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日本テレマン協会/第400回記念マンスリーコンサート

大阪倶楽部で日本テレマン協会のマンスリーコンサートを聴いた。今回は400回記念で、イギリスから大物ゲストが登場。先日のベートーヴェン・チクルスでコンサートマスターを務めたサイモン・スタンデイジである。

スタンデイジはかつてトレヴァー・ピノック率いるイングリッシュ・コンサート創立時のコンサート・マスター。また、ホグウッド/エインシェント管弦楽団と共演するなど古楽の世界で活躍するヴァイオリニストである。1990年よりコレギウム・ムジクム・テレマン(日本テレマン協会所属)のミュージック・アドヴァイザーに就任している。

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今回のプログラムは、

J.S.バッハ/ヴァイオリンとチェンバロの為のソナタ 
ヘンデル/ヴァイオリンと通奏低音の為のソナタ 
ルクレール/ヴァイオリンと通奏低音の為のソナタ 

ー休憩ー

テレマン/3つのヴァイオリンの為の協奏曲
テレマン/12のファンタジーより 第12番&第4番
J.S.バッハ/3つのヴァイオリンの為の協奏曲

共演は関西が誇るチェンバロの鬼才・中野振一郎 先生、そして後半はコレギウム・ムジクム・テレマンの面々も参加した。ヴァイオリンの中山裕一さんはスタンデイジの弟子であり、師弟共演でも全く遜色のない演奏で聴き応えがあった。

ルクレールはスタンデイジが最も得意とする作曲家で、中野先生のお話ではコンサートで毎回取り上げているらしい。ルクレールはヴァイオリンの名手であると共にレース編みとダンスの達人でもあったとか。そして最後は自宅で惨殺死体となって発見され、その犯人は未だに謎なのだそうだ。なかなか興味深い人生だ。

スチール弦のモダン楽器と違い、バロック・ヴァイオリンは羊の腸を縒り合わせたガット弦を張っている。スチール弦が伸びのある輝かしい音がするのに対して、ガット弦は雑味を含み、くすんだ響きがする。音のざらつきは音色の豊かさに結びつき、その色合いは暖色系である。一方、スチール弦は喩えるなら取り澄ました令嬢のようで、些か冷たく響く。

スタンデイジの弾くバロック・ヴァイオリンを聴いていると、いつしか自分が深い森の中を彷徨っているかのような気分になった。これに比べると、モダン・ヴァイオリンの響きは人気のない高層ビルの谷間で聴いているような印象と言えるかも知れない。

楽器が進化していく過程で、得たものもあれば、その代償として失ったものも少なくはなかったということなのだろう。そんなことどもを考えさせられた一夜であった。

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