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2008年4月28日 (月)

大植英次/大フィルの星空コンサート 2008!

大植英次/大阪フィルハーモニー交響楽団の星空コンサートを聴きに大阪城・西の丸庭園に足を運んだ。

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星空コンサートは今年で3回目。第1回は9,300人の聴衆が集まり、2回目は1万4千人に膨れあがった。今回は入場料が500円→1,000円と倍増した影響か8千人だったそうである。やっぱり関西人はお金のことになるとセコいねぇ。まあそれでも売り上げ総額からいえば過去最高なのだから大成功だろう。平松邦夫・大阪市長がコンサート最初から来られていて、大植/大フィルに対して非常に温かいスピーチをされた。その際に大植さんがこのコンサートをノーギャラでされていることも明かとなった。

大植さんは気管支炎を患っていらっしゃるそうで、声が掠れていた。それでも元気いっぱい、会場を所狭しと駆け回り、「くいだおれ太郎」やインディー・ジョーンズの扮装をされたり、阪神タイガースの法被を着たりサービス精神を存分に発揮されていた。

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18時30分、まずR.シュトラウス/「ツァラトゥストラはかく語りき」冒頭部から幕を開けた。映画「2001年宇宙の旅」で使用され有名になった曲。星空コンサートのオープニングに相応しい。昨年まで最初はバーンスタイン/ミュージカル「キャンディード」序曲であったので(夏に開催される青少年のためのコンサートも同様)、今年は変化球を投げてこられたわけだ。

そして日没(18時39分)に合わせてドボルザーク/交響曲第9番「新世界より」第2楽章。堀内敬三による日本語詞「遠き山に日は落ちて」や「家路」(作詞:野上 彰)としてもよく知られている。音楽とともにあたりが次第に夕闇に包まれていく光景がとても印象的だった。

ワーグナー/楽劇「ワルキューレ」~ワルキューレの騎行では大植さんはブリュンヒルデの扮装をされた。手には剣(ノートゥング)の代わりに何故かライトセーバー!?恐らく、第1回目の星空コンサート「スターウォーズ」を演奏した際に使った小道具を再使用したものと見た。

ワルキューレの騎行で僕たちの世代がまず想い出すのは映画「地獄の黙示録」であろう。ベトナム戦争を舞台にアメリカ軍の戦闘ヘリがこの曲をガンガン鳴らしながらベトコンの拠点となっている村を焼き尽くす。サーフィンをするためにこの命令を下した指揮官の台詞「朝のナパーム弾の匂いは格別だ」( I love the smell of napalm in the morning.)はアメリカ映画協会が選定した映画史上燦然と輝く名台詞・第12位に選ばれている。ワーグナーの音楽はアドルフ・ヒトラーが愛したことでも知られ、未だにイスラエルでワーグナーを演奏するのはタブーとされている。恐らく「地獄の黙示録」を監督したフランシス・フォード・コッポラはナチス・ドイツのイメージを重ねてこの名シーンを撮ったものと想われる。

浪漫的叙情に満ちたリムスキー=コフサコフ/交響組曲「シェエラザード」~若い王子と王女をたっぷり溜めて歌った後は、現在12歳の登坂理理子さんがソリストとして登場。パガニーニ/ヴァイオリン協奏曲第1番第1楽章を見事に弾きこなし、やんややんやの喝采を浴びた。彼女のお母さんが舞台近くに座っておられて、指揮台から降りた大植さんからインタビューされる一幕もあった。

そして勇壮なジョン・ウィリアムズ/映画「インディ・ジョーンズ」~レイダーズ・マーチ。過去の星空コンサートではジョンが作曲した「スター・ウォーズ」「E.T.」が演奏された。「E.T.」では大植さんが前の籠にE.T.人形を乗せて自転車で登場するというサービスもあった。また青少年のためのコンサートでは「スーパーマン」「ハリー・ポッター」も取り上げられている。今回インディが選ばれたのは、間もなくシリーズ4作目「クリスタル・スカルの王国」が公開されるからである。大植さんが巨大な岩に追いかけられるという愉しいパフォーマンスもあり、観客は大いに沸いた。

ポンキエルリ/歌劇「ジョコンダ」~時の踊りについては大植さんから「花王/エッセンシャルダメージケア」のCMで使用されている曲との紹介があった。しかし、これを聴くと即座に僕の脳裏に蘇る映像はディズニー・アニメ「ファンタジア」(1940)である。カバ、象、ダチョウ、ワニが繰り広げる愉しい踊りは忘れがたい。

そして今年の目玉はなんと言ってもチャイコフスキー/序曲「1812年」である。驚くべきことにバンダ(金管別働隊)として大阪府立淀川工科高等学校(淀工)、明浄学院高等学校箕面自由学園近畿大学から総勢100人が集結したのである。しかも淀工はこの日、15時から大阪府狭山市にあるSAYAKAホールで特別演奏会(指揮/丸谷明夫)を行い、その足で駆けつけたという。恐るべし。

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星空コンサートでは当日16時くらいから会場でリハーサルがあった。当然その時は淀工はコンサート中なので参加できず、ぶっつけ本番となった。それでもさすが天下の淀工である。綻びのない見事な演奏であった。事前に大植さんが学校を訪問し、綿密な指導をされていたそうである。

100人のバンダはド迫力で圧巻だった。「1812年」は毎年演奏されているが、大フィルも今までで最も熱のこもった演奏であった。生徒の後ろには淀工の丸谷先生(丸ちゃん)のニコニコした笑顔も見えた。ご苦労様です。

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アンコールは学生がそのまま演奏に参加してスーザ/行進曲「星条旗よ永遠なれ」、そして日本のうた「夕焼けこやけ」「七つの子」「ふるさと」は観客も一緒に歌った。〆は星空コンサート大阪クラシックの定番、外山雄三/管弦楽のためのラプソディー~八木節。会場に集った人々は思い思いに素敵な春の宵を満喫した。ありがとう、大植さん&大フィル!そして高校生や大学生の吹奏楽部員たち!

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コメント

初めまして、
TBどうも有り難うございました。
「星空コンサート」ほんとに楽しかったですね。
途絶えることなく続けていって欲しいと願っています。

投稿: mico | 2008年5月 4日 (日) 09時27分

micoさん、コメントありがとうございます。

大植さんが大フィルの音楽監督である限り、星空コンサートも大阪クラシックも間違いなく続けられていくでしょう。今度は9月の大阪クラシック、愉しみましょう。

投稿: 雅哉 | 2008年5月 7日 (水) 10時10分

夜中にテレビで流れて今度は実際に足を運びたくなりました。クラシックをみじかにって気持ちが伝わってきてよかったです。大阪が高くもっとみじかな芸術の街になればいいって感じましたね。

投稿: サスケ | 2008年6月22日 (日) 02時58分

サスケさん、まずは9月の大阪クラシックから足を運んでみて下さいね。きっと忘れられない愉しい想い出になりますよ。

どんな様子かはこのブログの昨年9月の記事を見てみて下さい。

投稿: 雅哉 | 2008年6月22日 (日) 03時23分

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