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2008年5月 5日 (月)

筒井康隆&山下洋輔のジャズ・オペレッタ「フリン伝習録」

レハール/喜歌劇「メリー・ウィドウ」に基づき筒井康隆氏が書き下ろした3幕・超演奏会形式のジャズ・オペレッタ「フリン伝習録」を聴きに兵庫県立芸術文化センターへ往った。

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筒井氏自身が朗読およびラップも担当、音楽とピアノがジャズ界の巨匠・山下洋輔。劇伴演奏が山下一史/兵庫芸術文化センター管弦楽団。サックスがべら棒にうまいなぁとプログラムをよく見たら、なんと名手・平野公崇だったので腰を抜かした。さらに、森 麻季(ソプラノ)ら4人の独唱が加わるという豪華版だった。

森 麻季さんのソロ・リサイタルを聴いた時の感想はこちらに書いた。実は6~7月に兵庫県立文化芸術センターで行われる「メリー・ウィドウ」の公演に森さんは出演予定で(ダブル・キャスト)、僕は彼女の登場する日に合わせてチケットを購入したのだが、後に森さんの懐妊が明らかとなり急遽彼女は降板してしまった。チケットの払い戻しはしないという。これは相当ショックだった。どうやら3年前にイタリア人の作曲家と結婚されていたらしい。

しかしその代わり、今回のコンサートで森さんはハンナ/ヴァラン/オルガと3役を歌いこなし、雲雀のように高く舞い上がるその澄んだ歌声をたっぷり堪能出来たのでまあ良しとしよう。

栗山和樹氏による編曲もとても面白かった。原曲のオペレッタそのままの楽曲もあれば、ジャズ・ラップ・ジルバ・ルンバ・マーチなど万華鏡のように多彩なアレンジで魅了された、山下洋輔さんのアドリブはノリノリ、平野さんのサックスはスウィングしてグルーヴ(ワクワク感)があった。その伴奏に乗ってオペラ歌手が陽気に歌っているのだから、それはそれは不思議な光景であった。

筒井さんの歌詞は特に《不倫のマーチ》が可笑しくて最高。

誰が非難しても、まことの愛があれば
恐れず身を焦がす
それがフリン フリン フリン フリン!
これこそ新たなる 人の恋のかたち
やがてわれらの世界がくる
その日は明日だ!

天国のレハールも、びっくり仰天していることだろう。

オペラとジャズのコンサートを同時に愉しんだような贅沢な2時間半だった。

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