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2008年4月 8日 (火)

スプリングコンサート(淀工・近大・阪急・市音)

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大阪市音楽団(市音)が主催するスプリングコンサート(吹奏楽トップ・コンサート・イン・オオサカ2008)を聴きに大阪城音楽堂へ往った。

昨年の全日本吹奏楽コンクール高校の部で金賞を受賞した大阪府立淀川工科高等学校吹奏楽部(淀工)、大学の部金賞近畿大学吹奏楽部、そして職場の部で金賞を獲った阪急百貨店吹奏楽部が出演、最後はプロの市音が〆るというなんとも贅沢なコンサートで、これが入場無料というのだからたまらない!ひとつ残念だったのは昨年出場していた、明浄学院高等学校吹奏楽部の名前が今回なかったことである。

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まず大谷中・高等学校吹奏楽部&バトントワリング部によるオープニング・パレード。演奏されたのは「76本のトロンボーン」ほか。「76本のトロンボーン」はブロードウェイ・ミュージカル「ザ・ミュージック・マン」(1957年初演)のナンバーである。

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「ザ・ミュージック・マン」の舞台となるのはアメリカの田舎町。セールスマンを装い、子供たちによるマーチング・バンドを作ろうと持ちかけては親から楽器の代金をせしめて逃げ去る詐欺師、ハロルド・ヒルの物語。しかし、ひょんなことから図書館員マリアンと恋に落ちたヒルは、本当に子供たちのバンドを結成し指導するはめになる……という心温まるコメディである。「76本のトロンボーン」は子供たちによるマーチング・バンドが初めて演奏する曲で、1幕のフィナーレを飾る華やかな名曲。このミュージカルはトニー賞に輝いたオリジナル・キャストのロバート・プレストン主演で1962年に映画化もされており、舞台同様に素晴らしい作品だった。特に「76本のトロンボーン」を演奏しながら子供たちが町を堂々と行進する場面は圧巻である。但しこの映画、残念なことに日本未公開、DVD未発売である(僕は北米版DVDで観た)。

さて、淀工が演奏したのは

アルメニアン・ダンス Part 1
カーペンターズ・フォーエヴァー
ジャパニーズ・グラフティIV ~弾厚作
作品集~
星条旗よ永遠なれ

であった。

吹奏楽の名曲中の名曲「アルメニアン・ダンス」を淀工が普門館で演奏したのは86年。金賞に輝いたこの時の「アルメニアン・ダンス」の演奏は、83年神奈川県代表の野庭高等学校吹奏楽部、そして87年創価学会関西吹奏楽団と並び全日本吹奏楽コンクールにおける極め付けの名演として今でも語り草となっている。ちなみに学校の統廃合で今は消滅した野庭(のば)の生徒たちと、彼らを指導した故・中澤忠雄氏の奇蹟については「ブラバンキッズ・オデッセイ」という本にもなっているので、吹奏楽に興味のある方には是非お勧めしたい。

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丸谷明夫 先生(丸ちゃん)は、開口一番「昨年コンクールで金賞を受賞した時の3年生はこの3月に全員卒業しましたので、今は残りカスです」と言って聴衆の笑いを誘った。ちなみに去年は「今がドン底です」だった。「カーペンターズ・フォーエバー」の時は「ソロが沢山ありますので、演奏の途中でも構いませんから拍手してやってください。生徒も調子に乗ると思います」と言って、またまた会場が沸いた。

今回は新2,3年生の部員全員がステージに上っていたようで、兎に角その音圧が凄かった。丸ちゃんは謙遜するが、なんたって天下の淀工である。もう現時点で全国大会出場レベルは軽くクリアしている。全員暗譜で演奏したのもさすがであった。また、パーカッションの生徒たちが旋律を口ずさみながら叩いている光景は実に清々しかった。ちなみに去る3月23日に浜松で行われた全日本高等学校選抜吹奏楽大会で淀工は「アルメニアン・ダンス」を演奏し、ゴールデン賞と中日賞を受賞している。

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実は淀工の「アルメニアン・ダンス」を生で聴くのは今回初めてである。DVD「淀工 青春の軌跡」に収録されている22年前のコンクールでの演奏と比べると幾分テンポがゆったりとしており、メドレーで登場するアルメニア民謡のひとつひとつを丁寧に歌った心に沁みる演奏だった。特に5曲目Gna, Gna(行け、行け)では指揮する丸ちゃんが満面の笑みで、この曲が本当に好きなんだなぁということを窺わせた。

丸ちゃんといえば「行進曲を振らせたら世界一」ということは衆目の一致するところだろう。もうひとつ僕が指摘しておきたいことがある。それは丸ちゃんの選曲の特徴として、民謡を取り入れた吹奏楽曲を好む傾向があるということだ。「アルメニアン・ダンス」もそうだし、今年淀工が各地で演奏しているホルストの「吹奏楽のための組曲」もイギリス民謡に基づいている。また2006年のグリーンコンサート(グリコン)で演奏された「リンカンシャーの花束」はグレインジャーがイングランド東部のリンカンシャー地方で採集した民謡から紡ぎ出された吹奏楽の名曲である。さらに淀工の十八番である「大阪俗謡による幻想曲」も天神祭や生国魂神社の祭囃子が引用されており、同趣向の曲と言えるだろう。

次に、近畿大学吹奏楽部のタクトを振ったのは学生指揮者の玉井 伸さんだった。

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実は昨年スプリングコンサートで聴いた時は、正直「近大も下手くそになったなぁ」という印象であったのだが、今年はピッチも合っていて見違えるように緻密なアンサンブルを聴かせてくれた。近大は平成19年全国大会金賞だったが、平成18年は関西大会銀賞に止まっている。この一年間で飛躍的に上手くなったという事だろう。ちなみに昨年のコンクールで指揮されたのは森下治郎さん。昭和63年以来、実に18年ぶりの登板だった。やはりアマチュア・バンドは指導者によってその実力が左右されるということがよく分かる。

最初に演奏されたウォルトン/戴冠式行進曲「王冠」は学生指揮者のためか些かテンポが重い印象だった。それからウォルトンにせよエルガー/「威風堂々」にせよ、イギリス音楽固有の気高さ(nobility)は吹奏楽用アレンジでは醸し出せない気がした。やはり彼らの楽曲には弦楽器が必要不可欠なのだろう。ちなみに6/20に行われる巨匠・児玉宏さんの大阪シンフォニカー交響楽団 音楽監督・首席指揮者就任記念コンサートでもウォルトン/戴冠式行進曲「王冠」が演奏されるので、大いに期待したい。

続いて登場したのは阪急百貨店吹奏楽団である。

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阪神百貨店と言えば何と言ってもまずは阪神タイガース。そしてイカ焼きも有名。阪神は非常に庶民的だ。阪神に吹奏楽団はない。

それに対して阪急と言えば宝塚歌劇。そしてこの吹奏楽団。さらに佐渡 裕さんが芸術監督を務める兵庫県立芸術文化センターも阪急沿線にある。う〜ん、文化の香りがする。阪神と阪急は全くカラーが違うのである。

阪急が演奏した日本の情景「春」山下国俊 編)はアレンジが凡庸で詰まらなかった。日本の情景の筈なのにシューベルトの「野ばら」が挿入されているのも納得いかない。同趣向の曲なら「あの日聞いた歌」(真島俊夫 編)の方が断然良い。

しかし、その後に演奏された「テレビCMオンパレード」(小島里美 編)は最高に面白かった!挿入されたCMソングはなんと25曲もあったそうである。市音がしばしば演奏する映画「ハウルの動く城」〜人生のメリーゴーランドの編曲も良かったし、小島さんは大変才能のあるアレンジャーだなと改めて感心した次第である。

そして最後はその市音が登場。

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<時代を彩ったアメリカの作曲家たち>というテーマでバーンスタイン、ガーシュウィン、マンシーニ、スーザの曲が演奏された。

市音を聴く度に想うのは「在阪オーケストラの金管セクションもこれくらい上手かったらなぁ」ということである。まあそんな仮定をしても詮ないことくらい、十分承知はしているのだが……。

兎に角、素敵なコンサートでした!

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