木勝秀が駄目だという結論にたどり着いた。物語がストレートすぎて平板。創意工夫に欠けて面白みがない。プッチーニのオペラに捕らわれすぎたのが失敗の原因だと想う。「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」や大沢たかお主演ミュージカル「ファントム」の演出も酷かったし、この人、とことん才能ないわ。
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